石橋静河、15歳で訪れた転機「危機感を覚えて飛びだした」ひたむきな女優道のスタートラインとは? |最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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インタビュー 2020/9/5 10:30

石橋静河、15歳で訪れた転機「危機感を覚えて飛びだした」ひたむきな女優道のスタートラインとは?

転機や女優業へのひたむきな想いを明かした石橋静河
転機や女優業へのひたむきな想いを明かした石橋静河撮影/野崎航正

凛々しさと柔らかさが同居する、特別な存在感を放つ女優の石橋静河。第1回木下グループ新人監督賞の準グランプリ受賞作品を映画化した『人数の町』(公開中)では、自らの意志を貫こうとする女性を好演。また新たな扉を開いた。両親とも俳優という家庭に育ち、「小さなころは『親の七光りとも言われてしまうから、私はお芝居をやらない』と言っていた」と抗った過去もあるそうだが、15歳の留学経験をきっかけに、「わがままだった」という自身に大きな変化が起きたという。本作で初共演した中村倫也の印象をはじめ、女優として歩み始めるまでの転機を語ってもらった。

謎の町を舞台に描くディストピア・ミステリー『人数の町』
謎の町を舞台に描くディストピア・ミステリー『人数の町』[c]2020「人数の町」製作委員会

荒木伸二監督による初長編映画となる本作。借金取りに追われていた主人公の蒼山(中村)は、ある日「居場所を用意してやる」というヒゲ面の男に誘われて奇妙な町にやって来る。そこでは簡単な労働と引き換えに衣食住が保証され、町の住人たちは深く考えずにそれらの労働を受け入れていた…。不思議な町を舞台に、人間が“人数”としてしか認知されない恐ろしさが浮き彫りになる、ディストピア・ミステリーだ。

「コロナ禍では、また違う感想を抱いた」

「いまの時代ともリンクする気がする」と映画の魅力を語る
「いまの時代ともリンクする気がする」と映画の魅力を語る撮影/野崎航正

脚本も手掛けた荒木監督と話し、「監督のやりたいこと、アイデアがものすごく明確でした」と発想に大いに興味を惹かれたという石橋。「これまでの日本映画にはあまりないような、シュールでちょっと笑える部分もありながら、それがホラー的な怖さにつながるような作品になると感じました。そういった作品はやったことがありませんし、ぜひやってみたい。そして私自身、この映画を観てみたいと思いました」とワクワクしながら飛び込んだ。

ファンタジーでありながら、現実とリンクしていくような恐ろしさがある。石橋は「人間が人数としてしかカウントされない町なんて、嫌だな、怖いなと感じました」と町の印象を語りつつ、「コロナ禍になる前に完成した映画を観た印象と、コロナ禍で観た印象では、また違った感想が生まれた。そこがまたおもしろかった」と明かす。「いまの時代を生きるうえでは『今後どうなってしまうの?』と感じることもあって。本作の描く、どうなるか先がわからないという“得体の知れない怖さ”は、いまの時代ともリンクする気がしました」。

「危機感を覚えて勇気をふるった。15歳の留学経験は大きな転機」

留学先でたくさんのことを学んだという
留学先でたくさんのことを学んだという撮影/野崎航正

石橋演じる紅子は、行方不明になった妹を探すために町を訪れる女性。蒼山と共に町の真相に迫っていく役どころだ。町の住人たちが、町のルールに流され、深く考えずに労働を受け入れていく一方、紅子は「この町はおかしい」という違和感を持ち、自らの意志をしっかりと貫こうとする。石橋は「脚本を読んでいる時も『この町はおかしい』と紅子目線で読んでいましたし、その自分の素直な感覚を役に注ぎ込もうと思っていました」と紅子に心を寄せる。

石橋自身、紅子のように「『みんながこうしているから、私もそうしよう』とはあまり考えないタイプ」だと自己分析。「何事も自分で決めないと嫌だなと思います。そうしないと、その結果がよくなかった時に『だって、みんなが言っていたから…』と誰かのせいにしてしまいそうですよね。それは悔しい。自分で『よし!私はこうしよう』と決めて、もしそれが間違っていたら『私、間違っちゃいました!』と言えばいい(笑)。自分で決められることは、自分で決めたいですね」と話す。

自らの意志をしっかりと貫こうとする紅子
自らの意志をしっかりと貫こうとする紅子[c]2020「人数の町」製作委員会

凛としたたたずまいも美しい彼女だが、「自分で決めたい」という心の声を聞いても、芯の強さが感じられる。その強さの原点は、15歳で経験した留学時代にあると告白する。「15歳でバレエを学ぶためにアメリカに留学して。アメリカでは『私はこう思う』と主張しないと、すべてに置いていかれてしまうんです。例えば『このあと、どこかに行こう』となると、日本ならば『あなたも行く?』と聞いてくれますよね。でもそれを待っていて、なにも言わなかったら『この子は行きたくないんだな』と思われて、置いていかれてしまう。その経験は、自分のなかで大きなものとして残っています」。

留学は「間違いなく自分の転機」だというが、当時中学校3年生の石橋はなぜその決断をしたのだろうか? すると、「危機感ですね」とふわりと微笑む。「留学するまでは、家の近所が私の世界のすべてでした。末っ子で、家族からも大事にされて幸せな子ども時代。でも恵まれすぎていて、ヤバいんじゃないかと勝手にいろいろと想像を巡らせて(笑)。このままでは、わがままし放題の大人になってしまう。ここから飛び出さないといけないと思いました」と勇気をふるった。

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    出入りは自由だが決して離れられない奇妙な町を舞台にした中村倫也主演のミステリー