ヒステリア|MOVIE WALKER PRESS
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ヒステリア

2013年4月20日公開,100分
PG12
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ヴィクトリア王朝最盛期に誕生した電動バイブレーターの秘話をコミカルに描いたドラマ。電動バイブレーターが開発された当初は、現在のように性具としてではなく、ヒステリー症状を持つ女性たちを治療するための医療器具として使われていた。「クレイジー・ハート」のマギー・ギレンホールが父が編み出したマッサージ療法に断固反対する娘を、「お買いもの中毒な私!」のヒュー・ダンシーが人気沸騰しすぎて利き腕が使えなくなったことからバイブレーターを開発する若い医師を、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのジョナサン・プライスが婦人科医の権威を演じる。監督は「Ball in the House」(未)のターニャ・ウェクスラー。

予告編・関連動画

予告編

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

1890年、イギリス。第二次産業革命が起こりヴィクトリア王朝は最盛期を迎えていた。その頃巷では女性たちに、すぐに泣く、異常な性欲、不感症、うつ病など様々な症状を引き起こすヒステリーが広まっていた。婦人科医の権威であるダリンプル医師(ジョナサン・プライス)は、女性特有のヒステリーに対処する“マッサージ療法”を考案する。この“マッサージ療法”は大変効果的で、ダリンプルの診療所に多くの女性患者が詰めかけるようになる。さらに、ハンサムで真面目なグランヴィル医師(ヒュー・ダンシー)が診療所に入ったことから、人気に拍車がかかる。その一方で、ダリンプル医師の娘シャーロット(マギー・ギレンホール)は“マッサージ療法”に対して嫌悪感を抱いており、非難する。ある日、“マッサージ療法”をしすぎたためにグランヴィルの利き手が動かなくなり、彼は診療所を解雇されてしまう……。

作品データ

原題
Hysteria
映倫区分
PG12
製作年
2011年
製作国
イギリス フランス ドイツ ルクセンブルク
配給
彩プロ
上映時間
100分

[c]2010Hysteria Films Limited.Arte France Cinema and By Alternative Pictures S.A.R.L [c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.5
  • G1

    4
    2013/9/18

    バイブレーターと言うより、今日で言うところの「電マ」ですね。

    主人公の医師らが行っていた「女性のヒステリーを和らげる目的で、性的マッサージを施術する」というのは今で言えば性風俗なんだが、それを医療行為として大真面目にやっているところが、今日的視点からすれば滑稽である。

    とは言え実際、女性は性生活に満足出来ていれば、夫婦間の少々の問題は乗り越えられる、というのも事実のようで、やはり夫婦の基本はセックスライフの充実にあるんだなぁ、と。日本ではセックスレスなんてことが言われて久しいが、この映画を今一度、夫婦間の性生活を見直すきっかけにしては? 

    「対等な関係」と「愛されている実感」、この2つがあれば、きっと女性はヒステリーを起こすことも無く、円満な夫婦生活になるのでしょう。

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  • yendou

    2
    2013/5/15

    人間の性に関することを描くのは、(ピンク映画は除いて)結構数年前までタブー視されていた傾向がある。それでもキューブリックの「アイズワイドシャウト」くらいから性に関することだけではなくて、性器の直接描写に関しても、日本ではかなり許されるようになってきた。でも、VFX映画でもそうだが、いくら大胆な描写や凄い映像技術で撮った作品でも、最終的には物語としてどうくみ上げているかだと思う。それは性にまつわる映画でも変わらないのだ。

    といいつつ、本作では大胆な性描写があるわけではない。タイトルからはイマイチ分からないが、女性の自慰行為を助ける補助具として出てきた電動バイブレータの誕生秘話についての物語だ。この手の作品としては。性交についての過激報告をまとめたキンゼイ博士の半生を描いた「愛についてのキンゼイ・レポート」が、近作ではセックスと愛とを描いた傑作なのだけど、本作はそこには到底及ばない。演出としては性についてコミカルな劇にまとめたあとに、主人公グランヴィルとシャーロットとの恋へとつなげていくのだが、作品がずいぶん小粒な範囲に留まってしまっているのだ。雰囲気は決して悪くないし、マギー・ギレンホールも十分存在感を示しているので、もう少し大胆に力感よく描くだけでもだいぶ印象は違ったと思う。

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  • マダムクニコ

    4
    2013/5/6

     女性用ヴァイブレーターの開発秘話がベースになっている。ちょっと引いてしまいそうな内容だが、女性監督ならではのフェミニズムを絡めた清々しい仕上がりになっている。

     イギリスのヴィクトリア朝(1837~1901)末期が舞台だ。産業革命がもたらした経済の発展が成熟に達したイギリス帝国の絶頂期である。

     産業革命による労働者搾取と植民地支配による領民搾取により、人々の生活水準は向上したが、貧富差はますます拡大した。富める者はより裕福になり、貧しい者はより苛酷な生活を強いられた。

    現代と同様、繁栄と腐敗が表裏一体となった社会。それらを隠蔽するため、階層を問わず礼儀や道徳を重んじる偽善的な風潮が生まれた。同時に、劣悪な生活環境から売春や児童労働といった悲惨な現象が噴出した。
     この矛盾した二面性がヴィクトリア朝の特徴。文学作品ではオスカー・ワイルドの『サロメ』、スティーヴンソンの『ジキル博士とハイド氏』などがある。

     自由で闊達な人間らしい生活とは正反対の「二重規範(社会的規範&男女差別規範)」を強いられた、ロンドンの女性たちが登場する。
     彼女たちは家父長制社会のもと、参政権はおろか平等な教育も受けられず、自在に職業に就くこともできず、財産の自己所有権もないため、生きるためには結婚して家事に専念する主婦になるしか術がなかった。
     加えて禁欲的な空気が支配するなか、彼女たちは、表面では性的なものがまったく存在しないかのようにふるまっていた・・・。

     そうした制約が原因で意欲減退、異常性欲、不感症、うつ病といった「ヒステリー」症状が女性たちの間で蔓延。その治療法として、ベテラン婦人科医・ダリンブルの特殊なマッサージ法が評判を呼んでいた。
    「患者を救いたい」との意気に燃えた青年医師・グランビルがその仕事を手伝うが、あまりの盛況ぶりに腱鞘炎になり、解雇されてしまう。

     彼は閑職中、発明家の親友が構想中の「電動埃払い器」に眼をつけ、友人とともに「電動マッサージ治療器」の開発に取り組む・・・。

     新発明の治療器がみごとに成功し、職場に復帰した彼は前にも増して超繁盛。女性たちの元気になる姿を眼にして得意満面だったが・・・。

     根本的な原因を究明しようとせず、一過性の治療に励む父ダリンブルとその弟子グランビルを嫌う長女シャーロット。彼女は父に抵抗して女性の自立支援をし、貧者のためのシェルターを運営する先進的な社会主義者だ。
      一方、父の言う通りに行動し、閉鎖的な人生を歩みつつある貞淑な次女エミリー。
      物語はこの姉妹を対比させつつ、グランビルとの恋の行方をコメディタッチで展開する。
     姉妹はそれぞれが自分の人生を生きることに目覚め、意外な結末を迎える。 

      タイトルの「ヒステリア」は子宮を意味するギリシア語。紀元前5~紀元前4世紀ごろの古代ギリシャ人は、子宮の病のことをそう呼んでいた。
     「医学の父」といわれるヒポクラテスは当時、その症状について正確に記載している。また、同時代のプラトンも、「長い間子どもを産まないと子宮は苦しんで五体を動きまわるため、あらゆる病の原因となる」と述べている(『ティマイオス』)。

     「ヒステリー」は神経症の一種で、疲労感、集中力不足、焦燥感、記憶力低下などの精神症状と、不眠、頭痛、食欲不振、うつなどの身体症状からなる。
     フロイトがパリでヒステリーについて指導を受けたジャン・マルタン・シャルコー(1825~1893、)が男のヒステリーを指摘するまで、女性特有の病とされてきた。

    本作は、開発ストーリーもフェミニズムも恋愛も、深く掘り下げていないので少々物足りない。初回の実験で元売春婦を起用したのは、職業的蔑視があり問題だ。さらに即大成功では余りにも軽過ぎる。
     フェミニズムについては、長女の活動をもっと多面的にとりあげ、同時代の女性の状況をじっくりと描いて欲しかった。
     しかし、あの時代にそんな実話があったとは・・・。眼からウロコの女性賛歌が快い。気軽に観て欲しい。

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