『ホビット』“エクステンデッド版”より未公開シーンを解説…トーリンとスラインの親子愛、PJのセンスが光る五軍の合戦など |最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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コラム 2020/9/27 13:00

『ホビット』“エクステンデッド版”より未公開シーンを解説…トーリンとスラインの親子愛、PJのセンスが光る五軍の合戦など

J・R・R・トールキン原作のファンタジー小説を鬼才ピーター・ジャクソンが映画化した「ホビット」三部作。「ロード・オブ・ザ・リング」三部作の前日譚にあたり、ホビット族の青年が13人のドワーフと共に壮大な冒険へ旅立つ物語だ。これらのシリーズ6作には、劇場公開版に未公開シーンを加えて再編集した“エクステンデッド版”が存在し、WOWOWとWOWOWオンデマンドで放送&配信する特集が展開中。この記事では「ホビット」にフォーカスし、作品をより楽しむことができる未公開シーンを紹介しながら見どころを解説してきたい。

ビルボを演じるマーティン・フリーマン(『ホビット 思いがけない冒険』)
ビルボを演じるマーティン・フリーマン(『ホビット 思いがけない冒険』)[c] 2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

「ロード・オブ・ザ・リング」の60年前が舞台となる「ホビット」。主人公はフロド・バギンズ(イライジャ・ウッド)の伯父、ビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)で、ホビット庄の袋小路屋敷で平和に暮らしていた彼のもとに、魔法使いの灰色のガンダルフ(イアン・マッケラン)がやって来るところから物語は始まる。ガンダルフの計画でビルボは、トーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジ)率いる13人のドワーフの一団に、“忍びの者”として雇われることに。眠っていた冒険心を呼び覚まされた彼は、邪悪な竜のスマウグ(ベネディクト・カンバーバッチ)に奪われたトーリンたちの故郷、はなれ山のエレボールと財宝を取り戻すため、様々な危険が待ち受ける冒険へと旅立つのだった。

ホビットのビルボ・バギンズが13人のドワーフと竜退治の冒険へ出る「ホビット」三部作のエクステンデッド版を解説(『ホビット 思いがけない冒険』)
ホビットのビルボ・バギンズが13人のドワーフと竜退治の冒険へ出る「ホビット」三部作のエクステンデッド版を解説(『ホビット 思いがけない冒険』)[c] 2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

『ホビット 思いがけない冒険』

エレボールの没落、ドワーフとエルフの確執
第一部『ホビット 思いがけない冒険』(12)は、111歳の誕生日を迎えるビルボ(イアン・ホルム)の語りで幕を開ける。トーリンの祖父、スロール王(ジェフリー・トーマス)の統治のもとで大きな繁栄を迎えていたエレボール。しかし、スロールが莫大な財宝やドワーフの王の証とされる“アーケン石”に執着したことから、その栄光に陰りが見え始める…。それがスマウグの襲来を呼び込むことになり、王国を滅亡させてしまう。

スマウグから逃げるトーリンらが、闇の森のエルフの王、スランドゥイル(リー・ペイス)に助けを求めるも、彼に見捨てられてしまう。ビルボの言葉で、スランドゥイルは仲間を失うことを恐れたと説明されているが、エクステンデッド版ではその理由がより明確に。エレボールが最盛期を迎えていた時に、スランドゥイルは“ラスガレンの白い宝石”という一族伝来の宝石を受け取るため、スロールに謁見。宝石の入った箱を差し出されるが、目の前で蓋を閉じられてしまう。以来、エレボールのドワーフと闇の森のエルフの交流は途絶えてしまったのだ。

【写真を見る】イアン・マッケランが「ロード・オブ・ザ・リング」三部作に続いてガンダルフを演じる(『ホビット 思いがけない冒険』)
【写真を見る】イアン・マッケランが「ロード・オブ・ザ・リング」三部作に続いてガンダルフを演じる(『ホビット 思いがけない冒険』)[c] 2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

第三部『ホビット 決戦のゆくえ』(14)のメイキング映像によると、この宝石はスランドゥイルが妻のために、ドワーフに外注して制作したものと言われている。しかし、宝石の見事な出来栄えに、スロールは手放すのが惜しくなってしまったようだ。ちなみに、スランドゥイルに宝石箱を差し出すドワーフは、13人のドワーフの一人で、「ロード・オブ・ザ・リング」に登場するギムリの父、グローイン(ピーター・ハンブルトン)であることが確認できる。

晩ごはん中のトロルに遭遇するビルボたち(『ホビット 思いがけない冒険』)
晩ごはん中のトロルに遭遇するビルボたち(『ホビット 思いがけない冒険』)[c] 2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

やりたい放題のドワーフ、仲間になれないビルボ
ホビット庄を出発したビルボたちは、トロルと戦い、オークとワーグの襲撃も回避しながら、ガンダルフの導きでエルフが暮らす裂け谷へとたどり着く。ドワーフたちはエルフへの敵対心を示すが、領主のエルロンド卿(ヒューゴ・ウィービング)は彼らを歓迎する。

エルフが暮らす裂け谷へたどり着くドワーフたち(『ホビット 思いがけない冒険』)
エルフが暮らす裂け谷へたどり着くドワーフたち(『ホビット 思いがけない冒険』)[c] 2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

裂け谷では、ドワーフたちの自由奔放さ、彼らと打ち解けられないビルボの心情などが未公開シーンで描かれている。宴会の席で、トーリンの甥キーリ(エイダン・ターナー)がハープを奏でるエルフの女性にウインク。それを見た屈強な戦士のドワーリン(グレアム・マクタビッシュ)が顔をしかめると、キーリは慌てて、「エルフ女なんて好みじゃない。顔に髭もないし」と弁明。続けて、「でも、あの子は悪くない」と別のエルフを指すが、グローインに「あれは男だ。バカ」とたしなめられてしまう。

お次も宴会シーンから。エルフの音楽に対して、「楽しい音楽に変えてくれ。葬式みたいに陰気だ」と文句を言うノーリ(ジェド・ブロフィー)。その言葉を聞いて、陽気な性格のボフール(ジェームズ・ネズビット)が「こうなりゃ歌うしかないぜ!」とテーブルの上に立ち、足踏みをしながら軽快に歌い始める。つられてほかのドワーフたちも歌ったり、食べ物を投げつけたりするなど、どんちゃん騒ぎになってしまう。
ドワーフの悪ふざけはまだまだ続き、劇場公開版でも観られる焚火のほか、裸になって噴水で水浴びまでする始末。そのような光景を見て、エルフのリンディア(ブレット・マッケンジー)がエルロンドに「(ドワーフたちは)いつまでここにいるのですか?」と不満をこぼしている。

トーリンを演じるリチャード・アーミティッジ(『ホビット 思いがけない冒険』)
トーリンを演じるリチャード・アーミティッジ(『ホビット 思いがけない冒険』)[c] 2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

「ホビット」は「ロード・オブ・ザ・リング」とのつながりを強くするため、第二部『ホビット 竜に奪われた王国』(13)から登場するレゴラス(オーランド・ブルーム)など原作に出てこないキャラクターや設定が組み込まれている。ドワーフたちの騒ぎには参加せず、一人で裂け谷の「最後の憩」館を探索するビルボ。折れたナルシルの剣やイシルドゥアがサウロンから“一つの指輪”を奪った史実を描いた壁画を眺める場面など、エクステンデッド版でもそれらを確認することができる。

このほか、バルコニーで佇むビルボにエルロンドが近づき、「なぜ仲間といないのだ?」と尋ね、ビルボが「仲間と思われていないから」と答える、2人の会話シーンも追加。ドワーフの仲間になれず、どこか疎外感を感じているビルボに同情し、エルロンドが「もし、ここに留まりたいなら、いつまでもいるがよい」と優しく声をかけている。

「ロード・オブ・ザ・リング」に続いて、ヒューゴ・ウィービングがエルロンド卿役で出演(『ホビット 思いがけない冒険』)
「ロード・オブ・ザ・リング」に続いて、ヒューゴ・ウィービングがエルロンド卿役で出演(『ホビット 思いがけない冒険』)[c] 2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

意外に博識な大ゴブリン
ガンダルフを残し、裂け谷を旅立ったビルボとトーリンたち。霧ふり山脈を越える道中、洞窟で休憩していた一行は罠にはまり、ビルボを除く全員がゴブリンに捕まってしまう。巨大な地下洞窟にあるゴブリン町では、巨体の大ゴブリン(バリー・ハンフリーズ)が楽しそうに拷問の歌を歌い、配下のゴブリンを踏み台にするなど、傍若無人さが増している。一方で、ドワーフたちから押収した武器や持ち物の中に、手クセの悪いノーリが裂け谷から盗んできたと思われる食器などの家財道具を発見。部下から燭台を受け取った大ゴブリンが「第二紀か。なんの価値もない!」と言うなど、意外に博識な一面も描かれている。

トーリンたちを捕らえる大ゴブリン(『ホビット 思いがけない冒険』)
トーリンたちを捕らえる大ゴブリン(『ホビット 思いがけない冒険』)[c] 2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

■『ホビット 思いがけない冒険』
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価格:Blu-ray 2,381円+税、DVD 1,429円+税

■『ホビット 竜に奪われた王国』
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価格:1,429円+税

■『ホビット 決戦のゆくえ』
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価格:Blu-ray 2,381円+税、DVD 1,429円+税

発売・販売元は、すべてワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

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