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『オールド・ボーイ』監督の新作『渇き』をヴァンパイア映画と呼びたくないワケ

2010年2月23日 19:08

ヴァンパイア映画の体裁を借りた『渇き』
ヴァンパイア映画の体裁を借りた『渇き』[c]2009 CJ ENTERTAINMENT INC., FOCUS FEATURES INTERNATIONAL & MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED

『オールド・ボーイ』(03)でタランティーノ監督をはじめ世界のシネフィルたちの度肝を抜いたパク・チャヌク監督の最新作『渇き』が、ついに今週2月27日(土)に公開される。本作は、“神父がヴァンパイアになってしまう”という体裁をとっているが、“美女の血を吸う”といういわゆる「ヴァンパイア映画」の枠に収まりきらない内容だ。

観終わった後、この作品を「ヴァンパイア映画」というジャンルには入れたくない気分にかられる。なぜこんな気分になるのか?

監督は、本作を制作したキッカケについて、「(自分を厳しく律するはずの敬けんな)神父が、強く誘惑されたり、堕落の道に入ってしまうような機会を与えられたらどうなるのかということを考えたわけです。イエスの血の象徴であるワインではなく、本物の血を飲んだらどうなるのか。さぞ苦痛ではないだろうか」と話す。つまり、描きたかった出発点が違うのだ。

血を吸いたい、でも吸えない。血を吸うということは人を殺めるということ。そこで葛藤が生まれる訳だけれど、ヴァンパイアの設定が“神父”なので、その苦悶は計り知れない。“血を吸う”行為が象徴的に扱われるところに表現の妙があるため、単純に「ヴァンパイア映画」と呼びたくない気分になる。

『サイボーグでも大丈夫』(06)や『親切なクムジャさん』(05)など、彼がこれまで手掛けてきた作品と同様、パク・チャヌク作品はとにかく強烈。どうしても血は出る。でもホラー映画が時として笑えてしまうように、コミカルに、残酷に、ブラックな笑いに包まれる。そして、内容はまったく異なるけれども、コーエン兄弟監督によるアカデミー賞受賞作『ノー・カントリー』(07)のような“映画のお手本”とでも言うような仕上がりになっている。

そのイメージはショッキングなシーンから詩的なシーンまで実に幅広い。鑑賞後はどっと疲れるけれど、紛れもない充実感とやられた感、そして変な興奮を味わえるはず。ぜひとも映画館でその衝撃をくらってほしい。【Movie Walker/堀田正幸】

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