ステーファン・デ・ワレ
ギーア
破綻寸前の工場を再建するため、家族や仲間に支えられながら中年男たちがフルマラソンのゴールを目指す姿を描くオランダ産ハートフルコメディ。幼なじみの友人であり出演もしているマルティン・ファン・ワールデンベルグとヘーラルト・ムールダイクによる脚本を、本作が長編映画デビューとなるディーデリック・コーパルが監督した。
※結末の記載を含むものもあります。
オランダ・ロッテルダム。小さな自動車修理工場を営むギーア(ステーファン・デ・ワレ)は、妻と息子の3人暮らし。反抗期の息子の扱いに悩み、自身も健康に不安を抱えている。工場の従業員は、古くからの仲間のニコ(マルセル・ヘンセマ)、レオ(マルティン・ファン・ワールデンベルグ)、キース(フランク・ラマース)の中年3人組とエジプト系移民の若者ユース(ミムン・オアイーサ)だが、男たちは昼から缶ビール片手にカードゲームに興じ、マジメに働いているのはユースだけであった。そんなある日、ニコが事務所で税金督促状の束を発見。ギーアは皆に工場の経営不振を隠していたのだ。3万8758ユーロの滞納金を支払うことができなければ工場は閉鎖だという。だが、休憩中にユースが読んでいた“ランナー・マガジン”をきっかけに、ギーアたちはスポンサーを見つけ、口説き落として一か八かの賭けに出る。それは広告を胸に掲げロッテルダム・マラソンに出場、「全員完走出来たら借金を肩代わりしてもらう。完走出来なければ工場を譲る」というものだった。元マラソン選手のユースのコーチの下、スポーツとは全く無縁だった4人はマラソン完走に向け、練習を開始。しかし、ギーアは体調が悪化、レオは奔放な若い妻に振り回され、キースは敬虔なクリスチャンである妻に「日曜は神が定めた休息日」と走ることを止められ、ニコには仲間に言えない秘密を抱えていた。はたして4人はフィニッシュラインに辿り着くことが出来るのか……。
監督
脚本
脚本
撮影
字幕監修
字幕
製作
製作
製作
製作
音楽
音楽
音楽
[c]2012 Eyeworks Film & TV Drama B.V. [c]キネマ旬報社
タイトルを見て、確かに人生ってマラソンだよな、と思う。
なにしろ長い。キツイ。ケガをする。バテる。しかし頑張る。
そんなこんなの繰り返しで人間は歳をとっていくものだけど
今作はそんな説教めいたことは何にも云わない。
冒頭からメタボな親父たちが仕事そっちのけでカードゲームに
興じている姿がいつまでも流される。何なんだ、この親父たち。
ついに税金滞納がバレた経営者はスポンサーを口説き落とし、
ロッテルダム・マラソンで全員が完走したら工場を救って!
なんてのたまうが、初めはまったくやる気なし。どこにでも
いそうな中年親父が本当にフルマラソンなんて走れるの!?と
誰もが彼らを心配するが…。まさにオランダ版フル・モンティ。
どこまでも温かい家族や友人の力は偉大であると、最後まで
諦めない4人の奮闘ぶりに胸が熱くなる。意外な悲劇を生む
ラストには驚くが、その後の〆は笑顔になれること請け合い。