悪人|MOVIE WALKER PRESS
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悪人

2010年9月11日公開,139分
PG12
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吉田修一の同名小説を映画化したヒューマン・ドラマ。殺人事件を起こした孤独な男と、彼と共に逃避行に及ぶ女との狂おしい愛を描く。「フラガール」の李相日が原作の重厚な世界観をそのままに、人間の善悪をえぐり出す。原作にほれ込んだという妻夫木聡が初めての金髪姿を披露し、心に闇を抱えた哀しき殺人犯を熱演している。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

長崎のさびれた漁村で友人も恋人もなく、祖父母と共に暮らす祐一。一方、佐賀の紳士服量販店に勤める光代は、職場と家を往復するだけの退屈な日々を過ごしていた。ある日、祐一は保険会社のOLを殺害。偶然出会った光代を車に乗せて逃避行に及ぶ。やがて、2人は強くひかれあうが、その逃避行は事件関係者の運命を巻きこんでいく。

作品データ

映倫区分
PG12
製作年
2010年
製作国
日本
配給
東宝
上映時間
139分

[c]2010「悪人」製作委員会 [c]キネマ旬報社

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映画レビュー

3.9
  • たっかん

    5
    2016/1/8

    ◆映画公開時(2011年9月11日)に、新宿ピカデリーで鑑賞◆

    この映画は、理解しやすい物語として描かれているが、観終わった後にモヤモヤ感が残る。「物語はご覧のとおりですが『本当の悪人』は誰でしょう?」と映画の作り手に問われて答えられない感覚なのだ。

    殺人を犯した祐一は悪人と言われるべきだが、待ち合わせしていた祐一の目前で他の男(増尾)とドライブして深夜の山道に放り出され、それを助けようとした祐一を罵倒して殺された佳乃が祐一の気持ちを傷付けたのは確かだ。また、綾乃を車から蹴り出して置き去りにした増尾の行動がこの殺人のキッカケとなっており、増尾も悪人ライクである。

    祐一と一緒に逃避行する光代は「本気で誰かと出会いたかった」のであり、この点で祐一と共感して二人に一体感が生まれる。しかし、祐一は光代の首を絞める。この時の祐一の目が光る描写は、黒澤明監督の『赤ひげ』で香川京子演じる狂女の殺人未遂シーンの光る目を想起させる迫力である。光代の首を絞めた祐一の心境は判然としないが、こうして登場人物の行動根拠を描かないことが映画の余白となり、観客にその余白を埋めさせようというのが李監督の狙いではなかろうか。

    観客は祐一の殺人に至る経緯そして逃避行の末に光代の絞殺未遂までの一連の行動を目撃しているため情状酌量の気持ちを持つが、本作における警官は「綾乃を絞殺した事実」と「光代も絞殺しようとした事実」しか見ておらず『法治国家における悪人』として認識するしかない。この「観客の見方」と「警官の見方」のギャップが『本当の悪人は誰?』という問いかけにつながっている。

    本作で特に印象的だったのが娘を殺された父親である。自分の娘が殺されたことに絶望した父親は、実際の殺人犯である祐一ではなく、綾乃を車から蹴り出した増尾に対する憎悪を抱き増尾をスパナで制裁しようとする。この時の「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎる」という言葉は重い。まさに被害者の父親として言いたい事はこの言葉に尽きるだろう。父親は悪人になりかけるが、スパナを振り下ろすのを止めたとき悪人に成り切れなかった。一方、観客である自分は「さあ、殺してしまえ!」と思ってしまった。

    これは『この映画の観客までも悪人にさせられた瞬間』であり、「本当の悪人って誰?自分は?」と、観客の意識に入り込んでくる本作は、流行りの3D映画よりもよっぽど三次元的存在であり、恐るべき作品である。

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  • siro

    5
    2014/5/14

    人は生まれながらにルールやマナーをわきまえていないのだから、努力していい人にならなければいけない。性悪説の本来の意味はこうなりますが、この作品ではルールやマナーを自分の感情や利得などいろいろなものに押しに押されてしまっている人達が鮮明に描かれていると思います。
    それぞれの役柄はとても重要で作品の細部に深く関わっています。
    内容としては泥沼になりそうな作品ですが、やはりキャスティングがすばらしいです。

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  • らふろん

    4
    2013/9/29

    後先考えなさすぎる衝動的な犯罪とか衝動的すぎる恋愛ものとかあまり好きではないのですが、妻夫木聡のもどかしい心理状態の表現と、深津絵里の一途で寂しい女性の演技が迫真で入り込んでしまいました。

    ストーリーの中の事件で誰が一番悪いかは、観る人によって全然違ってきそうだなと思いました。

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