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投稿レビュー(6件)牛の鈴音は星4つ

今を味わうことの幸せ (投稿日:2010年9月8日)

 口蹄疫の感染が確認され、その後被害が拡大した宮崎県で、終息宣言が出されようとしている。疫病の蔓延を助長している背景にメスを入れないかぎり、ウイルスの感染拡大はこれからも起こるだろう。

 「スピードと効率」を重視する、大量生産方式が畜産業界にも導入され、狭い場所に牛や豚、鶏を押し込めて育てる「密飼い」が主流になっている。運動不足やストレス、不衛生な飼育環境が病気を拡大させる温床になっているのだ。更に健康リスクの回避、成長促進のために抗生物質が飼料に添加され、人体への影響も危惧されている。

 経営効率を上げるために、乳牛の平均寿命は5年~6年と言われている。この映画で79歳の農夫と一緒に働く牛は、40年も生きているのだ。「スピードと効率」に背を向けたチェ爺さんの生き方が、牛の寿命に反映しているのだと思う。

 2009年にわずか7館で封切られたドキュメンタリー映画が、累計で約300万人を動員するヒット作になったのは、「家族の絆」や「大量生産社会・大量消費社会」を考えなおす糸口を与えてくれたからだろう。

 「スピードと効率」という価値観は確かに生活の豊かさをもたらしたが、同時に環境汚染や自殺、過労死などの問題も引き起こしているのだ。「スローライフ」という考え方が提唱されるのも、多くの人々が心の豊かさを求めている証拠なのかもしれない。

 健康やお金も幸せの基本だが、今この時間を「味わう」ことも、幸せではないのか。何かに思い煩うことなく、ゆっくりと今を味わえる時間があるのも、幸せのバロメーターのひとつだと思うのだ。「牛の鈴音」は、私達の足元を見つめ直すための警鐘なのだろう。 »ガイドライン違反報告

投稿:冷おろし

評価:4
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韓国でなければ作れない映画 (投稿日:2010年1月28日)

ドラマ(劇映画)だと思って観ていたが、ドキュメンタリーだという。たしかに牛は演技をしないだろうからそう言われればそうだが、極めてよく考え抜かれたストーリー性があると感じる。まあドラマだろうがドキュメンタリーだろうが作品の素晴らしさには関係ないことだ。

日本では逆立ちしても作れそうもないこういった映画を韓国ではまだ作れるんだと感心する。機械化が遅かったことで、日本で農耕牛が消えていった時には考えられなかった意識化がなされている。映画館を出てからもしばらくの間、あの鈴音が耳から離れない。

79才と76才の老夫婦の畑仕事には、彼等は私たちが持てない何かを持っているのか、土から生命力を貰っているのかとも感じつつ、こういう感じ方も土から離れてしまった者の上滑りの考えかなとも反省する。とにかく二人の存在感に圧倒されつつ感動する。

チュさんは時勢を知らないわけではない。古びたトランジスターラジオは一日中鳴っているし、家にはテレビもある。隣の畠で耕耘機が動いているのも知っている。機械や農薬を使わないのはただただ牛のためだ。牛は40年生きてチュ一家を支えてきた。「人牛一体」というか、老牛はチュさんの命の一部になっているのだ。

その牛にも世代の違いがあるというのも、人間社会を象徴しているようで面白い。仔牛は勝手に走り回って隣家のスイカを踏み潰すし、若い母牛は仕事嫌いで食うばかり。ひたすら働く老牛は若牛に餌を奪われる。テュさんの人生そのものだが、人も牛も超然としている。

チェさんは頑固一徹のように見えて、ほんとは妻のイさんに頭が上がらないのだなと思う。仔牛を売ったり、老牛を競りに出したり、病院に行ったりも結局はイさんの要求だ。そのイさんは年がら年中不平ばかり言っているが、息子たちが「牛を売れ」という時には押し黙ったままで、売りたくないチュさんに同調する。夫婦の無言の信頼関係には年輪が刻まれている。苛酷な労働が、共に生きる幸せで補償されているのだろう。究極の夫婦愛に言葉は不要なのかもしれない。

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投稿:すすむA

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心に沁みる牛の鈴音ぉ~♪ (投稿日:2010年1月23日)

爺、婆、牛、爺、婆、牛…が順番に出てくる単調なドキュメンタリー。
やけど、その単調さが究極のスローライフを感じさせてくれよりま。

耳の悪いお爺さんと愚痴だらけのお婆さんっちゅうんは、とってもお似合いの老夫婦。
そんな夫婦の、時には旧友、時には救世主、時には孝行娘、ほんで、時にはジェラシーの対象のような牛とのつながりは、映画で皆が口々に言うように運命なんでっしゃろなぁ~。

けど、このお爺さん、牛に自身を重ねとるようで、観てて切なくなってきよりま。
牛も人間の言葉がわかるんか!?涙する姿は胸に迫るもんが…。

また、牛を牛と呼び名前も付けへんところが愚直な農夫であり、また、大写しにされる彼の手が実直な農夫であり…、楽さ便利さを求めた我が身が申し訳なく感じてまいま。

ただただ、爺、婆、牛、爺、婆、牛…の映画でおますが、胸に沁みまっせぇ~。 »ガイドライン違反報告

投稿:koni

評価:3
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老夫婦 (投稿日:2010年1月15日)


おじいさんとおばあさんと牛。そんな韓国の農村風景。

おじいさんが牝牛ばかり可愛がるのでおばあさんは牛に焼もち。
おばあさんはおじいさんに愚痴ばかり言っている。そんな夫婦と牛の関係。

子供達やおばあさんは楽をするために機械を入れろと言う。
でも、おじいさんは牛に必要な草の為に機械や農薬を使わない。
牛も年老いて新しくきた若い牝牛に邪魔扱いされる。そんな新旧の対立。

牛に乗って街に行く様子はとてもコミカル。
文句ばかり言ってる妻とそれに耐えてるのか、意に介さないのか相手にしない夫。
国は違えど、どこの国も夫婦のありようは似ているような・・。

それでも相手がいなくなるのは寂しい。そうやって連れ添うのが夫婦。
老夫婦。やはり奥深い。

 ・夫に愚痴を言いたい方
 ・妻の愚痴に耐えてる方
 ・老夫婦と牛の積み重ねてきた年月の重さと絆を感じたい方
  にお勧めです。 »ガイドライン違反報告

投稿:2006年から映画

評価:4
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遅く、重い足取りの果てに (投稿日:2009年12月26日)

▼ネタばれ(クリックして読む)

「牛の鈴音」
-大地を耕し 子を養った すべての牛と父親に捧ぐ -
全てはこの一言に尽きる映画である。
40年、田畑を耕し、枯れ木を運び、老人と共に働いてきた牛の晩年を描く記録映画である。
ドキュメンタリーではあるものの、老牛と老人の対比、老牛と新しい牛との対比、老人と周りのものとの牛に対する意見の相違など、手法は一貫して作者の意図を強く盛り込んでいる。
そういった作為的すぎる嫌いはあるものの、老人と老牛を撮り重ねた事が何よりもの長所である。
よろよろしながら、老人を乗せた荷車を曳く老牛、畑に這いつくばっても働く老人。互いを観る目の中に、単なる家畜と主人といった関係を超えた苦楽を共にした「同志」という対等な関係を感じた。互いに言葉でわかり合っているのではないかと錯覚するほどである。
老人、老牛の重い足取りの一歩一歩が、重い鈍器のように経てきた時間、苦楽を心に刻み込んで行く。
不思議な映画だ。
本編が終わり、冒頭のクレジットが出たあと、ひたすら涙が溢れてきた。
しかも、映画の内容とは関係のない事を思い描いていた。
思いは、両親、祖父、そしてその先の全くしらない祖先の事まで遡る。
重い足取り一歩一歩を経て、今、僕は存在して、生きているんだと。
クソみたいに働いて、生命を繋いでくれたという感動がこみ上げた。

牛一頭分の有用さ。

今、何一つ有用でない事への悔悟。

幕が上がると、現実に戻される。
劇場を出て、エスカレーターで降りて行くと、綺麗に並べられた商品とかしこまる店員と着飾った客。

この現実もあり、映画の中の現実もある。

いい映画です。
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投稿:サラヴぁ

評価:5
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愛あればこそ (投稿日:2009年12月20日)

愛あればこそ、じいさんは牛を使い続ける。

愛あればこそ、牛は健気に車を引き続ける。

愛あればこそ、ばあさんはじいさんに悪態をつき続ける。

愛あればこそ、子供たちはじいさんに引退を勧める。

愛あればこそ。 »ガイドライン違反報告

投稿:まあくん

評価:5
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