エレニの帰郷|MOVIE WALKER PRESS
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エレニの帰郷

2014年1月25日公開,127分
PG12
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2012年、撮影中の事故により急逝した「旅芸人の記録」「永遠と一日」のテオ・アンゲロプロス監督の遺作。動乱の20世紀を背景に、歴史的事件に翻弄される三人の男女の姿を描く。出演は「プラトーン」のウィレム・デフォー、「ヒトラー 最期の12日間」のブルーノ・ガンツ、「ローマ法王の休日」のミシェル・ピッコリ、「ふたりのベロニカ」のイレーヌ・ジャコブ。第26回(2013年)東京国際映画祭上映作品。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

20世紀末の現在。ローマの撮影所チネチッタ。映画監督の“A”(ウィレム・デフォー)は、ある理由により中断していた撮影を再開しようとしていた。しかし、ベルリンを舞台に、歴史的事件と彼の両親のパーソナルな人生との関係を描こうとするその作品の完成は困難を極めていた……。“A”の母親エレニ(イレーヌ・ジャコブ)は、女子大生の時、秘密警察に逮捕され、テサロニキ収監所に送られた。女性囚人と共に脱走した彼女は、恋人のスピロス(ミシェル・ピッコリ)と離れ離れになってしまう。1953年4月27日、スピロスはギリシャ難民の町テミルタウに辿り着く。そこでエレニは、イスラエル難民ヤコブ(ブルーノ・ガンツ)と共に集会に参加していた。ようやく再会しお互いの愛を確認するエレニとスピロス。だがスターリン死去による民衆の混乱の中、二人は逮捕され、別々の車でシベリアへと送られる。エレニとの親しい関係を咎められたヤコブもシベリアへと送られるが、やがて彼女の苦境を支える友となる……。エレニとスピロスの間に生まれた息子は、ヤコブの姉の協力により、モスクワへと逃れる。スピロスもまた、交換出獄によって海外へと逃れた。1974年12月31日、エレニはヤコブと共にオーストリアへと越境、彼女はスピロスのいるアメリカへと向かう。一方、イスラエルへの帰郷を夢見ていたヤコブも、彼女への愛を断ち切りがたく、共にニューヨークへと向かう。エレニはニューヨークでスピロスの居場所を探し続け、ようやく見つけるが、彼は見知らぬ女性と暮らしていた。茫然自失のエレニはカナダへと向かい、そこで徴兵忌避のために滞在していた息子“A”と再会する……。再び現在。家族の物語を映画にしようとする“A”は、ベルリンでエレニ、スピロス、ヤコブの三人とついに再会を果たす。だが“A”もまた決して順風満帆な人生を送っていた訳ではなかった。妻ヘルガ(クリスティアーネ・パウル)との別離を契機に、娘エレニが激しい抑鬱に悩まされていたのだ。そして動乱の20世紀は、今まさに終わりを告げようとしていた……。

作品データ

原題
Η ΣΚΟΝΗ ΤΟΥ ΧΡΟΝΟΥ
映倫区分
PG12
製作年
2008年
製作国
ギリシャ=ドイツ=カナダ=ロシア
配給
東映(配給協力 フランス映画社)
上映時間
127分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.9
  • ひゃん

    3
    2014/8/17

    「エレニの旅」に続くアンゲロプロス監督の第二弾。
    三部作構想だった撮影の最中に事故で急逝しこれが遺作となる。
    男女三人の愛の行方と、政治背景・歴史的事実が複雑に絡み合い
    過去と現在を行き来するという難解な内容は、乗り切れないと
    最後まで観るのが辛くなってくる。好きな人には壮大な叙情詩。
    それにしてもW・デフォーがI・ジャコブの息子役とは恐れ入った。

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  • でーいー

    4
    2014/2/21

    まず、冒頭の追悼アンゲロプロスの映像に涙なくしては観れなかった(ただし、彼の作品で涙したことはなかったためちょっと申し訳ない気もした)…。
    アンゲロプロスという監督の作品は、粘り強い画面に支えられながら厳しい現実の世界を訴えて来た。
    それは時に強烈な眠気を誘い、不可思議な謎を与え、深淵なる不安に観客を導く(ような気がする)。

    しかし、本作については過去のアンゲロ作品に比べてくどいほどの長回しではなかった。音楽が画面を寡黙な登場人物たちの代わりに雄弁に語り、各世代と人間関係の断絶をくっきりと映し出す。

    全く説明的台詞を排して、時制や人物がめまぐるしく変わる自由さ。そして大胆さとモノの迫力をたたえたモチーフ。
    スターリン像の姿には、『ユリシーズの瞳』で画面を支配したレーニン像の姿と重なった。
    最後まで貫かれた巨人の最後をとくと刮目せよ!

    追記:原題は「時の埃」。埃のごとく雪が舞い、積もります。

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