

薩チャン正ちゃん〜戦後民主的独立プロ奮闘記〜
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評価・レビュー3.5
「暴力の街」の山本薩夫監督、「どっこい生きてる」の今井正監督を中心に、新藤兼人や亀井文夫、吉村公三郎など、戦後、独立プロを立ち上げて活躍した人々の歩みを、関係者の証言などから辿ったドキュメンタリー。証言者として山田洋次、香川京子、降旗康男などの映画人も出演。ナレーションを務めたのは「影武者」の山本亘。
ストーリー
※結末の記載を含むものもあります。
終戦直後、映画の民主化と労働の在り方を巡って争われた東宝争議。これによって東宝を解雇された人々や、レッドパージで映画会社から追放された人々は、自分たちの望む映画を作ろうと、独立プロダクションを立ち上げ、次々と映画製作に乗り出す。東宝争議の解決金を元に作られた“薩チャン”こと山本薩夫監督の「暴力の街」(50)がその第1作。昭和23年に埼玉県本庄市で起きた暴力団による朝日新聞記者への暴力事件を題材に、町から暴力団とそれに癒着する行政の不正を追放しようと奮闘した市民運動を描いたドラマである。撮影中、暴力団による妨害を受けながらも、映画は無事に完成して大ヒット。「どっこい生きてる」(51)では、“正ちゃん”こと今井正監督が、“東宝を解雇されても、どっこい、俺たちはまだ生きているぞ!”という思いをタイトルに込め、“ニコヨン”と呼ばれた日雇い労働者の苦闘を描いた。その後も独立プロは、労働組合、民主団体、劇団などを拠り所にしながら、質の高い作品を多数世に送り出す。終戦から7年後、新藤兼人監督の「原爆の子」(52)は、GHQ占領下では題材にすること自体がタブーだった原爆の問題に真正面から向き合い、日本のみならず世界初の反核映画として高い評価を受けた。その他、亀井文夫、関川秀夫、家城巳代治など多くの監督たちが、独立プロで腕を競う。そのどれをとっても、戦後の労働運動、平和運動、民主運動に及ぼした影響は計り知れず、人々に勇気や希望を与え、時には生き方を変えるほどの深い感動をもたらした。本作に登場する人々は、映画が好きで、素晴らしい映画を届けたいと、仲間と知恵を絞って苦労を重ねた映画人たちである。その気骨ある生き様は、それ自体が一遍のドラマであり、独立プロの時代を知る世代はもちろん、初めて目にする若い世代に対しても、映画が持つ役割と使命、そして自らの生き方について考えるきっかけとなるに違いない。
スタッフ
池田博穂
監督、脚本、企画
山本駿
制作
山本洋子
制作
野間健
撮影
山田友行
VE
本田政
録音
金森恵
メイク
栗原洋平
編集
小林洋平
音楽
安田佑司
音楽プロデューサー
伊藤幸洞
題字/タイトル
山本亘
ナレーター
中原ひとみ
朗読
江原真二郎
朗読
赤塚真人
朗読
作品データ
- 製作年
- 2015年
- 製作国
- 日本
- 配給
- 新日本映画社
- 上映時間
- 94分
[c]独立プロ名画保存会 [c]キネマ旬報社
映画レビュー
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たっかん
32016/10/19戦後の独立プロについて語られたドキュメンタリー映画。
タイトルどおり、山本薩夫監督、今井正監督のほか、家城巳代治監督、新藤兼人監督などについて語られている。
ただ、残念なのは、故人の言葉は、現代に生きている人達が朗読するのだが、朗読する人達の姿を前面に出さない方が良かった気がする。故人よりも朗読者の方が印象に残ってしまうのだ。
学生時代(1970年代~80年代)に様々な名画座で観た映画のシーンが断片的ではあるが映される。
できるかぎり、もう一度、昔の映画も観直してみたい。続きを読む閉じる
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