祖谷物語 おくのひと|MOVIE WALKER PRESS
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祖谷物語 おくのひと

2014年1月11日公開,169分
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日本最後の桃源郷といわれる徳島県祖谷を舞台に、その美しくも厳しい大地に根をおろし、時代に翻弄されながらも逞しく生きる人々の姿を描くヒューマンドラマ。監督は、自主映画『夢の島』で国内外から高い評価を得た蔦哲一朗。出演は「女忍 KUNOICHI」の武田梨奈、「たそがれ清兵衛」の田中泯、「さよなら渓谷」の大西信満。第26回(2013年)東京国際映画祭上映作品。2014年1月11日より、徳島県にて先行公開。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

自然豊かな山里《祖谷》。ある夏の日、ボンネットバスに乗って東京から青年・工藤(大西信満)がやってくる。彼はこの地で自給自足生活を始めようとしていたが、一見平和な村では、地元の土建業者と自然保護団体との対立や、鹿・猪といった害獣から畑を守ろうとする人々と獣の戦いなど、様々な問題が起こっていた。そんな中、工藤は人里離れた山奥でひっそりと暮らすお爺(田中泯)と春菜(武田梨奈)に出会う。電気もガスもなく、物もほとんどない質素なこの家の生活は、時間が止まったかのようにゆったりとしていた。お爺は毎朝、山の神様が祀ってある社まで山を登り、お神酒を奉納する。春菜は一時間かけて山を下って学校に通い、放課後はお爺の畑仕事を手伝う。効率とは無縁の二人の生活は、工藤の心をゆっくりと浄化していくのだった。だが、季節が巡るにつれ、お爺と春菜の生活にも変化が起こり始める。進学に悩む春菜と体調が悪化していくお爺。ずっと続くと思っていたお爺との生活がズレ始めたことに不安を抱く春菜だったが、お爺は春菜の心配をよそにいつものように山に出掛けていく。一方、田舎での生活に期待を寄せていた工藤も厳しい自然との共存に限界を感じ、自分は所詮文明社会の下でしか生きられないということに絶望を隠せないでいた……。

作品データ

映倫区分
G
製作年
2013年
製作国
日本
配給
ニコニコフィルム
上映時間
169分

[c] 2012 ニコニコフィルム All Rights Reserved. [c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.7
  • あちゃぺ

    1
    2017/8/31

    徳島県祖谷…この田舎町(失礼ですが)を舞台に描く人間ドラマ。
    東京から一人の青年がこの町にやってきて、自給自足の暮らしを始める…。
    「また都会の落ちこぼれがきよった。」田舎で暮らす若者が東京から来た青年に向かっていう。祖谷もそうだが、田舎で暮らす人の生活は大変だ。食べるために仕事することもそうだし、自然という環境と共存しなければならない。
    寒い地域では雪が…山に囲まれていれば獣が…祖谷にはそんな田舎の辛い部分が全部詰まっている。
    都会の人間関係に疲れて田舎町で暮らそうと決意した人を田舎の人は「そう甘くないで…」とみるだろうね。
    働くのは食べるための野菜を作るだけ…。映画も、服も、パソコンもない。都会の生活に慣れた人にそんな生活が想像できるんだろうか…。

    ボクの育った町もそこそこの田舎だった。町まで出るにはバスしかなく、車のなかったボクんちが町に買い物に行くのは大変だった。田舎暮らしは決していいものばかりじゃない。都会の喧騒から離れて旅行気分で暮らせるほど甘いもんじゃない…。

    そんなことを思いながら約3時間の長編を見た。
    長かった…最初の20分ほど映像だけで台詞すらなかったように思えるほど、静かな静かな映画…。これもこの監督の良さなのかも。

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  • gachon

    5
    2014/3/30

    この映画は祖谷を舞台に自然と人間の関係を見つめなおすフェイクドキュメンタリーなファンタジー映画です。

    都会の生活も気になるがお爺(田中泯)と自然に生きる生活を大切にするヒロイン春菜(武田梨奈)、都会の生活に失望して祖谷での人間としての再出発を賭ける工藤(大西信満)、まったく反対の立場のふたりを中心に美しい祖谷の四季を延々と描き、お婆とお婆が作る不思議な魅力をもつ案山子たち、自然保護を仲間たちと訴えるマイケル、トンネル開通後の生活に揺れる親とこどもたち…この魅力的なひとびとを日本を代表する名優と祖谷の人たちが一緒に演じていますが違和感なく不思議な空間を作り出しています。

    人間にとっての自然は何か?故郷とは何か?ということを監督の手から離れて観客ひとりひとりの心に考えさせるような映画になっていました。

    東京編で河瀬直美監督が重要な役で出演しているのが日本映画ファンには嬉しく、東京から再び祖谷に戻ったヒロインが最後にみた光景?は今も心から離れません!

    蔦監督には名古屋の初日上映後のサイン会で最後のシーンのことをお聞きしましたが、予定にはなく追加したシーンとのこと。しかし日本映画屈指の名シーンとなりました。

    デジタルの時代に厳しい自然に生きるヒロインを見事に演じきった武田梨奈は「裸の島」(新藤兼人監督)の乙羽信子が重なるほどの名演。お疲れさまと言いたいです。

    大西信満は「さよなら渓谷」以上にストイックな男を演じきりました。大西信満の代表作になると思います。

    せりふなしの田中泯はフェイクドキュメンタリーを越してドキュメンタリーに至る神業の演技でした。「三姉妹 雲南の子」のワン・ビン監督の感想を聞いてみたいところです。

    こんな奇跡的な映画が作れたのは35mmとフィルムとにこだわる蔦監督の情熱と、監督の人柄(サイン会では私と同じ視線でした)と思います。

    蔦監督には次の作品を期待しています。35mmとフィルムでどこまでも挑戦していってほしいと思います。

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