チャンス(1979)|MOVIE WALKER PRESS
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チャンス(1979)

1981年1月31日公開,130分
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数十年間ひたすら庭いじりだけを仕事としてきた俗世間を知らない庭師が、その純真無垢な精神故に知らぬ間に大統領にまでなるという社会諷刺、皮肉を含んだコメディ映画。製作はアンドリュー・ブランスバーグ、監督は「帰郷(1978)」のハル・アシュビー。イェジー・コジンスキーの原作(「預言者」/角川書店刊)を基にコジンスキーが脚色。撮影はカレブ・デシャネル、音楽はジョニー・マンデル、編集はドン・ジンマーマン、美術はジェームズ・L・ショップ、製作デザインはマイケル・ホーラーが各々担当。出演はピーター・セラーズ、シャーリー・マクレーン、メルビン・ダグラス、ジャック・ウォーデン、リチャード・ダイサート、リチャード・ベースハート、ルス・アタウェイなど。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

ワシントンの古い屋敷の主人が、ある朝突然死んだ。残されたのは中年の庭師チャンス(ピーター・セラーズ)と黒人のメイドの2人。チャンスは、ここ数十年屋敷の外へは一歩も出たことがなく、読み書きもできず、ひたすら庭いじりとテレビを観る楽しみだけで生きてきた男だ。やがて管財人に屋敷を出て行くように言われたチャンスは、街の喧騒の中に飛び出すことになる。見るもの、出合ううものが珍しく、それらに気をとられていたチャンスは、1台の高級車にぶつけられ、中に乗っていた婦人に手当てを受けるため家に寄って欲しいと言われた。車の中でその美しい貴婦人イブ・ランド(シャーリー・マクレーン)に名を問われ、庭師チャンスと名のるが、彼女はそれをチョンシー・ガーディナーと聞き違えた。やがてその車が着いたのは経済界の大立物ベンジャミン・ランド(メルビン・ダグラス)の邸で、貴婦人は彼の妻だった。ランドは高齢で健康状態もすぐれなかったが、チャンスの子供のような無垢さに接していると気持ちが安らぐのを感じた。数日後、ランドを見舞いにやって来た大統領(ジャック・ウォーデン)は、そこでチャンスと会い、庭の手入れに例えた極めて楽観的な意見に耳を傾けた。大統領はさっそくTV放送のスピーチでチャンスの言葉を引用し、それをきっかけにチョンシー・ガーディナーの名は一躍全米に知れ渡るようになる。それからチャンスのTV出演などの奇妙な生活がはじまるが、彼の本当の正体を知る者はいなかった。やがてランドが大往生を遂げ、その葬儀の際チャンスはイブから愛の告白を受けた。そして大統領の葬送の辞で新大統領候補がチョイシー・ガーディナーであることが明らかにされるのだった。

作品データ

原題
Being there
製作年
1979年
製作国
アメリカ
配給
松竹=富士映画
上映時間
130分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

4.2
  • 杉ちゃん

    3
    2019/1/14

     日本初公開時の1981年時に都合が合わず、観に行くことができなかったため、ずっと心の中で後悔していた作品。

     今回、午前十時の映画祭9で初めて劇場で観ることができました。

     ドタバタのコメディー作が多かったピーター・セラーズがしっとりと落ち着いた主人公をまじめに演じているだけで笑えました。

     正直、初公開当時ならものすごく感動したかもしれませんが、今となっては、似たような作品をたくさん観てきたので、感動が薄かったのも事実です。

     ラストのチャンスが池の上を歩くシーンを観ている方がどのように解釈するかで、この作品への評価が変わってくるつくりになっていることも良かったです。

     私は、これがピーター・セラーズの遺作となったことで、あのラストがとても興味深いものになりました。
     

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  • りょう

    5
    2016/3/1

    主人公が街へ出てゆく流れは風変わりですが納得のできる話ですが、無垢な語り口を通じて次第に公人ともいえる立場に祭り上げられてゆくプロセスは極めて寓話的。
    TVという文明の利器を通じて世界に言葉を伝える彼は、ナニモノカに使わされたメッセンジャーのようでもある。
    ラスト間際では、次期大統領候補になりそうな気配。
    そして水面をキリストのように歩く主人公。
    最初からなのか?ある時点からなのか?彼は神の言葉を伝えるための語り部として選ばれたのではないでしょうか?

    人の世の政は自然に学べよ。
    お前たちも私の被造物。植物と大して違わない。
    傲慢さを恥じ、謙虚に生きよ、と言われている気がするのです。

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    ネタバレあり
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  • ettam

    4
    2013/10/21

    何十年も豪邸の庭師として住み込みで働いていたチャンスが主人の死により家をでることになる。主人が死ななければチャンスが死ぬまでずっと失業することもなく、しょくじの心配もなく、大好きなテレビを見ながら一生を終えていたかもしれない。それはそれで彼にとっては幸せな人生だったかもしれないが、神様はそんな一生にはさせなかった。

    チャンスは暇さえあれば子供のようにテレビばかり見ているが庭師の仕事にはすごく熱心、見たもの感じたものを素直に行ってしまうほど純粋、悪く言えばコミュニケーションの取り方を知らない大人なのかもしれない。そんな彼がひょんなことから経済界の大物と巡り会いサクセスストーリーを歩むことになるから面白い。

    シャーリー・マクレーンの攻めの姿勢がなかなか。年をとってもあのくらいの勢いがあるものなのかと疑問だが結婚相手が随分と年上だと不満も残るのだろうか。

    数十年同じような毎日を繰り返していた日々でも人生の途中でこんな展開になる人生もあってもいいなぁと思う。植物は寒い秋や冬を乗り越え、春に芽を出し、夏に花が咲く。この例えは経済に限らず人生においてもそうなんだとチャンスが教えてくれているような作品である。

    エンディングのスタッフロー時の映像は珍しく撮影中のミステイク映像を採用しており楽しそうな撮影現場の雰囲気がうかがえる。

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