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シリーズ15年目の「HUGっと!プリキュア」が真の国民的アニメになる理由とは?

2018年3月25日 19:00

『映画プリキュアスーパースターズ!』が、興収10億円突破もねらえるロケットスタートを決め、現在も大ヒット上映中だ。プリキュア映画のヒットは、言い換えればTVアニメの注目度の高さの表れとも言える。2004年に誕生して以来、女児向けアニメの頂点に君臨し続ける「プリキュア」シリーズも、気が付けば今年で15周年。そんな節目の年を意識してか、2月より放送中の最新作「HUGっと!プリキュア」では、シリーズのさらなる進化をうかがわせるさまざまな取り組みが見て取れる。はたしてプリキュアはこの先も20年、30年と続き、真の国民的アニメへと成長できるのか。その可能性を探ってみよう。

写真の中央にいる3人が「HUGっと!プリキュア」の主人公で左からキュアエトワール、キュアエール、キュアアンジュ
写真の中央にいる3人が「HUGっと!プリキュア」の主人公で左からキュアエトワール、キュアエール、キュアアンジュ[c]2018 映画プリキュアスーパースターズ!製作委員会

“拳で戦う”カッコいい女の子が基本

「プリキュア」シリーズとは、普通の女の子が伝説の戦士であるプリキュアに変身し、敵と戦いながら成長していくバトルファンタジー。本作がこれまでの魔法少女モノと違っていたのは、パンチやキックで戦うタフでかっこいい女の子像だ。これは初代プロデューサーの鷲尾天が打ち出したコンセプトだが、これが当時の女児に支持されて大ヒット。優しくて可愛いらしい女の子より、何度倒されても敵に立ち向かっていくプリキュアの勇姿に憧れたのだ。

その後も"戦うヒロイン"をシリーズの根幹としつつ、毎年世界観とキャラクターを一新。作品ごとに“花”“音楽”“ファッション”“お菓子作り”といったモチーフを盛り込んで新鮮さを保つなど、同じく東映が手掛ける長寿作「スーパー戦隊シリーズ」を手本としながら、常に新たな視聴者層を獲得してきた。いまでは、女の子なら誰もが一度は通る定番アニメとして知られている。

【写真を見る】今回の『映画プリキュアスーパースターズ!』では“約束”がテーマになっている
【写真を見る】今回の『映画プリキュアスーパースターズ!』では“約束”がテーマになっている[c]2018 映画プリキュアスーパースターズ!製作委員会

「HUGっと!プリキュア」は「おジャ魔女どれみ」に近い?

プリキュアの最新作「HUGっと!プリキュア」の大テーマとなっているのは“子育て”で、主人公の野乃はなたち中学生3人が謎の赤ちゃん、はぐたんを育てる奮闘記だ。これまでも「ドキドキ!プリキュア」のアイちゃんや「魔法つかいプリキュア!」のはーちゃんなど赤ちゃんキャラクターが登場した作品はあるが、それはあくまでサブ的な扱いだった。それに比べて本作は、ミルクの作り方やあやし方、抱っこのコツなど現実的な子育てシーンが随所に登場する。

かつて同じ枠で放送されていた「おジャ魔女どれみ」を彷彿させるが、それもそのはず。本作で初めてプリキュアに参加したシリーズディレクターの佐藤順一こそ、「おジャ魔女どれみ」の生みの親のひとりなのである。人情味にあふれた泣きエピソードの名手である佐藤だけに、プリキュアとの化学反応に注目したい。

“子育て”を通じて母娘が想いを共有

キュートな動物キャラも登場する
キュートな動物キャラも登場する[c]2018 映画プリキュアスーパースターズ!製作委員会

シリーズの過去の作品にも、親が子を思う気持ち、子が親を思う気持ちを描いたエピソードはあった。しかし、例えどんなに丁寧に描いたとしても、圧倒的に経験の少ない子供に、我が子を思う親の気持ちを理解することは難しいだろう。ところが子育ては違う。自分よりもか弱い存在を守りたいという気持ちは母も娘も同じだ。“子育て”という共通点を通して、親子が話し合ったりわかりあうこともできる。この“親子で共感”という視点は、実はこれまでのシリーズではほとんど見られなかったため、新しいチャレンジであることは間違いないだろう。

シリーズ中でもっとも社会派?成果至上主義に職業体験

こちらは劇場版に登場する怪物ウソバーッカ
こちらは劇場版に登場する怪物ウソバーッカ[c]2018 映画プリキュアスーパースターズ!製作委員会

本作の敵勢力はクライアス社という企業であり、そこにはアルバイトや係長、課長といった役職があり、“稟議”や“発注”“報・連・相”などのビジネス用語が飛び交う。プリキュアに度重なる敗北を喫した社員が職場のデスクを取り上げられてしまうなど、敵ながらちょっぴり同情してしまうシーンも。

また6話以降は職業体験的要素も加わり、はなたちは子育てとお仕事を両立させるべく、忙しい日々を送ることになる。また、はなの母親はタウン誌のライター、父親はホームセンターの店長と、地に足のついたリアルな設定なのも珍しく、総じて現代社会と密接にリンクした社会派の作品とも言える。

親子が共にプリキュア世代の時代?着実に国民的コンテンツへ!

プリキュアは今年15周年。例えば10歳の時に第1作「ふたりはプリキュア」を観ていた女の子は、今では25歳となっている。プリキュアの対象年齢は3歳からだから、母娘ともにプリキュアを観て育つ、2世代に渡るプリキュアファンも生まれ始めるころだろう。

そんな変化を見越してなのか、これまでは放送中のプリキュアが単独で出演していた秋のプリキュア映画が、今年は『映画HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュア』になることが発表された。タイトルの通り、最新プリキュアと初代プリキュアが共演する内容で、2世代ファンにはドンピシャ。そしてそんな2世代ファンがごく当たり前になったときは、「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」「ちびまる子ちゃん」などと共に国民的アニメと呼ばれるに違いない。

文/岡本大介

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