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30代の切実なる叫び! 74分1カットの音楽映画が「泣ける」と評判

2009年11月10日 17:42

ギターを片手に、前野健太が吉祥寺の街を歌い歩く | [c]2009 Tip Top

生きていかなきゃね――そんなフレーズがグサリと胸に突き刺さる。これは映画『ライブテープ』(12月26日公開)の中で歌う30歳のミュージシャン、前野健太の楽曲「天気予報」の1フレーズだ。この“ド”ストレートな曲のメッセージが封じ込められた『ライブテープ』が、早くも観た人々の間で「泣ける」と評判を呼んでいる。

『ライブテープ』とは、『童貞。をプロデュース』(07)で若者たちの圧倒的な支持を集めた松江哲明監督が、前野健太の路上ライブを撮影した音楽ドキュメンタリー。“DVテープ”で撮影されたいわゆるインディーズ作品だが、10月25日に幕を閉じた第22回東京国際映画祭の「日本映画・ある視点部門」の作品賞に輝いたことからも、映画としてのクオリティーの高さがうかがえる。

「1年前に父親が亡くなったんです。同時期に祖母も友人も亡くして、やけっぱちになっていた時に、自分を支えてくれる仲間たちと前野さんの映画を撮ることで前へ進めました」と、32歳の松江監督は語る。その前野健太自身もすでに父親を亡くしており、その時の想いを詞に託した楽曲が「天気予報」なのだ。ロケ地は松江監督が23年間住んでいたという吉祥寺。家族と初詣で毎年歩いていたという武蔵野八幡宮から井の頭公園というルートを、前野健太が歌い歩いていく。

何よりこの映画がすごいのは、彼が歩きながら16曲を歌う74分を1カットで撮りきっているという点だ。しかも2009年元旦の夕暮れ時を狙って撮影したという本作は、リハーサルなしのゲリラ一発撮り! 歌声には街の雑踏音が重なり、画面には通りすがりの人々が横切る姿が映り込む。そうした作り手の計算では撮れない瞬間が積み重なり、この映画を形作っていることに感動させられる。

親の老いや死という現実にいやが応でも向き合う30代。松江監督やその同世代の前野健太からの「生きていかなきゃね」というメッセージは、あたかも観客ひとりひとりに向けられた応援歌のように響くだろう。今でしか完成し得なかったドキュメンタリー――『ライブテープ』はだからこそ「泣ける」のだ。【トライワークス】

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