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Netflixは“アニメの未来”をどう変える?ボンズ南雅彦社長を直撃!

2018年4月5日 16:00

「アニメ業界にとってひとつの転換期になる」と語るボンズ南雅彦社長
「アニメ業界にとってひとつの転換期になる」と語るボンズ南雅彦社長

2018年1月、アニメ制作会社のProduction I.GとボンズがNetflixとの包括的業務提携を発表。3月から、ボンズ制作のオリジナルアニメ「A.I.C.O. Incarnation」のNetflix配信がスタートした。Netflixは“アニメの未来”をどう変えるのか?ボンズの南雅彦社長を訪れ、話を聞いた。

「A.I.C.O. Incarnation」は、近未来の日本を舞台にしたバイオSFアクション。人工生体の研究中に起きた大事故“バースト”によって家族を失った15歳の橘アイコが謎の転校生・神崎雄哉と出会い、自身の身体に隠された秘密を知っていく姿を描く。

監督を務めた村田和也が本作の原案を思いついたのは10数年前のことだそうで、「企画自体は弊社で進めていた企画を村田監督にお願いしたところ、村田監督の提案でその原案を取り入れることになった。人工生命体が人や世界に与える影響とは、どのような可能性をもっているのかをドラマにしてみたかった」と南社長。「Netflixさんと一緒にやりましょうという話になったとき、この企画ととても相性がいいと思った」と言うが、その理由についてこう語る。

「Netflixでは、全世界190か国以上に配信されます。海外で広く受け入れられるためには、やはりファンタジックな内容やSF的要素を扱った作品が相性がいいと思います。そしてNetflixさんが言っていたのは、『1話をどう観てもらえるかが大事』だと。本作の1話ではアイコたちの学園生活も描かれますが、紙飛行機を飛ばした向こう側にはなにがあるのかと、“日常”と“その先”の対比をきっちりと見せようと思っていました。2話、3話とどんどん世界が変わっていくのがおもしろく観られると思います。謎が張り巡らされて次が気になる展開になっているので、そういった意味でも、全話がまとめて配信されるNetflixとは相性がいいのではないでしょうか」。

村田監督は「全体を俯瞰で見ることができる。とても緻密な計算をする監督」だそうで、「テレビシリーズ『交響詩篇エウレカセブン』のころからご一緒していますが、プロデューサーに向いているんじゃないかと思うくらい、いろいろな提案をしてくれました。その後『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』を監督してもらったんですが、原作のどこの時系列を舞台にするかなど、組み立てが難しいタイトルをとてもうまく構成してくれました。村田監督はチャートを作ったりするのも得意で、緻密なものを組み立てていくのがとてもうまい」。本作のような、大きな謎を解き明かしていくストーリーを描くのにぴったりの監督のようだ。

「アニメがビデオやDVD、ブルーレイになって売れる。そして配信が始まり、海外セールスが勢いづき…とアニメが映像ビジネスになってきた歴史と一緒に歩んできた」という南社長は、「全世界190か国以上で自分たちの作ったものを観てもらえるなんて、ものすごくうれしいんです。鳴子ハナハルさん原案のかわいらしいキャラクターが、海外でどのような反応をもらえるのかもとても楽しみ」と期待感もたっぷり。「海外のコンベンションに行っても、日本のアニメのファンが増えているのを肌で感じている。タイトルもよく知っているし、キラキラした目で迎えてくれますよ」と話す。

「僕はサンライズにいたんですが、『カウボーイビバップ』のプロデューサーをやった時にアメリカでプレミア試写会があって。満員になってしまったので、1回の上映の予定が2回回すことになりました。すると、上映が終わったら海外の方々がワーッと寄ってくるなど、ものすごい熱気だった。自分たちの作ったものが、海外にもどんどん広がっているんだと実感できたことは、すごくうれしかったですね」。

Netflixがオリジナルアニメの制作に注力することは、「アニメ業界にとってひとつの転換期になる」と話す南社長。「企画の幅は確実に広がるでしょうね。Netflixは『直接、プロダクションと手を組みたい』ということを明確に言っています。配信会社と制作会社がダイレクトにやれることにはおもしろみを感じています」。また「Netflixでは、かなり予算のかかった実写映画も製作していますが、それと同じ規模の予算がアニメにもかけられる可能性がありますので、チャレンジの幅も広がるはず」とアニメの未来について言及。

「いまのアニメは、3DCGと手描きアニメーションのハイブリッドになってきています。そして、そのバランスに苦労しているのが現状です。3DCGを入れると、どうしても2Dの予算が削られるし、逆に2Dでここまでやりたいと思うと、3DCGの予算が削られる。人間の手で描く2Dの魅力は、想像力を持ってして新たなものを描けること。決して、3DCGに負けているツールではありません。3DCGと手描きアニメーションを最高の組み合わせとして使った作品ができるならば、大きなチャレンジになると思います」。

『A.I.C.O. Incarnation』はNetflixにて全世界独占配信中

取材・文/成田 おり枝

◾️『A.I.C.O. Incarnation』はNetflixにて全世界独占配信中
公式サイト:http://www.project-aico.com

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