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インタビュー 2020/9/30 10:30

『浅田家!』中野量太監督「映画は人生を豊かにできるもの」原点や原動力を明かす

「原動力は、“誰かを喜ばせたい”という想い」

最新作『浅田家!』は、自身の家族を被写体に、消防士やレーサーなど“家族がなりたかったもの”、“家族でやってみたいこと”をテーマに様々なシチュエーションでコスプレして撮影、ユニークな家族写真を世に送りだした写真家・浅田政志の2冊の写真集を原案に、政志(二宮)の人生を通して家族の絆を描く実話を基にした物語だ。

家族全員を巻き込んで、コスプレ写真を撮影する政志。出来上がった写真はなんともユニークだが、撮影前の取材で実際の浅田家と対面した中野監督は、「浅田家は、どこの家族よりも真っ当な家族だ」と感じたという。「一見すると、変な家族だなと思いますよね。確かにちょっと変わってはいるんですが、お会いしてみると、どこの家族よりも泥臭いくらい家族らしいご家族だった。コスプレ写真の撮影も、親は『子どものために』との想いで、一生懸命にやっているわけです」。

政志を支え続けている兄に話を聞いた際に、印象的なことがあったそう。「お兄さんは『弟に面倒くさいことばかりやらされて、撮影も恥ずかしい』と言うんです。『ではなぜ手伝うんですか?』と聞いたら、お兄さんは『両親が喜ぶから』とおっしゃった。子どもは親のために、親は子どものために頑張るというのは、ごく普通の家族の想いですよね。やっていることは変わっているかもしれないけれど、中身は至って、普通の家族。映画を観た方がもし、『これはいい家族だな』と思ってくださったとしたら、それは普通だからだと思うんです。『この一家も、僕らと一緒なんだ』というものを表現できれば、この物語は成立するなと思っていました」。

家族を撮り続けている写真家の浅田政志と同じように、中野監督も映画を通して家族を見つめてきた。中野監督は「浅田さんと僕で、似ているところはあると思う」と語る。

「“誰かを喜ばせたい”という想いが原動力になっているところは、同じだと思います。僕は映画少年でもなんでもなかったのですが、とにかくなにか表現して、人を喜ばせることが好きだった。それができる最高峰は映画だと思って、映画学校に入って、映画を撮り始めたんです。また僕も2人兄弟の次男坊だし、兄ちゃんが地元で母ちゃんの面倒を見ている一方、僕は自由にやらせてもらっていたという状況も同じ。僕も順調に映画監督になったわけではないですし、苦しい時代があったという点も同じ。結構、いろいろと似ているんですよ」。自身を振り返る機会にもなったようで、「劇中、母親に政志が頬を叩かれるシーンがあって。母親の『あんたはやりたいことをやりなさい。で、時々、家族を喜ばせてくれたらそれでいいから、行きなさい』というセリフがあるんですが、これはまさに僕のことだなと思って(笑)。申し訳ないな、僕も家族を喜ばせなければいけないなと思った」としみじみと語る。

「これから、新たな価値観が生まれるかもしれない。これからも映画の可能性を探していきたい」と意気込む中野監督。自主作品をきっかけに世界へと羽ばたき、力強く邁進しているその姿は、クリエイターを目指す若者にとっても刺激的なものだろう。中野監督は「映画って、『生きるために絶対に必要か?』と言われたら、そうではない。でも、生きることを豊かにすることができるんですよね。人間って、ただ生きているだけではつまらなくて。映画の仕事は、人生を豊かにする助けができる職業だと思うと、自分のやっていることに誇りが持てるのではないかと思っています」と語ってくれた。

取材・文/成田おり枝


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