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これぞフランス映画!新進女優アデリーヌ・デルミーに心奪われる『マリリンヌ』[最速レビュー!東京国際映画祭]

2017年10月29日 13:12

ギヨーム・ガリエンヌ監督が若手女優の内面に迫る『マリリンヌ』 | [c]Photo Thierry

父を亡くして田舎町から出てきた主人公のマリエンヌは、オーディションを進んで映画の端役を獲得。ところが突然大きな役回りを任せられるも、うまく演じることができずに監督から厳しい罵声を浴びせられる。自信を喪失した彼女は、アルコールに溺れ、自堕落な生活を送ることに。そんな彼女に、再起のチャンスが訪れる。

俳優としても活躍するギヨーム・ガリエンヌが『不機嫌なママにメルシィ!』(13)に続いて監督を務めた『マリリンヌ』は、彼が15年前に出会った女性から聞いたエピソードを基にしたドラマである。俳優でもある監督が、女優を志す1人の女性にフォーカスするという、自身の経験を投影することができる題材を選んだことによって、この映画を単なる成功譚に落とさずに、パーソナリティに深く入り込んだ作品に仕立て上げたのである。

とりわけ近年のフランス映画では、こういったヒューマンドラマにはやたらと社会的な側面を盛り込もうとされる傾向が強い。決してそうはさせずにあくまでもミクロな視点に留め、時折ユーモラスな描写を織り交ぜていく。なんて品の良い作りをしているのだろうか。これぞフランス映画!と大きな声で言いたくなるくらいだ。

冒頭のオーディションの場面で、中央の机を掴んだまま、左右に動くヒロインの姿が徐々にクローズアップされていくことで、これが彼女の内面により深く迫っていくものだと表明する。このシネスコ画面の使い方でぐっと心を掴まれる。

何と言っても、主人公マリリンヌを演じたアデリーヌ・デルミーの魅力がとにかく爆発している。冒頭5分で、彼女から放たれる途方も無いオーラに打ちのめされ、この映画祭の審査権を持っていれば間違いなく彼女に女優賞を授けたいと思ってしまったほどだ。

彼女の感情の機微に、観客は心を動かされることだろう。一瞬で堕ちた主人公が、不安感を漂わせる表情と存在感を強めていきながら、着実に成功への道筋を歩んでいく。もはや彼女以外のキャストが完全に霞んでしまうほど圧倒的で、彼女を中心にしたすべてのシークエンスにおいて、これが映画の中の映画なのか、映画の中の現実なのかがわからなくなるほど没入させられてしまう。

現在30歳のデルミーは、これまで『カミーユ、恋はふたたび』(12)や、ジャリル・レスペール版の『イヴ・サンローラン』(14)に出演してきた新進女優。彼女のキャリアに、大きな革命をもたらす作品の誕生だ。【文・久保田和馬】

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