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【追悼】“名バイプレイヤー”大杉漣が映画界に遺した功績を振り返る

2018年2月21日 22:00

急逝した大杉漣(写真は『アウトレイジ 最終章』の舞台挨拶より)
急逝した大杉漣(写真は『アウトレイジ 最終章』の舞台挨拶より)

日本の映画・ドラマ界を支える名バイプレイヤーとして活躍した俳優の大杉漣が2月21日、急性心不全のため66歳の若さで急逝したと所属事務所が発表した。

70年代に舞台俳優としてそのキャリアをスタートさせた大杉は、80年代に「にっかつロマンポルノ」や新東宝映画などのいわゆるピンク映画で注目を集める。そして数多くの映画からVシネマ、そしてテレビドラマまで、その出演作を挙げていけば数えきれない。まさに日本のあらゆる演技界において欠かせない存在だった。

これだけ多くの作品に出演した俳優なので、代表作と呼べるだけの見事な演技を見せてくれた作品も数えきれない。その中でも改めて注目したいのは彼の出世作でもあるピンク映画『変態家族 兄貴の嫁さん』(84)だ。現在開催中の第68回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門において4Kリマスター版が上映されるなど、近年再評価が進むピンク映画の代表的な一本である。

のちに『Shall we ダンス?』(95)を手がける周防正行監督のデビュー作となった同作は、周防監督が敬愛する巨匠・小津安二郎監督へのオマージュを捧げた独特の演出とカメラワークで、一部の批評家や映画ファンを中心に大きな話題となった。

この作品で大杉は、まだ30代前半であったにも関わらず、まるで小津作品の常連である名優・笠智衆を彷彿とさせる年老いた父親を演じている。大杉はいずれ笠智衆のような俳優になると、当時周防監督が発言したという有名なエピソードがあるだけに、あまりにも早すぎる死が悔やまれる。

そして彼の出演作を語る上で外すことができないのは北野武監督の作品だ。昨年公開された『アウトレイジ 最終章』(17)はもちろんのこと『ソナチネ』(93)や『キッズ・リターン』(96)など幾度もタッグを組んでいる。

98年に公開された『HANA-BI』は、北野にとっても大杉にとっても代表作と呼べる作品だ。ヴェネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を受賞し、大杉はキネマ旬報ベスト・テンやブルーリボン賞の助演男優賞を獲得。一躍その名を轟かせ、名バイプレイヤーとしての地位を確立させたのである。

そして近年では、記録的大ヒットとなった『シン・ゴジラ』(16)で内閣総理大臣の役を演じた大杉。現在も松重豊や田口トモロヲ、遠藤憲一、光石研らと共に出演しているテレビドラマ「バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜」が2月から放送を開始したばかりだった。

多くの名優たちがこの世を去っていく中で、現役で活躍していた俳優の突然の訃報は日本映画界に大きな衝撃を与えることになるだろう。心から故人の冥福をお祈りいたします。

文/久保田和馬

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