ケープタウン|MOVIE WALKER PRESS
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ケープタウン

2014年8月30日公開,107分
R15+
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南アフリカ・ケープタウンを舞台に、酒と女に浸りきりの刑事と心に傷を負う刑事が、元ラグビー選手の娘が殺害された事件の捜査をきっかけに街に潜む深い闇に踏み込んでいくサスペンス・アクション。「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズや「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのオーランド・ブルームと「ラスト・キング・オブ・スコットランド」で第79回アカデミー賞主演男優賞を獲得したフォレスト・ウィテカーが、コンビを組む刑事を演じる。監督は「ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀」や「ツーリスト」としてリメイクされた「アントニー・ジマー」を手がけたジェローム・サル。脚本には「あるいは裏切りという名の犬」のジュリアン・ラプノーも参加。

予告編・関連動画

予告編

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

南アフリカのケープタウンで、元ラグビー選手バイツの娘ニコールが殺害される事件が発生。アパルトヘイトの傷痕がまだ残る南アフリカでズールー族出身ながら警部にまで昇進したアリ・ソケーラ刑事(フォレスト・ウィテカー)が、酒と女に溺れて妻や息子、署長からも見放されているブライアン・エプキン(オーランド・ブルーム)らを率いてこの事件の捜査にあたることになる。解剖されたニコールからは、未知の分子が含まれた麻薬が検出される。さらに事件当日ニコールは売人のスタンと会っていたことが判明。アリとブライアン、ダン・フレッチャーの3人はニコールの発信記録があったミューゼンベーグ海岸でスタンを見かけなかったか聞き込み調査を行うが、若い黒人グループに声をかけたところ、彼らは制止も聞かずに襲撃。最新の銃や無線機、暗視装置を持ちあわせ異様に凶暴な彼らとのもみ合いの中で、ダンは命を落とす。その場にはニコールの遺体から検出されたものと同じ薬物が残されていた。さらに、最近頻発しているスラム街の子供たちが行方不明になる事件の現場からも同様の薬物が見つかる。分析の結果、その薬物ははじめは快感をもたらすが、摂取し続けると攻撃性が増し、自殺衝動を起こさせるという恐ろしいものだった。薬物を手掛かりに捜査を進めていくうちに、アパルトヘイトが布かれていた時代に政府の命令で黒人を抹殺するための科学兵器を研究していた科学者オパーマンに行きあたる。ニコール殺人事件の犯人はスタンだと睨まれているが、根底には大きな組織犯罪があると確信するブライアン。そんな中、第二の殺人事件が発生。遺体からスタンの痕跡も見つかるが、スタンもまた死体となって発見される。事件解決のため捜査を打ち切ろうとする署長に反し捜査を続けるブライアンとアリに、深い闇が待ち構えていた……。

作品データ

原題
Zulu
映倫区分
R15+
製作年
2013年
製作国
フランス
配給
クロックワークス
上映時間
107分

[C]2013 ESKWAD-PATHE PRODUCTION-LOBSTER TREE-M6FILMS [c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.4
  • すすむA

    5
    2016/5/6

    2016年5月DVDで観た。

    冒頭の「火だるま」のシーンからまず驚かされる。映画では全く説明がないので、Caryl Férey著『Zulu』(原作はフランス語だが英語版から)を参照すると、1978年に黒人大虐殺事件があって、白人に襲われたこの一家では後に警部になるアリ・ソケーラと母親の二人だけが助かったという。南アフリカ共和国のアパルトヘイト廃止は1994年だ。

    この映画の特徴は、このようにストーリーラインからはみ出した逸話が過剰なことだ。アリの上司クルーガー所長が人種差別主義者でかつて大勢の黒人を拷問にかけて殺したこと、 ブライアン・エプキン刑事の父親も保守的な警官で、彼はそれを嫌って母方の姓を継いだことなど。こうしたことが単純なシーンをいちいち苦く重々しいものにしている。歴史知識が必要な映画である。

    もう一つの特徴は、全編を南アでロケしたという圧倒的な臨場感である。掘っ立て小屋に住む多数の貧乏黒人たちと、白亜の邸宅に住む白人富裕層の対比。喧噪と猥雑に満ちた下町のたたずまい。これが2013年の南アの現状かと息を呑む画面だが、映画は批判を加えずに映し出す。だがこの奥に潜む絶望と怒りが見えないような観客だったら、この映画を観る資格はないだろう。

    絶望と書いたが、アリ警部にしろ、人の良いダン刑事、酔いどれのブライアン刑事も果敢に次々と起こる事件に立ち向かってはいるが、終わりのない犯罪に空しさを感じる表情が露わである。アリの終始泣き出しそうな顔、ブライアンのアルコール浸りだって、先の見えない生活感から来ているのだろう。

    それにしても無慈悲な殺され方である。愛妻家で人の良いダン刑事の惨殺から、アリ警部の母の殺し、歯科医の銃殺など、何人殺されたであろうか。殺人が「趣味」のような理不尽な人殺しの連続だ。これも南アフリカという風土が生むものかと疑う。

    「和解をしたければ敵と働くのが良い。仲間になれる」とマンデラの言葉を引用するほど、忍耐と寛容精神に富むアリ警部だが、最後になってズールー族の戦士に先祖帰りしてしまう。黒人絶滅薬を開発したオパーマン博士との格闘では、素手で相手を殴り殺してしまうのだから。そういえば事件の発端となった、女子大生撲殺殺人の犯人で麻薬密売人スタンもズールー族だったと言う。最後になって「40年間我慢した」という警部の心情告白は重いが、撲殺という類似はアリ警部の行為にも「未開人」のDNAを感じて、「正義の行使」という小気味よさよりも後味の悪さが勝る。

    かようにこの映画は、単なる犯罪映画を超えて、南アフリカが今なお抱える矛盾を暴き出してしまうのである。

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  • えりか

    2015/3/9

    試写会(2014/8)
    正直に宣伝したんじゃ売れないからと思ってそうしたんだろうけれど、宣伝のしかたにいろいろと不満がある。
    まず、タイトルは原題「ZURU」のままでよかったと思う。オーランドブルームの映画!って感じで扱われていたけれど、映画の内容からするとZURUのおじちゃんのほうが重要な人物。
    そして、サスペンス・アクションとあったけど、バイオレンス・アクションだろうがっ!!!と声を大にして言いたい。
    オーランドブルーム様ラブ❤ワイルドな姿もすてきね❤みたいなテンションでこの映画を見てしまったグロ耐性のない女子(男子もいるかも)が可哀想でならないくらい残酷なシーンがあるし血がたくさん流れるし救いもないような話です。
    おそらくこの映画の内容は現実を反映していて、考えさせられるという意味ではとても興味深かった。
    私は娯楽のために映画を見るので、こんなに暗くて重い話は試写会で当たらなければ見なかっただろうから、こういう救いのない現実も世界にはあるんだよ、ていうことを知れたという意味では見てよかった。
    映画的にはバッドエンドじゃないです。だけど悲しいというよりは悔しくてやるせなくて涙が止まりませんでした。

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  • おだちん

    4
    2014/9/14

    オーランド・ブルームのワイルドな役どころにばかり注目する日本の事前キャンペーンに、「ああ残念」と思うことしきり。そんなのどうでもよく、良い作品です。
    南アフリカの闇、歴史的背景からどうしても避けて通れないアパルトヘイトのキズ、企業の搾取。
    様々な要素が絡み合って到達する結末は悲しいが、これがこの国の今を象徴しているんかもしれない。

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