ジェラシー|MOVIE WALKER PRESS
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ジェラシー

2014年9月27日公開,77分
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「恋人たちの失われた革命」のフィリップ・ガレル監督が、一組のカップルの間で起こる感情のうつろいを、美しいモノクロの映像で描く恋愛ドラマ。出演は、監督の息子で「灼熱の肌」のルイ・ガレル、「シャネル&ストラヴィンスキー」のアナ・ムグラリス。音楽は、「ずっとあなたを愛してる」のジェン=ルイ・オベール。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

30歳の舞台俳優ルイ(ルイ・ガレル)は、クロチルド(レベッカ・コンヴェナン)と最愛の娘シャーロット(オルガ・ミシュタン)と別れて、俳優仲間で新しい恋人のクローディア(アナ・ムグラリス)と、狭い屋根裏部屋で暮らし始める。しかし、俳優として行き詰まり、ルイとの貧しい暮らしにも耐えられなくなった彼女はある日、建築家の男性と出会う……。

作品データ

原題
LA JALOUSIE
製作年
2013年
製作国
フランス
配給
boid=ビターズ・エンド(提供 boid=ビターズエンド=サードストリート)
上映時間
77分

[c]2013 Guy Ferrandis / SBS Productions [c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.4
  • ブルーインブルー

    3
    2014/10/13

    渋谷で映画『ジェラシー』を鑑賞。かつてジャン=リュック・ゴダールは、「フィリップ・ガレルは呼吸をするように映画を撮る」と語った。またガレルの作品の多くは、彼自身や親族が経験したことが物語に色濃く反映されていたり、家族がスタッフ・キャストに参加していることからも、私小説的な要素が強いと言えるだろう。実際、彼の幾つかの映画においては――大半の商業映画とは異なり――登場人物たちが、他者(=観客)に向かって自らの存在を示すために積極的に何かしらアクションを起こす場面よりも、ベッドに横たわるなど無為に過ごしている時の表情や、何気ない会話、あるいは仕草を映している場面の方が多いくらいだ。まるで、役を演じている俳優がキャメラを意識していないかのような印象。それは父で俳優のモーリス・ガレルの実体験を基にしたという本作『ジェラシー』でも同様である。ルイ・ガレル演じる売れない役者のルイは、複数の女性や実の娘と戯れる以外はほとんど何もしておらず、破局を迎えつつある恋人のクローディアに「何をしてほしい?」と訊ねると、「動いてよ」と言われる始末だ。しかし、たとえプライベートな個人(やその関係者たち)の日常を描いた作品であったとしても、ガレルの映画は、たとえばジャン・ルノワールやジャック・ロジェの諸作のように、時に構図を無視し、フレームの外を意識させるようなものではない。登場人物たちがいかにキャメラの存在を無視しているかのごとく“だらけて”いようとも、彼らは往々にして端正な構図の画面に収まっているという点がガレル作品の特徴の1つである。本作でも、名手ウィリー・クランの撮影による、陰影豊かなモノクロ、シネマスコープの画面は否応なしに、技術的達成度の高さを観る者に感じさせずにはおかない。ところで近年のフィリップ・ガレル作品には、しばしば魅力的な老人が登場するが、『ジェラシー』ではそれよりも子供(=ルイの娘シャルロット)の存在感の方が上回っている。そのことは、シャルロットの印象的なクローズアップが何度か挿入されることだけをとっても明らかだ。前述したように、本作がフィリップ・ガレルの父モーリスの実話の映画化であることからして、このシャルロットが幼少期のガレル自身であることはほぼ間違いないだろう。映画の最初の方で、部屋の鍵穴を通して両親の離婚が近いことを悟ってしまうシャルロットはしかし、“ヌーヴェルヴァーグの恐るべき子供”という形容が似つかわしくない、無邪気で愛らしい魅力を全編にわたって振りまき、重苦しく痛ましい物語(主題)に軽やかさと風通しの良さをもたらしている。

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