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映画好きだが、映画が仕掛けた通りに感動してしまう、映画会社にとっての「理想的な観客」ではなく、作品に隠れた意図や矛盾を探り、作品の無意識を暴き出す、映画と格闘する「シネフィル(知的な映画ファン)」でありたい。
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by すすむA
  • 2013年8月公開  
    アンジェ、監督でも最高
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    2012年に世界最高収入を上げた国際女優、アンジョリーナ・ジョリーの第1回監督作品である。エンド・ロールには、脚本もアンジェが書いたとあった。原題はIn the Land of Blood and Honey(血と蜜の流れる地)で、旧約の「乳と蜜の流れる地」に由来していることは明らかである。聖書では「約束の地」カナンを指す語が、20世紀のサラエボでは何とアイロニカルに響くことか。

    いや、アンジェはそんな冷笑的にタイトルを決めたのではないだろう。エジプトを脱出したイスラエルの民は、半世紀後にカナンに来たが、この地には既に別の宗教を持つ人々が定住していた。侵入民は彼等と紛争も起こしたが、終いにはともに暮らし、混淆したという(加藤隆『一神教の誕生』)異民族、異教の人々との平和共存。「血と蜜」に込めたアンジェの祈りを感じる

    それにしてもこの作品の上映が全国でたった46館とは(公式サイトによる)。さんざん彼女に儲けさせて貰った映画館主の冷たい仕打ちに呆れる。これはアンジェファンに「観るな」と言っているのと同じである。

    それがつまらない作品というなら兎も角、出来映えが素晴らしい。大声上げて皆に勧めたかった。その良さをを一つ一つ挙げてみたい。

    第1はキャストに、サラエボ生まれのセルビア人やボスニア人を起用したことだ。容貌や雰囲気がアメリカ人や西ヨーロッパ人と違う。土地に生きるスターたちゆえの、差し迫った臨場感があると感じた。

    第2は描き方に、グロテスクなほどのリアリズムがあること。恋愛を描きながら、メロドラマに向かわないように、強く心がけている。「二人のために世界はあるの」等という、ノーテンキな日本人が期待する展開は少しもない。敵対しあう、民族と家族の間で引き裂かれる愛。あのような無惨な終末を我々は予想出来たろうか。ショックで呆然とした。

    だがあれはまさしく恋愛映画である。あの結末こそが至高な愛の表現でなくて何であろう。

    第3は、女性監督でなければ気が付かない、細部にいたる表現が見事である。ヌードやベッドシーンがとても上品だ。伏線も実によく配慮されている。一例をあげれば、ダニエルの父の将軍がアイラを訪れて肖像画を描かせる意味、ダンスシーンも、最初はレストランで、2度目はダニエルの兵舎であるのだが、2度目はアイラを全裸にすることで、彼女の置かれている立場を鮮明に表現する。

    アンジェは次の映画を企画中だという。稀な名監督に期待するとともに、次回は、彼女に対する正当な評価を、映画館主がしてくれることをただ祈る。

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