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投稿レビュー(10件)リミッツ・オブ・コントロールは星3つ

静かな過激。 (投稿日:2009年10月14日)

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<映画>というよりも<フィルム>という言葉が相応しく思える色香が全編に漂っている。カメラの横移動・縦移動、ピント送り、流れるような画の動きからフィルムの息遣いが聞こえてくるかのようだ。映像に音楽が被さると更にグッとくる。同時録音の街並みのざわめきまでもが効果を高める要素になっている。

これはハードボイルドでもありSFでもある。ジャン=リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』(65)、鈴木清順の『殺しの烙印』(67)、ヴィム・ヴェンダースの『アメリカの友人』(77)にも繋がる不思議な興味深い細部に溢れている。サングラスを掛けたサミュエル・フラーの姿がどこかで見えたような錯覚がするくらいだ。

「A POINT BLANK FILM」の ”POINT BLANK”はリチャード・スタークの小説「悪党パーカー/人狩り」(62)を映画化したジョン・ブアマンの『殺しの分け前 ポイント・ブランク』(67)の原題。ひとりの男(LONE MAN)が全裸の女(NUDO)に言う「仕事中にセックスはしない」というのはパーカーの有名な台詞。

謎がいっぱい。ネタがいっぱい。

「自分を何よりも偉大だと思う者を墓場へ送れ」 この指令はやはりハリウッド、アメリカ映画を暗示しているのは間違いないだろう。拳銃のドンパチやCG抜きでも活劇は撮れることを挑発的に表現している。正に静かに攻撃的なアクション映画だ。

活劇が成立するにはヘリコプターと爆音さえあれば十分なのだ。タランティーノやロドリゲスも悪くはないが、それ以上にジャームッシュはクール! ギターケースが何を表しているかは明らかだ。

原題の”NO LIMITS NO CONTROL”とは、やはり映画のことを意味していると思われる。「映画表現の可能性に限界はない、しかし何でもありであってもなかなか思惑通りにはいかないものさ」という感じの意味ではないだろうか。無限、そして支配はない。「宇宙には中心も端もない」 映画は絵画に通じる。

寡黙なひとりの男はマッチ箱から紙切れを取り出しては山羊でもないのに口に入れてエスプレッソで飲み下し、シャドーボクシングならぬ、太極拳か少林寺拳法の技の練習の後には南無阿弥陀仏を唱え、エスプレッソは必ずセパレイトで二杯。二杯の意味するところは不明だが、渦を巻く宇宙はひとつではないのだろう。”We are not alone.”っていう有名な映画の惹句があるけれど、aloneで何が悪い。

最後の最後で何かが起こりそうで画面が右に傾きフッと終わる。観る者の想像力を刺激して止まない何と慎み深いクールなフィルムなのだろうか。

観る者によって解釈は自由であり、夢を見るように身を委ねるだけでいいのだ。 »ガイドライン違反報告

投稿:モットー

評価:5
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スペインのゴルゴ13 (投稿日:2009年10月10日)

ハードボイルド好きの私も観終わったあと何とも不思議な感じの余韻を自分自身でも理解できずに数分間を過ごした。
正にアクションのないハードボイルド作品。
場面展開は、「スペイン語は話さない?」という合言葉で進んでいく。登場する人物は「コードネーム」で呼ばれている。そこには言葉にはできない『法則』があって、観るものにフラストレーションを蓄積させながら引きこんでいく。
評価の難しい作品だと思う。私は楽しかった。
タイトルの意味する「コントロールの限界」は、「言葉」のことなのだろうか?主人公は、セリフが少ない。よけいなこと言わない。『法則』を推理しながら、さらにフラストレーションが募る。不思議な作品だ。 »ガイドライン違反報告

投稿:ekan

評価:4
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NO LIMITS NO CONTROL (投稿日:2009年10月7日)

おお、ムービーウォーカーの評価が低い!と思ったら、いつの間にかグラフが無くなったのですね、残念。
構えて観に行ったんですが、それ程つまらなくはなくて拍子抜けでした。

冒頭、主人公が依頼人に「想像力とスキルを使え。」と言われるのですが、それはすぐに観客である私たちにも向けられた言葉であると分かります。
「どうしてこうなるの?」とか「あれは伏線じゃなかったの?」と考えていると取り残されてしまうようです。

様式美と言うか、繰り返しの言葉遊びや美術館その他グラフィカルなイメージの反復に飽きてしまうとかなり退屈かなと。

タブラオ(フラメンコを見せるレストランの様な物)でニヤニヤする主人公に共感したりも出来たのですが、何かもっと身近かな既視感があるなぁと思いながら観ていたのですが「いいちこ」のCMでした(商品名は出していいのでしょうか?)。
何となくいい風景を撮っている様で、実はしっかりと絵コンテ切ってるだろうな、と思わせる。この辺はジャームッシュと言うよりC・ドイルの手腕かも知れないです。

イザック・ド・バンコレのヘタクソな太極拳もどきは失笑ものでしたが、彼がストイックな殺し屋である事はよく分かりました。

「衝撃のラスト」とか「綿密に練られた計画」なんて物の映像化が好きな人にはお勧め出来ないかもしれませんね。
ミステリアスな物はミステリアスなままで、そんな感じの映画でした。 »ガイドライン違反報告

投稿:葡萄

評価:4
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?J.ジャームッシュ (投稿日:2009年10月6日)

謎だ。彼が何のために、何を得るために...一切質問に応じない。暗号だけでコマを進めるが如く、じりじりと時が進む。J.ジャームッシュってこんな感じの映画だったかなと物語が経過するにつれ、残念ながら飽きがきてしまった...スペインの独特な建物は魅力的だが、どうやら鑑賞後は観客にエスプレッソ2杯が必要だ。 »ガイドライン違反報告

投稿:seapoint

評価:1
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美しき不条理劇 (投稿日:2009年10月3日)

 これは、ジム・ジャームッシュの新作。スペインを舞台に描く、謎めいたサスペンス映画です。

 主人公、“孤独な男”は、殺し屋らしき男。彼は、空港のロビーで2人の依頼人と会う。
 「スペイン語を話せるか?」それが合言葉だった。そして「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ」という任務と共にマッチ箱を受け取った彼は、当面の指示、“バイオリン”を探す為にスペイン・マドリードへと向かう・・・

 この映画、ミステリーサスペンス、と言う事になるのでしょうけど、よくある娯楽性の高いその種の映画と思うと面食らうでしょう。
 これは、不条理劇なのです。
 犯罪絡みの不条理劇は、デビッド・リンチの映画にもありますが、強烈な歪んだ物語世界で観客を翻弄するデビッド・リンチと異なり、ジャームッシュは観客が意識しないうちに少しずつ物語をたわませて行きます。
 その自分の足下をすくわれるような何とも言えない浮遊感、美しい映像(撮影監督に「花様年華」のクリストファー・ドイルを起用しているとの事。納得)と、盛り上げる謎めいた音楽。
 これは、極めてアート色の強い映画で、ジャームッシュ作品としては例外的に豪華なキャストのせいで拡大公開されてはいるものの、本来は、単館系の映画館でひっそりと上映される類のもので、観客を選びそうな気がします。

 「日常」を繰り返し、ターゲットへと迫る“孤独な男”を通じ、観客は謎めいたメッセージを受け取ります。
 私たちにインスピレーションを与え、そして同時に縛り付ける、音楽や絵画や映画、そして科学の存在意義とは何か。
 私たちは何によって支配されているのか。
 そこから解き放たれる為の答えは?

 「限界はない。支配もされない(NO LIMITS NO CONTROL)」
 と言う最後のメッセージがストン、と落ちました。 »ガイドライン違反報告

投稿:はら

評価:4
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これは何を観せたいのか? (投稿日:2009年10月1日)

意味深に見えるシーンを繋いだだけ!

盛り上りも何も無し。ただ淡々と主人公が人と会いながら旅を続けるだけ。

面白くも何ともない。 »ガイドライン違反報告

投稿:じぇふりぃちゅうぶ

評価:1
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難しい・・ (投稿日:2009年10月1日)

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景色は美しいし、小道具も登場人物も絵になる。

ただ、ひたすら謎の目的の前に指令を待つ男を見守りながら、観客もまた謎を抱えて行く。

必要なのはイマジネーション。
それは観客にも言えること。

そうでないと、この映画を観るのは辛いでしょうね。 »ガイドライン違反報告

投稿:

評価:3
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めくるめく「構図」まつり (投稿日:2009年9月23日)

この評価の低さ(笑)。わからんでもないですが私はけっこう好きです。ジャームッシュにしてはメジャーなつくりではないでしょうか。

おそろしく映像が凝りまくってます。どんだけロケハン+カメラテストしたんだよっていう。美術館のサインから舗装の石の並びから螺旋階段の曲線からコーヒーカップの配置からなにから、いちいち一枚の絵画のようにばしっとキマってます。それがさすがジャームッシュなんで、なにげな振りしてやってるのが憎い。つい集中して見すぎて気持ち悪くなってしまいました。危険です。(追記:撮影がクリストファー・ドイル。なるほど)

ナイト・オン・ザ・プラネット、ゴーストドッグでは陰の主演男優賞モノだったイザック・ド・バンコレが相当すばらしいです。

ジャームッシュならデッドマンが何をおいてもイイという方は必見。そっち系です。 »ガイドライン違反報告

投稿:motorcycleboy

評価:4
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これは一種の放置プレー!? (投稿日:2009年9月20日)

最初から謎を与えられるだけで回答はくれへん!
一種のストレス溜まんまんなぁ~。

「スペイン語は話せるのか」から会話がスタートし、薀蓄のあるような謎の台詞を吐き、メモ入りのマッチ箱を渡して消える。
が、メモの内容は謎!中身を見せる前に喰うてまいよるんや。
挙句に最後はドラえもんもビックリの科学を超越した超常現象的技で最新セキュリティーを破るんやが、それも謎。

そんな謎以外は、淡々と主人公が無言で徘徊したり移動したりしよるだけや。
その無言中にスクリーンを見つめてるうちに睡魔が…。
今回は21時からの回と晩かったんで、この睡魔との闘いに…5分ほど負けてまいました。
が、この5分の内容の見当がつくんであんまし悔しくおまへん!それくらい単調。

このNO LIMIT NO CONTROLな展開に惹かれる人もおるやろうけど…、この謎!ストレスやぁ~。 »ガイドライン違反報告

投稿:koni

評価:2
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そう!ジャームッシュ映画はこんなにも自由だった!! (投稿日:2009年9月8日)

最近、新しい映画を以前よりも積極的に見るようになってから監督やらスタッフやらを余計強く意識するようになっていた。そして久しぶりのジャームッシュの新作と向かい合うことができて、これまた見る前はよく知りもしないのに、変に彼のことを意識していた。しかしそんな過剰意識を気に止めることもなく映画はミステリアスにスタートし、寡黙な殺し屋?は仕事先に向かってゆっくりと移動してゆく。ゆく先々で接触してくる色とりどりのスターがジャームッシュに馴染みのある方にはゴージャスだけれどそれだけじゃない。それぞれの間で交わされる会話が含蓄があるのかないのかわからない時もあるがとにかく自由で楽しい。前作「ブロークン・フラワーズ」だってピンクの便箋とか変なこだわりは入っているけれども、他はとにかく自由だったことを思い出した。最近何とか映画を理解してやろう。そんなことを考えすぎながら見ていたような気がする。自分を解放して映画に身を委ねる楽しさよ!狭い考え方にはいずれ限界が訪れる。だからもっと自由でいいんじゃねえか?そう言われたような気がするよ。映画を見すぎて逆に頭がコチコチになっている私のような方にこそオススメ。 »ガイドライン違反報告

投稿:tsubakihara

評価:5
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