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尾道・大林宣彦を訪ねる旅――『転校生』から『海辺の映画館』へ、“映画のまち”と大林映画の40年

2020年8月9日 23:00

新たな創作活動「古里映画」

大林監督の母校である、土堂小学校
大林監督の母校である、土堂小学校

『あの、夏の日 とんでろ じいちゃん』(99)で「新・尾道三部作」が完結したあと、大林監督の自伝的作品である『マヌケ先生』(99)を区切りに、尾道をメインにした映画制作は完全に途絶えることになるが、大林監督は日本各地の文化や歴史、戦争の記憶に密着した新たな創作活動、「古里映画」と称される連作に、休むことなく挑んでいく。
尾道での映画制作がなかった時期も、大谷さんら尾道のスタッフは大林監督の撮影現場をたびたびサポートしていたそうだ。
「撮影現場を立ち上げる、最初の1週間くらいは現地に手伝いに行っていました。大分や長野、長岡に行ったり。『野のなななのか』を撮影した北海道の芦別には10日間ほどいましたね。そうやって監督に呼んでいただけたおかげで、全国のロケ地に友達ができました」。

本作内の1シーン:花火
[c]2020「海辺の映画館—キネマの玉手箱」製作委員会/PSC

「古里映画」を創作していくなかで、「尾道三部作」を知らない新たな世代にも大林映画のファンが生まれ、評論家からも改めて高い評価を受けることになった。なかでも、佐賀県唐津市を舞台に戦時下の若者たちの青春群像を円熟した演出で魅せた『花筐/HANAGATAMI』は、大林映画の新たな代表作とも呼べる仕上がりとなり、第72回毎日映画コンクール日本映画大賞、第91回キネマ旬報ベスト・テン監督賞などを受賞した。

しかしこの映画の準備中の2016年8月、大林監督はステージ4の肺がんと診断、余命3か月を宣告される。
奇跡的に病状が快方に向かい、『花筐/HANAGATAMI』を完成させた大林監督だったが、「古里映画」を通して追求してきた“戦争と記憶の物語”というテーマは、ふたたび故郷である尾道への強い想いとなって、一本の映画に結実する。

写真/黒羽 政士



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