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話題の“逆再生”映像はこう撮られた?『TENET テネット』の技法を山崎貴監督が読み解く!

2020年7月3日 16:30

「ダークナイト」三部作で世界的人気を博し、『インセプション』(10)から『インターステラー』(14)、『ダンケルク』(17)へと意欲作を作り続け、常に進化を求めてきたクリストファー・ノーラン監督。最新作『TENET テネット』(9月18日公開)の公開を控え、新情報が出るたび映画ファンに興奮と様々な憶測をもたらしている。時間を逆行させたような映像、第三次世界大戦を思わせるセリフなど、あまりにも多くの謎に満ちているからだ。

『TENET テネット』について、予告映像から山崎貴監督にクリエイター目線で予測してもらった
『TENET テネット』について、予告映像から山崎貴監督にクリエイター目線で予測してもらった[c]2020 Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

「MOVIE WALKER PRESS」では「WHAT IS TENET?」をテーマに、識者たちが本作の展開を大胆予想!第1回は、日本映画界を代表するヒットメイカーで、緻密なビジュアルでも高い評価を得ている山崎貴監督が登場してくれた。VFXクリエイターでもある山崎監督にとって、新作を発表するたびに観たことのないビジュアルを見せつけてくれるノーラン監督は最も気になる映画監督の一人。予告編で描かれている“逆再生”映像はどのように撮られているのかに始まり、ノーラン監督の魅力とらしさ、時間を操ることの楽しさなど、クリエイターならではの視点から『TENET テネット』の見どころを読み解いてくれた。

『TENET テネット』を予告編から読み解いてくれた山崎貴監督
『TENET テネット』を予告編から読み解いてくれた山崎貴監督

「今回は“時間の逆行”ということがキーポイントに」

CGをはじめVFXの使用を最低限にとどめ、カメラで撮影した実写映像にこだわり続けるノーラン監督。いまだその内容は明かされていないなか、予告編には通常の動きと逆再生した動きが入り乱れた空前のビジュアルが次々に映しだされている。時間軸を自在に操った長編デビュー作『フォロウィング』(98)から前作『ダンケルク』(17)に至るまで、様々な形で“時間”の表現に挑んできた。予告編の不思議な映像を観ると、今作はそんなノーラン映画の一つの到達点なのかもしれない、という予感を抱かせる。

【写真を見る】『TENET テネット』予告編で話題になった“時間を逆行”させたような映像の手法を探る
【写真を見る】『TENET テネット』予告編で話題になった“時間を逆行”させたような映像の手法を探る[c]2020 Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

予告を見た山崎監督が真っ先に口にしたのが、見たことのない“時間の概念”の描き方。破損した車が転がりながら事故前の車体に戻ったり、波を逆に切りながら船が海を逆走していくシーンも登場する。「これまでノーラン監督は、自由に時間を伸ばしたり縮めてみたり、『インセプション』では時間に加え重力の概念がまったく違う世界も描いていました。今回は時間の逆行ということがキーポイントのようなので、どんな世界を展開してくれるかわくわくしています」と期待を膨らませる。

かつて山崎監督は、SFアクション『リターナー』(02)の中で時間を20倍に引き延ばす装置“ソニックムーバー”によって時間軸が違った世界を提示した。そんな山崎監督に、時間を操る魅力を聞くと「映像の中でしか見られないこと」だと語る。「時間の流れは、現実の世界では制御することができません。おそらく人間がフィルムを発明し、撮影することで初めて発見したんじゃないでしょうか。時間を操れるのは、映像の特権と言ってもいいでしょう」

雰囲気はスパイ映画のようだが…?
雰囲気はスパイ映画のようだが…?[c]2020 Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

「予告編の映像を見る限り、人物にかんしては逆転演技しかない」

VFX畑出身で、現在も監督だけでなくVFXスーパーバイザーを務めている山崎監督。『TENET テネット』の逆行する世界がどう撮られたのかを尋ねると「僕だったら、別撮りして合成しちゃうんですが…」と笑いながらこう推測してくれた。「ノーラン監督はVFXに頼るのを嫌いますから、合成は使わないでしょう。予告編の映像を見る限り、人物にかんしては逆転演技しかないと思うんです。人の動きを撮影し観察するとわかるんですが、歩く姿を逆再生させると違和感がある。踏みだす時の力の入れ方や足の軌道やスピード、着地のタイミングなどすべてが逆になるからです」とのこと。

たしかに予告の逆再生するアクションには違和感がない。「フィルムを細かく観察して逆の動きをお芝居として演じてもらい、カットによってそれを逆撮して使う。そうすることで、逆回しの世界の中で正逆どちらの動きにも違和感がなくなる。ただし、役者にすごい訓練が必要になりますけど(笑)」
さらに、撮影方法ありきで企画が生まれた可能性も指摘する。「合成なしで逆再生した動きをさせるにはどうしたらいいかを考えて、よい方法を思いついたからこの映画を作ったんじゃないかという気もします。どちらにしても、こんな特殊なアクションを映画にして巨大なスクリーンで見せようと考えるのは、たぶんノーラン監督だけじゃないでしょうか(笑)」



WHAT IS TENET?クリストファー・ノーランが仕掛ける『TENET テネット』特集

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