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日本の映画産業の未来を憂う、映画館「シネマライズ」の英断

2009年11月14日 18:25

主人公のレイを演じるのは、『21グラム』('03)のメリッサ・レオ

ギリギリの経済状況を切り抜けるために、不法移民をアメリカへ密入国する仕事を始めた女性の姿を描いた人間ドラマ『フローズン・リバー』(2010年正月公開)。本作は、2008年度サンダンス映画祭でグランプリを受賞、主演女優が第81回のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど、各国で絶賛されたにもかかわらず、約1年近く日本公開が決まらなかった。そんな中、公開に向けて動いたのが映画館の「シネマライズ」。自らが権利を買い、配給会社アステアと共に日本公開にこぎつけたという。

映画館が直接映画の公開にかかわることは珍しい。その背景についてシネマライズの担当者は「本作品はコートニー・ハント監督の長編初監督・初脚本作品でありながら世界中の映画祭で賞を総なめし、日本を除く主要国では高い評価とともに、興行的にも成功した作品です。現在の洋画市場、ことに作家性の強いもの、あるいはドラマの市場の縮小を考えると配給社の判断も致し方ないと思いますが、このような良質な作品が日本だけ未公開という状況も忍びないかと考えました。また、権利元から再三の依頼を受けたこともあり決断致しました」と話してくれた。

現在、日本では邦画の勢いが強く、洋画がイマイチ伸び悩んでいるのが実情。大作はそれなりにヒットしているが、劇場規模の小さい単館作品はなかなか興収も振るわず、配給側の気持ちも頷ける。ただ、海外で賞賛を浴びた良作が日本に上陸しないとなると、これはこれで日本の映画産業って大丈夫なのかと不安感が募る。そんな中、こういった新しい方法で海外作品を上映させようとする動きは、コアな映画ファンにとってはうれしい限りだろうし、映画界にとっても大きな一歩と言えるだろう。今後ますます、映画館と映画が深くかかわっていくことは間違いなさそうだ。【トライワークス】

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