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つがるじょうじ
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レビューした映画

by つがるじょうじ
  • 2008年11月(土)公開  
    リメイクでもなく、続編でもなく
    タグ :
    • 切ない
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    • キュンとする

    私は、今でも演劇に多少携わっており、そのおかげで市民劇団のアトリエ公演でチェーホフの「櫻の園」公演の演出をまかされるという幸運に恵まれた者です。
    その「櫻の園」公演がなければ、今もこうして演劇に関わることもなかったと思います。

    そして1990年の映画「櫻の園」。低迷を続けていた日本映画に個人的に嫌気がさしていた当時の私に脳天まで突き抜ける衝撃を与えたのがその「櫻の園」でした。吉田秋生氏の原作マンガを大胆にアレンジし、堅苦しい女子校の創立記念式典行事での「櫻の園」公演の朝から本番までの数時間の出来事を少女たちの群像劇として、みずみずしく描いた傑作だと今も思います。
    自分が演劇に関わってから改めてビデオを見直したときに、なぜ物語が朝から始まらなければならないのか、とか、なぜ演劇部のこまごまとした描写を描いているか、より理解ができました。
    それは演劇に携わる人の常識をさりげない描写にちりばめていたということなのですが、そのことはやはり脚本家じんのひろあき氏の手際のよさだったのでしょう。
    ですから、この「櫻の園」を観る時、演劇やチェーホフの「櫻の園」についてやはり知っているほうが、よりよく作品を理解できるような気がします。本当は、そんな事を知らなくても感動できる作品作りを目指している、ということは分かっているのですが。そこがこの映画の辛い所かもしれません。

    さて今回の「櫻の園」、一人の少女が転校してきて、やがて仲間と出会い…というストーリーになっていて、前作のリメイクという感じではなくなっているように思います。校舎自体、前作の舞台となった旧校舎でなく、新しい校舎に変わっています。(旧校舎が出てきたときは懐かしい気持ちになれました)

    既成の権力や体制にちょっと反抗的な主人公「桃」。旧校舎で偶然手にした「櫻の園」の台本。「やってみようか」という軽い気持ちで取り組み始めた演劇。でも演劇部は廃部、櫻の園の上演も長い間のタブーとなっていた…

    前作と物語のアプローチの仕方も違い、人物関係もおそらく前作を踏襲していないようです。(パンフレットとか読んでないのでわかりませんが)

    でも、というか、そこが中原監督の狙い目なのかも知れません。決して同じにはならないこと。「時間」という残酷な流れが全てを変えていく、それは仕方のない事なのでしょう。菊川怜扮する担任教師と京野ことみ扮する「桃」の姉がかつて演劇部で先輩後輩の仲であったこと、でも今はそれぞれの生き方をしているように、人は人生は、一つの所にとどまり続けることは難しいのかも知れません。

    それを敢えて不変のものとしようとする所が、学校であり、学校の「伝統」なのでしょう。

    女子校の学園物語ですが、学校生活場面はあまり出てこないし、ひたすら桃の行動と演劇の練習を軸に、それぞれの登場人物たちが抱えている悩みや苦しさも、まさにセリフやショットの積み重ねで見せていく、その手法はまさに中原監督の素晴らしさ、だと思いました。

    リメイクでなく、ましてや続編でもない故に、物語は前作の相似形(あるいはらせん的)なストーリーをなぞっていくような気がします。

    物語の結末をここで述べるのは控えたいと思いますが、監督が強く伝えたいこと、それは「今を生きろ」ということではないでしょうか。高校生活3年間の、あるいはこの物語の桃の一年間の、あるいは「櫻の園」を上演するまでの短い時間、それは二度と戻ってこないかけがえのない時間なのだということ。
    人生には何度も挑戦できることもあるけど、その時期を逸してしまうと二度と叶う事のないタイミングもあるのだということ。

    映画の中でも言われる「どうして100年も前のロシアのお芝居を今しなきゃならないの」という問いかけ。
    チェーホフが描いた登場人物たちが、決して古くさい人々ではないからだと思います。時代も国も違うけれどそこに息づく人々の物語は普遍性をもって、日本の一地方の桜華学園という女子校の演劇部に届いたのだと思います。学校が桜の木に囲まれているから「櫻の園」を演じるのが伝統になった、という設定ですが、そこはやはりチェーホフの作品が凄いからだということもあるのではないでしょうか。
    だから、桃たちが学校から反対されようと「櫻の園」を上演しようと集まった時、それぞれの思いを、「櫻の園」の登場人物のセリフに仮託して吐露することができたのだと思います。個人的には、そのシーンで不覚にも涙がでそうになりました。

    女の子が女の子に憧れたり、恋人の事で不安になったり、そういう女子校独特の雰囲気は前作のテイストものこしつつ、ラストをちょっといじって、前作を観た人へのサービスもしつつ、幕が閉じる(あるいはこれから上がる?)作品に仕上がっていた、と思います。

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