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『オーシャンズ8』お姫様に憧れなかった“女の子”に捧げる、革新的な犯罪映画

2020年7月10日 19:30

ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモンら豪華キャストが共演し、人気を博した「オーシャンズ」シリーズ。それに続く物語として主要キャラクターを女性に置き換え、サンドラ・ブロックやケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイといったこれまた豪華キャストがそろい踏みしたのが『オーシャンズ8』(18)だ。単なる大ヒットシリーズの続編という位置づけに思われがちだが、本作はその枠に収まらない革新的な作品になっている。

メットガラから高級ジュエリーを盗もうとする
メットガラから高級ジュエリーを盗もうとする[c] 2018 Warner Bros. Entertainment Inc. and Village Roadshow Films (BVI) Limited. All rights reserved.

5年8か月服役の末、刑務所から出所したデビー・オーシャン(ブロック)。彼女はかの有名な大泥棒ダニー・オーシャン(クルーニー)の妹だった。出所してすぐ、高級デパートから高価な服飾品を次々とくすね、従業員を巧みにダマして一流ホテルの一室でくつろぐ彼女には、ある壮大なプランがあった。それは、ニューヨークのメトロポリタン美術館でおこなわれるファッション界最大の祭典「メットガラ」から、1億5千万ドル相当のジュエリーを盗みだすというもの。かくして、デビーは様々な犯罪のプロを集めたドリームチームを結成し、計画を実行に移そうとする。

『オーシャンズ8』が本日21時~、「金曜ロードSHOW!」で地上波初放送
『オーシャンズ8』が本日21時~、「金曜ロードSHOW!」で地上波初放送[c] 2018 Warner Bros. Entertainment Inc. and Village Roadshow Films (BVI) Limited. All rights reserved.

ハリウッドでは過去にも数多くの、女性を主人公にしたアクションや犯罪ドラマが作られてきた。しかし、本作がそのどれとも違う点は、登場人物たちの性格や言動を仮に男性に置き換えたとしても、根幹の物語に影響がない点だろう。つまり本作の革新性とは、「登場人物が女性であること」を特別視していないことだ。
本作で脚本を務めたオリビア・ミルチは「映画ではよく女性に動機を求めるけど、(『オーシャンズ8』では)8人の仲間で強盗をやり遂げること、その楽しさを描きたかった」と語っている。
たしかに、女性主人公の作品では、主人公の行動になにかしらの社会的なメッセージを持たせることが多いが、(男性へのリベンジの要素がまったくないわけではないとはいえ)いい意味で本作ではそれらが感じられない。
男性キャストによる軽快で洗練された犯罪映画はいくつも思い浮かぶが、女性キャストによる本作でも、純粋にデビーたち“新オーシャンズ”の華麗な犯罪劇を楽しむことができるという点でも、本作に存在意義を感じる。

自身のスキルに絶対的な自信を持つメンバーたち
自身のスキルに絶対的な自信を持つメンバーたち[c] 2018 Warner Bros. Entertainment Inc. and Village Roadshow Films (BVI) Limited. All rights reserved.

キャラクターやセリフからもその方向性は明らかだ。新オーシャンズのメンバーには、デビーを筆頭に、右腕のルー(ブランシェット)、ハッカーのナインボール(リアーナ)、スリ師のコンスタンス(オークワフィナ)、落ちぶれたファッションデザイナーのローズ(ヘレナ・ボナム=カーター)など個性あふれる面々が集結。
彼女たちはそれぞれ、自分の仕事に独自の美学や誇りがあり、そのスキルに絶対的な自信を持っている。女性を描く記号としてありがちな“ガールズトーク”で盛り上がることもなく、一つのプロジェクト挑む仕事人の集まりなのだ。

また、ルーがデビーに「(危険を冒してまで)なぜジュエリー盗むのか?」と尋ねるシーンでは、デビーは「得意だから」と軽く返答する。女性が宝石を盗む、という設定に積極的なジェンダーの意味付けを見出していないからこそ描けたシーンと言えるだろう。
そして、計画実行を前にデビーが鏡と向き合う場面では、「私たちのためにやるんじゃない。泥棒に憧れている女の子のためにやるんだ」と自分を鼓舞するように言い放つ。
元盗品ディーラーだが結婚して足を洗っていたタミー(サラ・ポールソン)が、デビーからの誘いを断り続けるも、最後には計画の魅力に負けてメンバーに加わる経緯も興味深い。危険な冒険は男性だけのものではなく、スリルに魅了される女性も、もちろんいるのだということを本作ではきちんと描いている。

新オーシャンズの華麗な犯罪劇が楽しい!
新オーシャンズの華麗な犯罪劇が楽しい![c] 2018 Warner Bros. Entertainment Inc. and Village Roadshow Films (BVI) Limited. All rights reserved.

新オーシャンズのメンバーでは、特にクールなジャケットやスカジャンをビシッと着こなすブランシェット演じるルーの“カッコよさ”も際立っていた。
また、新オーシャンズの標的である人気女優ダフネ・クルーガーを好演し、ルーとは対照的なぶりっ子全開のプリンセス演技を見せるアン・ハサウェイの思わずニヤリとする行く末も見逃せないポイントだ。

世の中の女の子みんなが、プリンセスやお花屋さんに憧れているわけではない。『オーシャンズ8』は、様々な女性の“らしさ”を映した革新的な犯罪映画なのだ。

文/平尾嘉浩(トライワークス)

■『オーシャンズ8』デジタル配信中
Blu-ray&DVD 発売中
価格:Blu-ray 2,381円+税、DVD 1,429円+税
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

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