サラ・ガドン
エリザベス王女
エリザベス女王がまだ19歳の時にお忍びでロンドンの街へ繰り出した一夜の出来事を描く、センセーショナルな実話を映画化したドラマ。数々の思いがけない出会いを通して、次期女王としての自覚と覚悟を決めるようになるエリザベスを『ドラキュラZERO』のサラ・ガドンが演じる。監督は『キンキーブーツ』のジュリアン・ジャロルド。
※結末の記載を含むものもあります。
1945年5月8日、連合国軍がドイツに降伏文書調印をさせ、6年におよぶ戦争が終結。バッキンガム宮殿で勝利宣言が行われ、19歳のエリザベス王女は妹のマーガレットと式典に参加。父である国王ジョージ6世の許しを得て外出し、王宮の外で英国王のスピーチを聞いた2人は付き添いが目を離したすきにバスに乗って街へ飛び出していく。
監督
脚本
脚本
プロデューサー
撮影
美術
衣裳デザイン
音楽
[c]GNO Productions Limited [c]キネマ旬報社
チラシを見たときは、興味を持てなかったが、予告編を観て映画館にいた。行ってよかった。宣伝用のチラシは大切ですよ!!!
非公式の外出ということだが、本当にあったことなんだろうか?(チラシでは実話のように書いてあった。)
観ていてどうしても「ローマの休日」を意識してしまったが、最初から自由奔放なマーガレット王女と違い、冷静だが感情豊かな王女が市井の自由を満喫し、ときめきを感じた空軍軍人と一夜の冒険を描いて、現在のエリザベス女王からは考えられない映画です。面白かった。
まず衣装が素敵です。
1945年の戦時下の名残を留めながらも、さすがイギリス王室という上品さ。
衣装は王室の当時のモノクロ写真を参考にされたそうです。
そして音楽も往年の名曲が次々に流れていきます。
バッキンガム宮殿、カーゾンクラブ、リッツホテル、トラファルガー広場、ソーホーにテムズ川とイギリス観光にもなっているようです。
ロケ地にチャッツワース・ハウスが選ばれ、荘厳な建物の内部にイギリス王室の暮らしをちょっとのぞき見(?)もできます。
さてお話しはとなると、実話、実話というけれど、王女姉妹が宮殿をお忍びで抜け出したのは実話としても、
あとは「その時にこういうドラマがあったなら楽しいだろうな」というドタバタコメディーのフィクション。
もちろん市井の暮らしを知り、未来の女王としての成長もありというお約束。
とはいえ、王女護衛職が王女たちをほっぽいといてお楽しみ・・・?
クレームがつかないかしら?
エリザベス王女役のサラはなんとなく女王に面影もあり、気品もあり、動きも優雅。
19歳役と言われれば、それで通らないこともないかもだけど、実年齢を知って驚き。
個人的には、P2こと(2番目のプリンセス)マーガレット王女役のベルが良い味を出していたと思います。
一歩間違えると単なるノータリン・・・そこを可愛らしさと王女ゆえの無知と王女ゆえのお育ちというバランスを上手く出しながら物語を引っ張っていったと思います。
王女という身分を知った下々の者たちが、水戸黄門のご印籠よろしくひれ伏す姿は、階級社会であるイギリスを語っていました。
楽しくて良い映画なんだけど、「ローマの休日」のように余韻が残ってこないのはなんでだろう?
【賛否両論チェック】
賛:お忍びで出かけた街で、国民の現状を知り、成長していくまでが、ハートフルに描かれていくのが印象的。初めて知る恋の行方にも、心温まる。
否:演出はややご都合主義的で、あまり現実味はないか。興味がないと退屈しそう。
始めは好奇心から外へ出たエリザベスが、終戦という現実を突きつけられた国民の姿を目の当たりにし、一晩でひと回りもふた回りも成長していく様が、コミカルなやりとりと共に温かく描かれていきます。ジャックとの細やかな恋の行方にも、目が離せません(笑)。
一方で、わざとコミカルな描写になっている分、現実には起こらないであろうご都合主義的な展開も結構あったりして、その辺は好みが分かれそうなところです。
上映時間も割と短めなので、気になった方は是非。