榮倉奈々
加賀美ちえ
「Yahoo!知恵袋」に投稿されるや話題になった、妻の奇妙な行動の理由を探る男性の質問を基にしたラブストーリー。榮倉奈々が妻を演じ、ワニに食べられたり、戦国時代の落ち武者になったり、15パターンの“死んだふり”を熱演。安田顕演じる夫の困惑ぶりもおかしい。監督は『神様はバリにいる』などユニークな作品を得意とする李闘士男。
※結末の記載を含むものもあります。
サラリーマンのじゅんと妻のちえは結婚3年目の夫婦。ある晩、じゅんが仕事を終えて帰宅すると、玄関でちえが口から血を流して倒れていた。ちえは死んだふりをしていたのだが、じゅんは動転する。以来、ちえは必ず死んだふりをするようになり、それは次第にエスカレートしていく。じゅんはちえが何を言いたいのかがわからず、不安を覚え始める。
[c]2018「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」製作委員会 [c]キネマ旬報社
「月が綺麗ですね」
夏目漱石の「I LOVE YOU」を和訳である。
このシーンで、この映画の評価がグンと上がった。
日本語って、本当に素晴らしいと実感できた瞬間だった。
夫が会社から帰ると、妻が死んだふりをしている…まさに題名通りの物語。その行動に隠された妻の思いとは…。
夫婦愛、家族愛が溢れんばかりに描かれていた。
冒頭の言葉は、私が学生の時に友人が出演した演劇の中であったセリフ。なぜかとても感動して、今でもそのセリフを覚えている。それが、夏目漱石の言葉であることを知ったのは、この映画。
思わぬ感動があった。
ご夫婦には一度立ち止まって、観てもらいたい作品。
妻の死んだふりの意味を夫婦で確認してほしい。
【賛否両論チェック】
賛:笑いのオブラートに包みながら、お互いを分かっているはずなのに案外分かっていない「夫婦」というものの在るべき姿や、様々な葛藤を乗り越えて紡がれていく本当の家族愛に、思いのほか感動させられてしまう。全てを語りはしない日本的な奥ゆかしさが、作品全体を通して感じられるのも印象的。
否:主人公達の少し不思議な人間性には、どうしても観ていて得意不得意が出てきそうなところではある。観る側の想像に委ねられる部分もあるので、その辺りも好みが分かれるか。
タイトルは割とスゴいですが(笑)、その実は非常に心温まる夫婦愛を描いています。
3年目の結婚記念日を前に、突然死んだふりを始めた不思議な妻・ちえと、そんな妻に戸惑いながらもその気持ちを推し量り、寄り添おうとする心優しい夫・じゅん。一見滑稽にも思える2人の姿を通して、分かっていそうで案外分かっていない、本来1番近い存在であるはずの夫婦の在り方を、オブラートに包みながら訴えかけてくるようです。
そして、ちえの父親やじゅんの同僚夫婦との関わり合いを経て、ちえが死んだふりをしてきた理由が徐々に明らかになっていくに連れ、本当の家族愛というものの尊さにも、思わず静かに感動させられてしまいます。
「月が綺麗ですね。」
は、やっぱり名言だと思います。
安田顕さんと榮倉奈々さんだからこそ出来た、観終わった後に心がほっこりするような、そんな作品です。
妻役の榮倉奈々は、ひたすらかわいい。
外見だけでなく、中身がさらに。
旦那役の安田顕は、真面目風サラリーマン。
驚いたり、疲れたり、思い悩んだりという表情の変化が楽しい。
夫婦って「特別な最適解への攻略法」や「こうあるべき姿」なんてものがあるわけじゃなく、ゆったりゆっくり、それぞれの形で「なっていく」ものだよねー
みたいな、優しさの世界が広がっていて、ほんわかします。
観ていて、うちでご飯食べたくなりました。