おかあさんの木|MOVIE WALKER PRESS
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おかあさんの木

2015年6月6日公開,114分
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教科書に採用されるなど、長く愛されてきた大川悦生の児童文学を鈴木京香主演で映画化したヒューマンドラマ。7人の息子を戦争にとられ、その無事を祈って、7本の木を植えた母親。家で息子たちの帰りを待つ母親の愛や普遍的な親子の愛を描く。『解夏』の磯村一路監督が、戦争によって運命を翻弄された人々の心情を丁寧に描出する。

予告編・関連動画

おかあさんの木

予告編

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

長野県のとある村。田村ミツは7人の子供たちに恵まれ、慎ましやかながらも幸せな日々を過ごしていた。ところが、戦争が始まり、息子たちは兵隊として次々に戦場へと向かう事に。ミツはそのたびに桐の木を植えて、その世話をしながら、彼らの無事を祈り、再び家族の元へと帰ってくる事を祈るのだった。

作品データ

映倫区分
G
製作年
2015年
製作国
日本
配給
東映
上映時間
114分

[c]2015「おかあさんの木」製作委員会 [c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.8
  • えこう

    5
    2015/10/20

    教科書に採用され、長く愛されてきた大川悦生の児童文学を
    鈴木京香主演で映画化されました。

    なかなか近隣の劇場では公開されなかった作品でしたが
    中丹文化会館にて当日限りの上映会にて鑑賞。

    7人の子供を戦地に送り出した母の愛を描いていきます。
    のどかな田園に佇む7本の古い桐の木。土地の整備事業のため
    役所の職員が伐採の許可を取りに向かった先は、老人ホーム。
    そこで待っていた高齢の女性サユリの視点から語る形で
    物語は進んでいきます。

    ところが7人の子供たちを残して突然、夫の謙次郎が心臓発作
    で急死。「泣かんでください」と呆然とするミツを支えたの
    は、6人の息子たちだった。

    ところが成長した息子たちを一人また一人と戦争が
    奪っていきます。彼らが出征してゆく度に無事を祈るように

    1本ずつ桐の木を庭に植えてゆきます。

    そして末っ子の六郎までもが戦争にとられます・・・
    誉れの家と崇められ、お国のためと言われながらも
    どんな想いで送りださなければならなかったのか、

    それは五郎が出征する時、我が子の足にしがみついて
    離れようとしなかったという場面でもわかります。

    そうすれば非国民と非難されて捕らまえられる
    シーンもありましたが、それが戦争といえば
    それまでですが、ほんとに人の感情をも知らぬ顔。

    赤紙ひとつで兵隊に取られ戦死すれば
    お骨箱の中には紙切れ一枚だったのだから
    惨すぎますよね。

    出征兵士を送る立場から
    そうした戦争の醜さを切々と伝えてくれたのがこの映画
    でした。

    出征を見送る場面では、のぼりが立てられ村民が見送る中
    息子を乗せた汽車が発車し母親が追いすがります。
    その光景は戦時中の写真そのままです。

    号泣する人、そうでない人、その差は何なのかは
    わかりませんが、私は涙こそ流れるところまでは
    いきませんでしたが、切なすぎて固まってしまいました。

    戦局が悪化してくると、劇中にもありましたが、
    馬や猫の毛までも供出しなければならなかったという。
    そんなシーンもありました。

    五郎は負傷した二郎と戦場にて再会します。
    まことは沖縄で、六郎は特攻でと次々に戦死の報を
    受け取る母でしたが、五郎は南の島で行方知れずに

    でもいつかは誰かが戻って来ると信じて母は待ち続けます。
    桐の木に語りかけながら、でも

    ついに桐の木の前で倒れてしまいます。
    そこに行方不明だった五郎がただひとり帰ってきます。
    でもそこには横たわるおかあさんが・・・

    戦争ってなんなんやろう・・・
    それにしてもお母さんの強さが存分に描かれていたと思います。

    最後にさゆりの「切ってはならん!あれはお母さんの木じゃ
    あ」
    という言葉で胸に突き刺さりました。

    ほんとうに戦後70年にふさわしい映画でした。
    見る者は戦争という名の理不尽な戦いを改めて考えさせられます。

    この日は小学生くらいの姿もちらほらと
    子供から大人まで見られるそんな作品だったと思います。

    戦争は二度としてはならん!
    と強く感じました。体だけではなく心にも傷を負うことの辛さを
    映像が私たち見る者に訴えかけてきます。

    主演の鈴木京香さんがたくましい母親の姿をすごく好演され
    ていました。子供たちのいきいきとした表情だったり
    そんな映像に引き込まれていきました。

    ほんとうに素晴らしい作品でしたね。
    この映画の素晴らしいところは人々が戦争に巻き込まれて
    いった状況を庶民の目線から描いているところです。

    こんな作品こそもっともっと公開されていい作品でしょう。
    上映館が少なすぎるのでは。

    もっとたくさんの人に鑑賞していただきたいです。

    若い世代にどんな時代だったかを感じ取れるはず。
    兵士を母として見送る立場から戦争を描いた
    作品でしたね。うーん、これは泣けるわあ。

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  • Q太郎

    3
    2015/8/15

    鈴木京香が好演。特に彼女のファンというわけでも無いのですが、花嫁のシーンから演っていただいても良かったくらい(笑)

    作品の持つメッセージは非常に重く、しかしひとりひとりがしっかりと受け止めるべきものだと思います。

    ただし・・・
    映画作品としては残念な印象です。
    教科書で読んだ記憶がなく、原作は未読なので、脚本化した時にどのくらいの改変や付け足しがあったのかは不明ながら。
    描いて欲しい描写は無くて、描かなくともいいような場面はあったりするのですね。

    七人(訳あって六人)の息子たちを苦労して育て、慈しむ描写が殆ど無いのはいかがなものでしょう(かろうじて雪合戦と餅食うところ、あと卵焼き、がそれに当たるのでしょうが、全然足りてない)。
    そこをちゃんと描いてくれないと息子たちに感情移入できず、次々に息子たちを戦争に奪られていくお母さんの悲しみと絶望が伝わってこないのでは?
    せっかくの鈴木京香の好演も空回りするだけで実にもったいない。
    ラッパ好きの四男坊に至っては成長した姿も出てきませんからね。オモチャのラッパのみが空しく枝に揺られているばかり。

    現代パートはまったく余計だし(あの若者、全然心が動いてないでしょ。笑。あの後平気で木を切ってしまいそう。年老いたサユリの回想という事なら奈良岡朋子の語りだけで充分じゃないのでしょうか?)、戦場の描写や反戦思想の青年のくだりも不要。不在の息子たちの面影を感じるなら他にも方法はあるはずですよね?
    そこに尺を割くなら、もう少し家族が全員そろって苦労したり団らんを楽しんだりの描写を増やして欲しかった。

    結婚式のドタバタも、う〜ん(苦笑)
    平岳大の硬直した慌て者演技も観ていて気の毒になるほどです。これは俳優の責任というよりは脚本と演出の責任が大きいような・・・

    お母さんが文盲という設定も、手紙を読んでもらうだけではなく、もうひと工夫できたような気がします。

    原作が児童文学ということで、そのまま映像化するにはなかなか難しいところもあったとは思うのですが、何かちぐはぐで残念な印象です。

    お話自体はとても切なくて悲しい、胸にグッと突き刺さるものがあっただけに、脚本と演出をもう少しブラッシュアップしていただきたかったところです。

    さんざん文句を書きましたが、それでも何故か観終えた後味はまったく悪くはなかったです。
    そこは原作(未読ですが)の力と、鈴木京香の好演でしょうね。
    そのふたつに星を2つ。大負けのおまけでもう1つ。

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  • ひゃん

    4
    2015/7/1

    いつから国語の教科書に載っていたのかは分からないが、
    この話は私ですら微かに覚えている…戦地へ送り出した
    子供の無事を祈って一本一本、桐の木を植えて帰りを待つ
    母親の話だ。あらすじだけで泣けてくるのは、その結果が
    分かるからで、今でこそ観ておいた方がいい作品だと思う。
    なぜ当時の日本は勝つと信じて息子を国に捧げていたのか。
    無知であることの恐ろしさと、大切な命を奪われることの
    理不尽は今作の出来云々に関わらず、親なら誰しもである。
    まさか命を失うとは思わずに、万歳万歳と息子を送り出す
    母親の境地。戦死したら軍神扱いされ恨むこともできない。
    軍神の母として取材を受ける皮肉もよく描けている。
    鈴木京香が演じるおかあさん・ミツは、文字すら読めない
    無学な女だったが、7人もの息子を早世した夫の分も育て
    あげた立派な日本のおかあさんである。一人は子供のない
    姉夫婦の養子として捧げるも実の母だと知っていた息子は
    出征前に心の中で「おかあさん」といいながら挨拶に訪れる。
    せめて一人だけでもと祈るが、日に日に劣勢となる日本軍
    の様子や手紙が滞る場面などすでに前半から嗚咽が漏れる。
    桐の木を植えては、一郎、二郎、と話しかけるミツの方言
    が優しく響く場面や、語り部となるサユリの五郎への想い
    などホッとできるエピソードもあるが、戦争はやはり酷い。
    一家の男手を全て召集するなんて、日本にはプライベート
    ライアン的な措置(あれも凄かった)はないのかよと思うの
    だったが、あった。ちゃんとそれを指示する上官もいたが、
    戦況や本人の意志もあったのか、終に敗戦まで強制帰還は
    されない。おかあさんは桐の木となった息子達を最後まで
    待ち続けるが…。時代が違ったらミツは大勢の孫に囲まれ、
    幸せな老後を送れたに違いないのに…と思うほど辛くなる。

    (あの頃の庶民の祈りが活かされてると思えない、今の日本)

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