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歴代ボンド、どの作品が高評価?批評家が選ぶ「007」シリーズの“フレッシュ”10選

2020年7月26日 14:30

上位10作品には、ショーン・コネリーが演じた初代ジェームズ・ボンドの作品が4本、ダニエル・クレイグが演じる6代目ジェームズ・ボンドの作品が2本ランクイン。さらに2代目から5代目までのジョージ・レイゼンビー、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナンの作品が1本ずつランクインするという、歴代のボンドを完全網羅する興味深い結果に。ボンドを演じる俳優によって作品のカラーが異なるだけでなく、評価もすっぱりと分かれるイメージが強いが、実際には誰がボンドを演じても安定した人気を誇っていることが確認できよう。

第1作〜第5作、第7作でジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリー
第1作〜第5作、第7作でジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリー写真:SPLASH/アフロ

そんななかでもっとも高い評価を獲得したのは、98%フレッシュという断トツのハイスコアを獲得した『007/ゴールドフィンガー』。コネリーがボンドを演じたシリーズ第3作である本作は、ボンドカーとしてアストンマーチンが初登場したり、ギミック満載のアイテムの数々やボンドガールの描き方など、その後のシリーズ作品に脈々と受け継がれていく「007」の形が作られた記念碑的作品でもある。この前作『ロシアより愛を込めて』でシリーズの人気が高まったことや、公開直前に原作者のフレミングが逝去した点も、本作の価値を高めることにつながっているのだろう。

アメリカ映画100年を記念してAFI(アメリカ・フィルム・インスティチュート)から発表された各ランキングでは、本作でゲルト・フレーベが演じたオーリック・ゴールドフィンガーが「悪役ベスト」の49位にランクインし、「主題歌ベスト」でもシリーズ最上位の53位に(『私を愛したスパイ』も67位にランクイン)。そして「名台詞ベスト」では、後にジェームズ・ボンドの代名詞となる「A martini. Shaken, not stirred.」が90位に入るなど人気の高さを改めて窺わせる。もちろん記念すべき第1作『ドクター・ノオ』と続く『ロシアより愛を込めて』も95%の高評価となっており、「007」シリーズを語る上では初期の3本は絶対にチェックしておく必要がありそうだ。

第6作『女王陛下の007』でボンドを演じたジョージ・レーゼンビー
第6作『女王陛下の007』でボンドを演じたジョージ・レーゼンビー写真:SPLASH/アフロ

上位10作品のなかで特にオススメしたいのは、レイゼンビーによる2代目ボンドの唯一の作品である『女王陛下の007』。ボンドの結婚やボンドガールの死という、それまでのシリーズ作には見られないアクセントが多数加えられた本作は、シリーズの第1作から編集を担当していたピーター・ハントが初監督に挑戦した意欲作だ。ハントの演出は彼の編集マン時代の経験が活きたのかテンポの良さが際立っており、クレイグ版ボンドが公開するまでシリーズ最長だった140分という上映時間の長さを感じさせない濃密さ。クレイグ版ボンドでシリーズの虜になった人はハマること間違いなしだ。

最新作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』では現役を退いたボンドに危険なミッションが待ち受ける!
最新作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』では現役を退いたボンドに危険なミッションが待ち受ける!

スパイ映画というジャンル性の高さも相まって、長年娯楽映画としての位置付けが強かった「007」シリーズだが、クレイグによる6代目ボンド作品からサスペンス性とドラマ性を一気に高めたことは言うまでもない。ボンドの内面にまで深く切り込んだストーリーとスタイリッシュな画面。それだけに、『カジノ・ロワイヤル』が往年の名作と肩を並べる高評価を獲得しているのも充分に頷ける。そんな6代目ボンドの最終作とも言われているシリーズ最新作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』が、今年秋に公開される。

シリーズ第1作の舞台であり、フレミングが生前過ごしていた場所でもあるジャマイカを舞台にした最新作では、引退したジェームズ・ボンドに代わり新たに007の称号を引き継いだエージェントの登場や、シリーズ最恐の悪役ともいわれるサフィンを『ボヘミアン・ラプソディ』(18)のラミ・マレックが演じ、主題歌をいま人気急騰中のビリー・アイリッシュが史上最年少で担当するなど話題づくし。新型コロナウイルスの影響で半年近い公開延期になってしまったのは残念ではあるが、クレイグ版ボンドの有終の美に備え、この機会にシリーズ作品を一気におさらいしてみてはいかがだろうか。

文/久保田 和馬

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