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オトナも泣ける「クレヨンしんちゃん」の作り方!京極尚彦監督、久野遥子が明かす『ラクガキングダム』に込めた想い

2020年9月18日 23:00

9月11日より公開となった人気シリーズの28作目『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』が週末映画動員ランキング初登場1位となり、ヒットを記録中だ。「オトナも泣ける」と高評価を得ている物語はもちろん、“ラクガキ”をモチーフにした独創的なデザインワークの数々も印象的な本作から、約7分半にわたる冒頭部分の本編映像が公開された。

これにあわせ、MOVIE WALKER PRESSでは、本作で映画シリーズ初参加となった京極尚彦監督と、ポスタービジュアルや“ラクガキングダム”のデザインを手掛けた映像作家の久野遥子の対談を実施。2017年のテレビアニメ「宝石の国」以来のタッグとなった2人が、真摯な言葉で『ラクガキングダム』に込めた想いを明かしてくれた。

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[c]臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020

本作で物語のカギを握るのは、自由なラクガキをエネルギー源として空に浮かぶ王国“ラクガキングダム”。エネルギー不足に悩んでいた王国軍は、子どもたちに無理やりラクガキをさせるため、春日部への侵略を開始。選ばれし勇者のみが使える“ラクガキングダム”の秘宝、ミラクルクレヨンを手にしたしんのすけが、クレヨンで生みだされた個性豊かな仲間たちと危機に立ち向かう姿を描く。

「“ラクガキングダム”は自然発生したという設定。久野さんから貝殻や真珠をモチーフにするアイデアをいただきました」(京極)

【写真を見る】久野遥子ワールド全開!“ラクガキングダム”のデザインを隅々まで堪能
【写真を見る】久野遥子ワールド全開!“ラクガキングダム”のデザインを隅々まで堪能[c]臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020

――久野さんが「映画クレヨンしんちゃん」シリーズに参加されたきっかけを教えてください。

久野「岩井俊二監督のアニメーション映画『花とアリス殺人事件』という作品で私はロトスコープ(俳優のお芝居をカメラで撮影し、アニメーション化する手法)のディレクターとして参加したのですが、この作品で実写の助監督を務めていたのが『ラクガキングダム』のプロデューサーの近藤慶一さんでした。その後近藤さんがシンエイ動画に入社された際に、『映画クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ』のキャラクターデザインでお声がけいただき、それがきっかけで本作まで4作品続けて参加させていただいています」

――京極監督と久野さんは「宝石の国」で監督、演出としてタッグを組まれていましたが、本作での再タッグについてどのように感じられましたか。

京極「『宝石の国』では久野さんに演出として参加していただきまして、それに加えて、エンディングアニメーションや本編中の絵巻物や歴史を語るようなパートでも協力していただきました。その際に、美術設定や空間をつくる点に関してもご一緒したいと思っていたので、本作で再タッグが叶ってうれしいです」

久野「私にとっても、テレビシリーズでの演出は『宝石の国』が初めてだったのですが、京極監督と演出チームのもとで演出助手からやらせていただいたことで、シリーズ制作のイロハを学ぶことができました。当時から京極さんが描かれた絵コンテを見て『おもしろいな、テンポが気持ち良いな』と思っていたので、本作でまたご一緒できて私もうれしかったです」

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[c]臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020

――“ラクガキングダム”のコンセプトを作っていくうえで、どのようなディスカッションをされたのでしょうか。

京極「まずはじめに、“ラクガキングダム”の大きさについて話し合いました。空に浮かぶ王国が春日部上空に落ちてくるという物語なので、あまり小さいと違和感が生じますし、かと言って大きすぎると物語の規模が変わってしまうので。物語を作っていくなかで、大きなお城を中心とした城下町がエネルギーの現象で退廃を始めているというコンセプトが出来上がっていき、その退廃をデザインでどう表現するのかについて久野さんとお話しました。また、お城自体は誰かが人工的に建造したものではなく、自然発生したものにしたいという意図があったので、久野さんから貝殻や真珠という自然の産物をモチーフにするというアイデアをいただき、とても感心した事を覚えています」

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[c]臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020

久野「お城の見た目の部分は、貝殻や真珠のように段々変化して構築されたイメージです。内装に関しては京極さんからお任せいただきましたので、自分がおもしろいと思ったままに考えていったのですが、インテリアについては“ラクガキ”というテーマを反映して画材をあしらいました。映画館のスクリーンで見た時に『あ!これって』と気づけるような部分があると良いなと思っていたので、所々にインクやハサミなどを取り入れて、遊び心を大事にして描きました」

京極「自然発生したお城とはいえ、本物の鍾乳洞のように暗くなってしまうとワクワクしないですから、ラクガキにちなんだデザインを作っていただけてありがたかったですね。実際の作画作業でも、例えば最初一色の平面的なものだった階段を、“動く絵の階段”にしていただいたり。久野さんに描いてもらったのに1カットしか出すことができなかったデザインもいっぱいあるんです。本作のパンフレットは久野さんのデザイン画をしっかり堪能いただけるものになっているので、是非チェックしてみてください(笑)」

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[c]臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020

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