鉄くず拾いの物語|MOVIE WALKER PRESS
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鉄くず拾いの物語

2014年1月11日公開,74分
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ボスニア=ヘルツェゴヴィナに住むロマ民族の女性が、保険証を持っていないために手術が受けられなかったという実際の事件を基に「ノー・マンズ・ランド」のダニス・タノヴィッチ監督が映画化。事件の当事者たちが出演し、一度も演技経験がないにも関わらずナジフ・ムジチは2013年ベルリン国際映画祭で主演男優賞を受賞した。第14回東京フィルメックス特別招待作品。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

ボスニア=ヘルツェゴヴィナで暮らすロマの家族、ナジフとその妻セナダ、二人の娘たちは慎ましいながらも幸せな生活を送っていた。ナジフは拾った鉄くずを売って一家の生計を支え、セナダは3人目の子をお腹に身ごもっている。そんなある日、ナジフが一日の長い労働から帰ると、セナダが強い腹痛を訴え、横になっていた。翌日ナジフは車を借りて、いちばん近い病院にセナダを連れて行く。診断によると、セナダは流産、5か月の胎児は腹の中で死んでいるという。セナダの命に関わる状態なので、遠い町の病院ですぐにでも手術を受けなくてはならない。だが、セナダは保険証を持っていないので、病院は980ボスニア・マルク(500ユーロ)の支払いを要求する。貧しい鉄くず拾いには、ひと財産だ。結局ナジフの懇願にもかかわらず、セナダは手術をしてもらえず、ボスニア=ヘルツェゴヴィナ中央のロマ人地区に帰るしかなかった。ナジフはセナダの命を救うため、死にもの狂いで鉄くずを探し、国の組織に助けを求めるのだが……。

作品データ

原題
EPIZODA U ZIVOTU BERACA ZELJEZA
製作年
2013年
製作国
ボスニア・ヘルツェゴビナ=フランス=スロベニア
配給
ビターズ・エンド
上映時間
74分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.1
  • ひゃん

    4
    2014/7/17

    2013年のベルリン国際映画祭で、見事3冠に輝いた作品。
    D・タノヴィッチが、母国ボスニアの新聞記事を目にして
    その怒りを原動力に撮りあげたという渾身の一作。
    出演する夫婦が当事者というドキュメンタリーでもある。
    鉄くず拾いとは何ぞや?と思えば、生活の為に車を解体し、
    その鉄材を売って生計を立てている人々のことだった。
    いかにもな映像のその先に見えるのは、彼らがロマ族である
    という意図した差別があり、それによって治療拒否される
    (保険証がないから高額費用が払えない)といった酷い現実。
    貧しいながらも誰に迷惑をかけるでもなく、静かに暮らす
    彼らの生命を脅かす権利など果たしてあるのだろうか?と、
    安穏と日本で暮らす自分には衝撃映像であったが、逆に
    彼らの幸せな笑顔には一体どちらが貧困か?と唸らされた。
    それにしても、大事な交通手段である車を壊してしまったら
    どうするんだ?この先。と心配で堪らなかったのだが、
    彼らは今作の受賞で保険証と夫の定職を手に入れたらしい。
    良かった、家族の為にこれからも頑張れ。ナジフ!

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  • どすん

    3
    2014/3/25

    ボスニアにいる
    ロマ民族
    の家庭での物語です。

    ロマ民族はもともと起源が北インドのジプシーにあり、
    そのためか迫害を受けている事例が多いそうです。


    保険証がないために
    命の危機に迫った妻を夫がどう行動するか。

    鉄くずを拾って生活していく夫がどのように社会の中の立場を自覚していくかの映画です。

    実話を実際の本人達で演じられています。

    ボスニア=ヘルツェゴヴィナの山奥の村で暮らすロマの家族。
    夫ナジフと妻セナダ。
    そして2人の娘。

    ナジフは家族といっしょに村で暮らしており
    鉄くずを拾い、金にして生計を立てていた。

    そんなある日セナダが腹痛でうずくまっていた。
    彼女は3人目の子どもを身籠っていた。
    病院に連れていくいくと流産しており、産婦人科で診てもらうように勧められる。

    しかし、産婦人科にいくが保険証を持っていないために
    980マルクを払わなければ手術を受けさせないといわれる。
    クルマ1台を解体して鉄くずを持っていって120マルクの彼にそれは無理であった。

    食い下がるが断られてしまう。
    家に戻って静養するが、再発する。
    しかし病院では門前払い。

    どうすることもできずに、妻は死んでいくのか・・・
    社会保険事務所に駆け込むが、もう妻は病院には行こうとしない。

    そんなとき、ある電話が救いとなる。

    社会的弱者といわれている人が受けれる
    社会サービスはその立場にたって作られたものではなく
    しかも、その手続きを行う過程から実際に使われないことが多い。

    この映画での実話をみてそう感じました。

    1000ボスニアマルクで72000円ほど。
    クルマ1台解体して、持っていって8000円ほど。

    妻が死ぬといわれ・・・
    考えて、ゴミ捨て場に鉄を拾いに行く・・・

    車を解体しても
    かなりのピンはね。
    解体屋さんが常に
    『20%かけて・・・・』
    って。
    おいおい・・・

    しかし、そんななか懸命に生きていこうとするナジフ。
    もちろん行政もそのサービスを提供しているが、そのことすら知らない・・

    そんな理不尽さ、負のスパイラルを感じた映画でした・・・・

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  • 3
    2014/2/26

    だからなんだねぇ。子供たちが自由だし、凄く自然に無鉄砲だ。
    しかも滅茶苦茶カメラ見るしね。
    一瞬ドキュメンタリーだったっけ?って思った。

    そうだね、あの奔放さは実の家族だからこそだよね。
    兎に角、子供たちうるさい!行儀悪い!そして無邪気。
    普段何しても怒られないから、そりゃあ、公共の場に行ってもお行儀良くなんて出来ない。いきなり静かに・・なんて言われても出来る訳がない。

    虐げられた環境で、それでも逞しく生きているんだよね。
    何故保険証が無いのか、それを国はどうにもできないのか‥は解らないんだけど、お腹に死んだ赤ちゃんが居る状態の女性を帰すなんて病院の有り方はおかしいわよね。死ねって言っているようなものだわ。
    きっと上の子たちも病院には行かずに産んだんだろうな。子供たちも滅多な事では病院に連れて行って貰えないんだろうな。
    だけど、子供は病気になるし、民間療法で何とかなる物なら良いけど。
    それにお産は危険がつきものだ。上の子たちの出産が上手く行ったのはラッキーだったからでもある。
    パパは頑張っているけど、そう言う命の危険を冒して奥さんが妊娠出産している・・って言う認識は無いのね。
    その無知は罪だと思う。今回は助かったから良いけど。

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