家路|MOVIE WALKER PRESS
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家路

2014年3月1日公開,118分
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東日本大震災の影響で故郷を失いバラバラになってしまった家族が、20年近く音信不通だった弟の帰郷をきっかけに、再び絆を深めていく姿をオール福島ロケで撮影した人間ドラマ。鬱々とした毎日を過ごす兄を内野聖陽、その弟を松山ケンイチが演じる。メガホンを握るのはドキュメンタリー作品で数々の受賞歴を持つ久保田直。

予告編・関連動画

予告編

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

震災の影響で故郷が帰れない場所となり、一家は代々受け継いできた土地を離れて暮らす事に。そんな彼らの元に20年近く前に故郷を出たまま音信不通だった弟が戻ってくる。彼はひとりで苗を育て、誰もいなくなった田園に苗を植えていく。葛藤を抱きつつ故郷で生きる決意を固めた弟の存在はバラバラになった家族の心を結びつけていく。

作品データ

映倫区分
G
製作年
2014年
製作国
日本
配給
ビターズ・エンド=WOWOW FILMS
上映時間
118分

[c]2014「家路」製作委員会 [c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.5
  • ひゃん

    5
    2015/3/20

    もうあれから4年経ったのだ。という思いが、先日観たTV特集で
    まだまだだ。と思い知らされる。震災の復興は日々着々と進みつつ
    あるものの未だ取り残された地区の被災者は苦難を強いられている。
    そんな中で観た今作は、よりその住民の生活に沿ったものだった。
    是枝監督も絡んでいるドキュメンタリー出身・久保田監督作品なので
    その暮らしぶりや風景がそのままこちらに響いてくる。仮設住宅の
    狭さや息詰まる会話がそこかしこに感じられ、ここで描かれる日常
    から抜け出したくてもどうにもならない歯がゆさと悔しさが伝わる。
    が、本作のテーマは震災被害と並行した家族の絆再生物語でもある。
    とある事件から20年間姿を消していた次男が突然故郷に帰ってくる。
    もう誰も住めなくなった区域の電気もガスもない実家で蝋燭を灯し、
    ご飯を炊き畑を耕し田んぼまで作る。彼の目的は何かといえば、
    ただそこで暮らしたいということだけ。シンプルな彼の願いに友人は、
    「ここで暮らすってことは、ゆっくり自殺するようなもんでないの?」
    「どこでどう暮らしたって、人間いつかは死ぬのさ。」と応える次男。
    原発の不安を煽ることも掻き消すこともせず、ただシンプルに生きる
    ことを訴えるこの描き方は新鮮だった。演じる松ケンがオーラ全開で
    腹違いの兄・内野や実母・田中を包み込んでいく豊かな人物像を魅せる。
    どんな恐怖や哀しみに見舞われても、人間は生きるために必ず食べる。
    蝋燭の下で自作のご飯とおしんこを黙って掻き込みながらの満足顔、
    「美味いな。」「美味いべ。」と交わす言葉の温かさと豊かさが胸に残る。

    (完全な安全など存在しない世の中だから、せめて家内安全は守ろう)

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  • どすん

    3
    2014/5/1

    『家路』見てきました。
    震災後の警戒区域内の住んでいて
    今は仮設住宅に住む一家の物語です。

    今の生活に慣れたくなないが・・・
    慣れてしまい行き場のない何かは何か・・・
    これを問いかける物語です。




    震災後の警戒区域内。
    そこで腐敗した動物の遺体を埋める青年。
    穴を掘り、そこに遺体を埋め、牛の識別票を墓標につけ合唱する。
    人はもうこの地域には誰もいないことを知ったうえで
    電気、ガス、水道もない場所で生活する次郎。
    彼はここに数日前東京からこの家(うち)に戻ってきた。

    兄の聡一はその家から出ていった。
    家族は継母の登美子、妻の美佐、子どもとともに仮設住宅で暮らす。
    稼業であった農業も警戒区域で終われ、こだわってきたコメの味も今はそのこだわってきたことしか思い出せなくなってきた。

    母登美子は人生の中で大きく占めていた米造りのこだわりを取り上げられ
    締まりのない生活を送っていた。
    徐々に生活がぼけていく。
    そして痴呆が進み始める、
    その中にも、昔にとったある行動の後悔が彼女の心を占めていた、

    妻の美佐はそんな1日中仮説にいることに耐え切れず、デリヘルの仕事を始める。
    聡一は何もできない自分にいらだち、妻との仲もよくなかった。

    ある日次郎のいる家に北村が迷い込んでくる。
    彼とは中学が同じ。
    しばらく家で生活するなかで次郎はどうしてこの村を出なくてはならなかったかを語っていく。

    次郎は過去にある農家の田の水を抜き、その責任をとって高校を中退し村を出た。
    もう2度と戻らぬことを約束して。

    しかしそれは、実力者であった父に気に入られようとした聡一の行動であった。
    家をつがねばならない長男の立場を悟り次郎は罪を被り、母をそれを見送った。

    ある時、警戒区域で一緒に農家をしていた伸明の葬儀で聡一は次郎が家に戻ってきたことを知る。

    今までの仕事であった土地を奪われ
    コメ作りへのこだわりも薄まっていく。
    何もしない1日。
    そんな自分が嫌だが、そんな毎日が当たり前になっていくことにいらだちを感じている聡一。

    過去に故郷を追われたが、誰もいなくなった場所に惹かれるように帰ってきた次郎。

    この2人の大きな違いが主軸になって進んでいきます。

    最後には次郎、聡一はある決断をして次のステップに移っていきます。

    次郎は母と家で暮らすこと。
    聡一は新しい土地でやり直すこと。

    警戒区域で生活することに家族の過去の問題が浮き出てくるのですが・・・
    これがちょっと弱く、なぜあの事件を起こしたのか・・・
    動機がちょっとよくわからず進んでいってしまいました。

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  • おだちん

    4
    2014/3/2

    「人が住めるところじゃないんだ」
    「長い時間かけて自殺するようなもんでしょ」
    そんな言葉が空虚に響くほど、松山ケンイチ演じる次郎はだれも住まなくなったこの土地と同化する意思を強く示す。少しぼけてきた母も、炊事や畑に出て己の存在意義を見出したときにその症状は消える。
    つらい出来事があった故郷に、だれも住まなくなったからこそ戻れる、という皮肉。

    痛みをかかえたこっちを捨て、痛みのないあっちを選んだ二人に、見えない放射能の恐怖などどうでも良いことだった。
    大きく価値観を揺り動かされた気がする。

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