SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー 傷だらけのライム|MOVIE WALKER PRESS
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SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー 傷だらけのライム

2010年6月26日公開,95分
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「SRサイタマノラッパー」に続く青春ヒップホップ映画第2弾。監督・脚本は前作同様、入江悠が担当。今回は群馬を舞台に、かつて見た夢を叶えようと一晩限りのライヴを企画する女子5人組の姿を描く。出演は、新人の山田真歩、「すべては海になる」の安藤サクラ、「SRサイタマノラッパー」の駒木根隆介、水澤伸吾「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の岩松了など。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

病死した“伝説のDJ”タケダ先輩が、生前に繰り広げたという“伝説のゲリラライヴ”の聖地を探しに群馬にやってきた埼玉のラッパー、イック(駒木根隆介)とトム(水澤伸吾)。しかし「うちらがタケダ先輩の一番弟子」と名乗る地元の女子5人組と遭遇する……。その中の一人、アユム(山田真歩)は、高校時代、女子だけで結成されたラップグループの一員だった。だが、今では実家を手伝いながら退屈な毎日を過ごしている。ヒップホップに夢中だった仲間たちも卒業後は散り散りになってしまっていた。そんなある日、アユムはかつての仲間、ミッツ(安藤サクラ)らと共に、再度一夜限りのライヴを行おうと思い立つ。だが、既に20代後半の彼女たちには、仕事や結婚、家族やお金など、様々な現実が立ち塞がっていた……。

作品データ

製作年
2010年
製作国
日本
配給
ティ・ジョイ
上映時間
95分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.6
  • すすむA

    5
    2011/5/8

    今回は女性ラッパーである。前編以上に沢山の曲を聴かせてくれるのが嬉しい。高校の文化祭でB-HACKの名でラッパーを歌ってから9年が経っている5人のメンバーは、前編のモラトリアム男たちとは違って、しっかりと生活経験をしているのが特徴。

    ひょんなことから、アユミの提案でもう一度ライブ・コンサートを開こうと言う話になる。給料の前借りを乞うアユムに、父親は断固反対する。亡くなった母は応援してくれたと言い返すが、「あの頃は景気が良かったから」と父はいう。彼女たちの職業や父の言葉に、バブル崩壊後の地方の疲弊が垣間見える。

    アユムは厭がる仲間をようようの体で引っ張り出すが、次は費用の100万円。それをひねり出すために選挙カーに乗ったり、サマーランドで水着姿でラップを歌ったりする。三十路近くの水着姿は痛々しい。高校時代に作った歌詞を歌っても、そこに書かれていた将来の夢は既に失われていて、苦笑するばかりである。

    金はなかなか貯まらない。苦労して集めた分もマミーの中絶費用に消えてしまう。金の行方よりもマミーの身体を心配する仲間に高校時代の友情がよみがえる。だが結局マミーは恋人の中国人が経営するソープランドが倒産して町を離れて行き、ミッツーも旅館が差し押さえられ、黙って消えてしまう。公演は挫折せざるを得ない。覆水盆に返らず。彼女たちの青春の本当の終わりだ。

    アユムの母の三回忌。喪服姿でかしこまっているアユム。そこに若さはなく、早く結婚して親を安心させろ等と言われている。そこに乱入するイックとトム。二人はタケダ先輩の伝説の聖地を探して群馬をさまよっているのである。法要に戻ってきた女性ラッパーグループと歌合戦になる。歌詞に乗せて言えない本音が語られる。ラップはミュージカルと違って台詞と歌の間に断絶がなく、語りがそのまま音楽になってしまう不思議な魅力がある。数日後の店での会話で、父親の口調がなんだかラップになっていると指摘するアユム。父との和解を予感させる幕切れである。

    群馬はより東京風に染まらない暮らしがあるようだ。東京に逃げたはずのミッツーも結局は戻ってきた。埼玉のトムとイックと群馬のラッパーたちの別れのシーンで、「メールアドレスを教えて」というトムに、女性たちは「バーカ、二度と群馬に来るな」と悪たれる。群馬の乾いた「かかあ風」は今後も健在だろう。全く頼もしい女たちである。

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    ネタバレあり
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