父の初七日|MOVIE WALKER PRESS
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父の初七日

2012年3月3日公開,92分
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台湾を舞台に、父を亡くしてから葬儀を迎えるまでの7日間の間に遺族が遭遇する様々な出来事を、ユーモアを交えて綴る。劇中で描かれる道教特有の風習も見どころ。出演は脚本家出身で本作が映画初出演となるワン・リーウェン、「幻遊伝」のウー・ポンフォン。台湾のアカデミー賞にあたる金馬賞で7部門にノミネートされた。

予告編・関連動画

父の初七日

予告編

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

台湾中部、彰化県の片田舎。突然の父(タイ・バオ)の訃報に、台北で働く娘アメイ(ワン・リーウェン)が帰省する。夜店を営む兄タージ(チェン・ジャーシャン)、大学生の従弟シャオチュアン(チェン・タイファー)が集まり、道士でもある叔父アイー(ウー・ポンフォン)の指図で伝統的な道教式の葬儀が執り行われることになった。占いで決められた野辺送りの日は7日後。しかし、それから思いもよらない“父をおくる”旅が始まる。古いしきたりに則ったお葬式は、決まった時に泣かなければならないという規則のために雇った泣き女が過剰に泣き、供養のための楽隊まで登場し、まるでお祭り騒ぎ。理解できないことだらけだったが、悲しみに浸る間もなく、なんとか一つ一つをこなしてゆくアメイの前に、父の恋人が現れる……。喧騒と混乱の中、父との他愛もない思い出がふと甦り、深い絆と寂しさに包まれるのだった。そしてついに7日目、別れの日がやってくる……。

作品データ

原題
父後七日
映倫区分
G
製作年
2009年
製作国
台湾
配給
太秦(提供 マクザム=パルコ=太秦)
上映時間
92分

[c]2010 Magnifique Creative Media Production Ltd. Co. ALL rights reserved [c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.5
  • すすむA

    4
    2012/3/18

    これは『お葬式』(故伊丹十三監督1984)の台湾版だなと感じる。家族が亡くなりその悲しみを実感する前に、葬式という高度に儀式化されているがどこか時代遅れな非日常が突然日常生活に乱入してくる。そこで起きあがる悲喜劇はどこの国も同じようだ。

    道教にのっとるという台湾の葬式が、日本の観客には特に珍しい。救急車が遺体を病院から自宅に届ける習慣に始まり、占いで決定される出棺3日後告別式7日後というのんびりさに先ず驚く。夏にどうなるかと心配してしまうが、遺体用の冷蔵庫が自宅に到着すると聞いてこれまた驚く。遺族が頭に乗せる不思議な被り物、大仰な泣き女、葬儀場が公園に設置したテントに至ってはもう「大驚き」の他はない。

    台湾でもこののんびりしたスケジュールは生活のリズムに合わない。式を執り行う親類の道士からが合間にアルバイトをするのだ。とは言え懸命に従おうとする、普段はビジネス最前線にいる娘、この機会に式次第をフィルムに収めての卒業制作作品としたい大学生の従兄弟、さらに賑やかなことが大好きな道士の恋人や亡父の愛人らしき看護士までが集まってくる。どこの国でも葬式は生きている人々の再会と驚きの出会いの場である。

    いきおい式はドタバタ喜劇に変わって行かざるを得ないが、抑制の効いた映像が、観客を吹き出させてしまうのではなく、ニヤリとさせるに留める。この辺りの締め具合は見事である。

    準備の合間に亡父の生前の断片が挟み込まれる。露天商人というつましい職業だが、楽天的で子煩悩な性格。誰からも愛される性格の持ち主だ。台湾という温暖な島国が育てた典型人物と写る。

    式も終わり、参加者もそれぞれの生活に戻る。死者が偲ばれるのは葬式が済んだ後という構図はどこの国も同じだが、海外に飛び行く娘に、飛行機で泣き通しだったと言うナレーションが重なる。映画なのに映像ではなく音声が伝えるという意表をついた仕掛けに特に感心した。

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