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晴耕雨読
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 上記した「ameblo」に主要投稿を移しました。HNは同じ「晴耕雨読」です。運動不足を反省し、今年の5月よりジムに入会しました。還暦前2年の年齢と5年ぶりのジムワークにへたり気味ですが、キックボクシングスクールにも参加して、老体に鞭打っています。3分間縄跳び×3回から始まり、シャドーを経て、パンチ&キックのキックミットやヘビーサンドバッグ、スパーリングの2時間の練習をプロのキックボクサーたちと週2回(他、週4回のトレーニング)行っているので、帰宅途中の下りのエスカレータでは足を踏み外すわ、自宅に到着するのは午前様だわになっています。詳細は私のブログ。
 高校~大学生時代にノートに書き込んでいた映画レビュー「映画徒然草」とその後社会人になってから鑑賞した映画と共にレビュー投稿しています。私が文学や映画へ興味を持ったのは、高校生時代の恩師で、現在は別府大学教授になられた、倉田紘文教授と衛藤賢史教授の薫陶のお陰です。また、いつも私のレビューに注目して頂いているユーザーの方に厚くお礼を申し上げます。

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by 晴耕雨読
  • 1952年10月公開  
    “人間は努力する限り迷うもの”
    タグ :
    • 黒澤明
    • 心温まる
    • 泣ける

     「生きる」は全世界の映画史上でも屈指の名作です。1952年の作品ですから、同年に誕生した私が鑑賞出来たのは、大学入学の為に上京して国立近代フィルムセンターでの鑑賞が初めてとなります。正直言って、「七人の侍」や「用心棒」といった黒澤活劇映画を好んでいた血気盛んな時期でしたので、「生きる」を最初に鑑賞したときは主人公の市民課長が夜の盛り場をメフィストを名乗る小説家と一緒に遊び回るシーンや長時間に渡るお通夜のシーンに拒絶感があったのです。しかし、大学生時代にゲーテの「ファウスト」を知ることによって、歳月を経ることによる肉親や知人の死を体験することによって、「生きる」への評価は劇的に変わりました。ベルリン映画祭で銀熊賞を受賞したのも「ファウスト」を誘惑する悪魔、メフィストが主(神)に対して、“人間たちは、主から与えられた理性をろくでもないことに使っている”と進言して、常に向上心を持って努力するファウスト博士を推薦する主と賭けをすることが、「生きる」に描かれていることも要因の一つになるでしょう。

     映画は主が語った“今は未だ混沌として生きているが、いずれは正しい道へ導いてやる”と述べたファウスト博士は平々凡々とルーチンワークを繰り返しているだけの主人公である市役所の渡辺市民課・課長であり、彼を演じる志村喬が一世一代の名演技により作品を揺るぎない評価にしているもう一つの要因でしょう。志村喬が演じる小役人は生命力に乏しい無気力な人間であり、職場の女性職員である小田切みきに“ミイラ”のニックネームをつけられてしまう存在でしかなかったのですが、映画冒頭で描かれている癌のレントゲン写真が説明するように自分の余命を知ることによって、主が語る“人間は努力する限り迷うもの”を実践してゆくのです。死への恐怖から息子への愛情を呼び起こし、リリシズム溢れる回想シーンをひっくり返すように、エゴイストとなってしまった息子に対する絶望感から、主人公は刹那的な快楽の遍歴をするのです。印象的に描いていた自殺、飲酒、パチンコ、キャバレー、ストリップ、ダンスホール…。勿論、全てが虚しく決して救われることはないのです。

     主人公の小役人が霊感に打たれたように努力をすることを思い立った瞬間、前代未聞の展開をする構成は天才映画作家の着想であり、凡庸な人々には思いもよらぬことだったことでしょう。「羅生門」のような集団による証言を彷彿とさせる場面でしたが、この場所に出席していた人々が話題にしていた主人公の醜聞や疑問を解消して結論に達するシーンが見事です。本音と建前を使い分ける狡猾な市役所高級官僚たちの意見を一気にひっくり返したのは、公園建設を陳情していた劣悪な環境下の市井の人々が登場することにあり、慇懃無礼な姿勢を完全に否定し嘲笑する構成にも拍手喝采。助役以下の部長級が退散した後も下級公務員の中に厳然と存在する上下関係が上座と下座の位置で指定される滑稽さにありますが、これこそが旧態依然とした組織である市役所を象徴しています。主人公のような人間でありたいと願い、酒の席による高揚感から主人公のような人間になると宣言する小役人たちは、同時に私たちへのメッセージでもあります。この場面で上下関係を否定(酒が入った一時的なところが面白い)した左ト全の暴走ぶりも良かったのですが、理想と現実の悲劇的なギャップが私たち観客たちの心にも深く突き刺さってくるセリフを語る木村という市役所の末席吏員がラストを締め括ります。そして、完成した小さな公園を陸橋の上から俯瞰するショットを良心的だった木村の視線にした夕暮れのシーンは、伝説になっている雪の中のブランコでゴンドラの唄を歌うアップと同じように絵画のように美しいのです。

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