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「最も実写に近いアニメ」陰の立役者が明かす『犬ヶ島』の最大の魅力とは?

2018年5月21日 20:00

『犬ヶ島』パペット制作リーダー、アンディ・ジェントに直撃!

『グランド・ブダペスト・ホテル』(13)のウェス・アンダーソン監督が近未来の日本を舞台に、少年と犬たちの絆を描きだしたストップモーション・アニメ―ション『犬ヶ島』(5月25日公開)。本作でパペット制作のリーダーを務めたアンディ・ジェントが、19日から開催されている公開記念展示に合わせて来日。個性豊かなキャラクターたちのパペットを魅力的に見せる秘訣や、ウェス監督との絆について語ってくれた。

主人公の少年・アタリと5匹のヒーロー犬たちのパペットを前にしてジェントは「彼らの“目”が重要なポイントなんだ」と明かす。「シェイクスピアの有名なセリフにもある通り、“目は心の窓”。目の周りのまぶたや眉毛を動かすだけで、彼らの豊かな感情を表現することができる」と愛おしそうに微笑んだ。そんな彼が最も思い入れを抱くパペットはアタリとチーフ。「今回の作品に取り組むことになって、一番最初に作ったパペットなんだ。つまり僕にとって最初に生まれた子どもたちのような存在だよ」。

【写真を見る】ウェス・アンダーソンの世界が目の前に!公開記念展示が開催中

劇中には、犬と人間それぞれのパペットが数多く登場する。ジェントはその数を「両方合わせて1105体」と正確に把握していた。ひとつひとつが緻密に作られているパペットの中で、最も難しかったパペットはなにか?ジェントは迷うことなく「ナツメグだね」と、スカーレット・ヨハンソンが声を吹き込んだオシャレな小型犬の名前を挙げた。

「彼女はとてもセクシーで、オス犬を誘ったりする。そして映画スターみたいな雰囲気を持っていて毛並みもすごく綺麗だ。しかもショーで活躍していたという経歴を持つ彼女が、チーフにユニークな動きを見せるシーンがあるんだ。そのシーンを撮影することを考えて、彼女の雰囲気や動かす部分に工夫を重ねるために、すごく時間がかかったんだ」。

家具職人だった父親の影響で、子どものころから自分のおもちゃを手作りしていたというジェントは、アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた『ファンタスティック Mr.FOX』(09)で初めてアンダーソン監督とタッグを組んだ。そして『グランド・ブダペスト・ホテル』を経て、本作が3度目のタッグ。「ウェスからある日電話がかかってきて『ちょっといまアイデアがあるからパペットを作ってもらえないかな!』って言われた。するとウェスはイメージを伝えるために参考となる映像と脚本をすぐに送ってくれたよ。僕は脚本を読んで、これはすごい作品になると確信したんだ」と振り返る。

ウェス・アンダーソンとの出会い、そして今後の展望を明かしたアンディ・ジェント

アンダーソン監督の独特な世界観を作りだすチームの一員であり、自身もその世界観に魅了された1人であるジェント。彼はアンダーソン監督のことを「情熱家」だと形容する。「彼は自身のスタイルを作り上げることにこだわりを持っているし、ストーリーテラーとしてもすばらしい。そしてなにより丁寧で、頼みごとをするのもすごく礼儀正しいんだ。まあ、その要求はかなり大きいけどね(笑)」。

そしてジェントは、長い年月をかけて作りだした本作について「最も実写に近いストップモーション・アニメだと思う」と語る。「普通だったらこれだけの規模のストップモーション・アニメは誰もやろうとは思わないだろう。だけど高いハードルを越えることが本作の最大の目的だった。これだけスケールの大きい作品になったのは、ウェスが実写を撮るような感覚で撮影していたからにほかならないだろう」。

現在ジェントの元にはクリストファー・ノーランにも影響を与えたブラザーズ・クエイや、チェコアニメ界の鬼才ヤン・シュヴァンクマイエルなど様々なクリエイターからの依頼が殺到しているそうだ。「僕にとっては、どれも大きなチャレンジでおもしろい経験だよ」と微笑むジェントは「つねに『次に手掛ける作品が最もチャレンジングな作品になる!』と考えながら取り組んでいくんだ」と並々ならぬ挑戦心をあらわにした。今後も彼はたくさんの魅力的なパペットに命を与え続けていくことだろう。その活躍に注目していきたい。

取材・文/久保田 和馬

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