細谷佳正
ジョン・エイチ・ワトソン
09年に34歳で夭折した小説家・伊藤計劃の作品3本をアニメ映画化する“Project Itoh”の第1弾。伊藤が遺した未完の原稿を円城塔が書き継いで完成させた長編が原作。死体蘇生技術が発達し、“屍者”を労働力として活用している19世紀末のロンドンを舞台に、屍者に関する技術を記した「ヴィクターの手記」を巡る壮大なドラマが繰り広げられる。
※結末の記載を含むものもあります。
ロンドン大学の医学生ワトソンは、親友フライデーの屍者化を行った事で大英帝国の諜報組織、ウォルシンガム機関に招かれる。彼に命じられたのはフランケンシュタイン博士が屍者に関する技術を記したとされる「ヴィクターの手記」の捜索。アフガニスタン奥地でカラマーゾフが新型の屍者を率いて反乱を起こしたとの情報を知り、現地へ向かう。
ジョン・エイチ・ワトソン
フライデー
フレデリック・バーナビー
アレクセイ・カラマーゾフ
ニコライ・クラソートキン
ハダリー・リリス
エム
ザ・ワン
監督
原作
原作
キャラクター創造・原案
制作
企画、制作
チーフプロデューサー、脚本
脚本
脚本
キャラクター・デザイン、総作画監督
美術監督
3D監督
撮影監督
編集
音響監督
音楽
主題歌
色彩設計
総作画監督
[c]Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES [c]キネマ旬報社
夭折のSF作家、伊藤計劃の遺した煌めきを原動力にしたアニメ3本が完成し劇場版として現世に蘇る。観なければ後悔する。
本を書き継いだ人に、全てを映像化した人々に、感謝!
本作は久々に重く濃い、生命と魂の存在証明をネタにした古典風味のSFアニメ。画的には静物と動き物の境目が見えるほどだが、敢えてなのかも。背景・風景は美しくロマンチック、それが筋の悍ましさを強める。流れと画構成は秀逸。
フランケンシュタイン、ワトソン、ホームズに繋げるなんてのは流石。面白いオチです。
マルドゥック・スクランブルに似た風味、AKIRAやスチームボーイにも似た匂い。COOLです。
どっぷりと浸れる見応えのある逸品です。
【賛否両論チェック】
賛:生と死が曖昧な世界で、生きる意味や存在する意義について、改めて考えさせられる。その中での主人公の奮闘も感慨深いものがある。
否:お話としてはかなり難しくて荒唐無稽なので、ラストのシーンなんかは好みがはっきりと分かれそう。グロシーンも多数あり。
死者を蘇らせて使役するという、まさに生と死の境が曖昧になった世界観の中で、「生きていくことの意義」について、深く問われる内容が印象的です。そんな中で、ひたすらに己の信念を貫き、親友を死の淵から救おうと孤軍奮闘する主人公の姿が、とても哀愁たっぷりに描かれていきます。
ただやはり、その世界観故に、どうしても荒唐無稽というか、ちょっと感情移入しづらい印象を受けます。ラストのシーンなんかはその最たるもので、人によっては訳が分からなくて、全く面白くないと感じる人もいるかと思います。
話もかなり難しいので、人間の命についてじっくりと考えたい人に、オススメの作品です。最後は「そこに繋がりますか!」という感じでもありますので、そこにも是非ご注目を(笑)。
ストーリーがよくわからないところがありました。
というか、難しいと思います。
複数回見れば分かるかもしれませんが、時間もお金もないし。
魂の存在を探るんですけど、色々と複雑に絡み合って、難解。
とにかく印象的なのは首が痛々しいということですね。
これでもか、というくらいに首へのダメージが凄いんです。
エグイです。
設定は面白くて、人間のエゴとか愚かさとか上手く描かれていました。
エンドロールの最後にオマケがあるので最後まで席を立たないでくださいね。