夏時間の庭|MOVIE WALKER PRESS
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夏時間の庭

2009年5月16日公開,102分
PG-12
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パリ郊外の古めかしい邸宅を舞台にしたヒューマン・ドラマ。三世代にわたる家族の中で受け継がれていくさまざまな思いを、繊細な映像美で浮き彫りにしていく。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

画家だった大叔父が遺した貴重な美術コレクションがあふれる一軒家。その主である母を亡くしたフレデリックら3兄妹は、それぞれの事情を抱えながら、思い出ある家や美術品をどうすべきかを話し合うことに。

作品データ

原題
L'HEURE D'ETE
映倫区分
PG-12
製作年
2008年
製作国
フランス
配給
クレストインターナショナル
上映時間
102分

[c]2008 MK2 SA - France 3 Cinema [c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.4
  • たっかん

    4
    2015/11/14

    母の75歳の誕生日に、3人の子供(息子2人、娘1人)と孫たちが集まる。
    母は「自分が亡きあとは、家や財産は好きにして」と言い残すが、その家の調度品たるものや『オルセー美術館が欲しがっているの』と母親が言うだけあって、素晴らしい物ばかり。撮影には、実際の美術品を使ったようだ。(コローやルドンなどの絵画など)
    思い出を大切にするか、物を自分のためにいつまでも大切にするか、という価値観を突きつけられた気がする映画だった。

    母が「あなた、なかなか(フランスに)来ないわね」と言うと、娘(ジュリエット・ビノシュ)が「ニューヨークは遠いの」、母「こないだ、日本の雑誌を見たけど、よくわからなかったわ」→娘「あれは、TAKASHIMAYA向けに作ったの」なる会話があり、ジュリエット・ビノシュの口から『TAKASHIMAYA』なる言葉が出たのは少しビックリ(笑)…ただ、日本語字幕は「日本のデパート向け」と記載されているので、良く聞いていないと聞き逃す。

    娘アドリエンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は、『ポール・ボルティエ・コレクション』として、美術品などはオークションに出してしまえば…などと言い、上海に住んでいる次男も会社資金が必要なので売却に賛成。ただ一人、売却したくないという長男の希望は叶わず、家も美術品も売却方向になっていき……という物語進行になっていく。

    美しい風景の中で、お互いの気持ちを理解し合おうとする家族の素晴らしさを見せてくれたオリヴィエ・アサイヤス監督作品である。

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  • 晴耕雨読

    5
    2009/8/5

     TV東京系で放送されている「開運なんでも鑑定団」ファンでしたら必ず面白いと思う映画です。フランスの「オルセー美術館」の開館20周年記念作品として製作され、本物の美術品の数々が“小道具”として登場します。皆様も、時々考えたことはありませんか。突然、自分が死んでしまったら、自分の周りに溢れかえっているモノはどうなってしまうのだろう。(私の場合は書籍とDVD、ビデオですが…)親、兄弟、子供たちは処分に困るだろうし、元気なうちになんとかしなくては…何て心配しています。

     フランスはパリ郊外の邸宅で独り暮らしをしていた老母が死去。多くの美術品コレクションが三人兄妹に残される。遺産相続といっても、マイケル・ジャクソンのようなスキャンダルも、横溝正史の推理小説ような殺人事件も起きません。美術品の相続を通し、家庭の崩壊と再生が描かれるのです。どこか小津安二郎監督の作品を彷彿とさせる家族の物語です。独り暮らしの老母を子供が家族と訪ねる姿は、日本でもお馴染みの風景ですが、感動的なのは三人の子供たちが立ち去った後のシーンです。夏の夕暮れ時の薄暗くなった室内に座る老母エレーヌの姿は、印象派絵画のように美しく、人生の黄昏に漂う孤独感が浮き彫りにされて万感胸に迫ってきます。

     三人兄妹の、それぞれの思いとそれぞれの家庭の事情。美術館に寄贈することが決定しても、手放したくない作品があったり、家族が生活した歴史が一杯詰まった邸宅を売却するしか道がなくなり、兄と妹、弟の三人は対立してしまいます。ジュリエット・ビノシュやシャルル・ベルリングといった演技派俳優の本格的な演技が楽しめる上に、オルセー美術館の全面協力もあって、各地の美術館から貸し出された貴重な美術品が隠れた主役でもあります。

     それは、アールヌーヴォーの作家ルイ・マジョレルの机と飾り棚、ジャポニズムブームを牽引したフェリックス・ブラックモンの花器…etc。ルドンの装飾画とコローの絵画以外は、全てが本物。しかも、登場人物が生活する風景の中にさりげなく溶け込んでいるのが見事です。オルセー美術館の修復シーンでは、画家でもあるエドガー・ドガの彫刻「右足の踵を見る踊り子」まで登場するのですから、シアターがミュージアムになったと形容すればいいでしょう。

     誰にでも起こりうる、どんな家族にもありうるエピソードが描かれて、思わず納得しながら観ていました。非常に印象的だったのが、独り暮らしの老母の身の回りを助けていた家政婦のエピソードです。チョッとシニカルで、心温まるエピソードは気分爽快にしてくれました。

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  • 2006年から映画

    4
    2009/6/29


    親が亡くなった後、愛着のある生家&思い出の品々をどうするか・・。

    オルセー全面協力の下、本物の美術品の数々。それに美術館の内部の様子をチラッと見れたのも興味深かったです。

    生家に愛着が強い長男と思い入れが無いわけではないが自分の人生を優先する弟と妹。
    それぞれに家庭を持てば、またそれぞれに事情がある・・。

    決めるのは子供でも孫にもおばあちゃんとの思い出や愛着があるものですよね。

    美術品、特に生活用品の美術品は使ってこそ価値があるようにも思えますが、それでは一般の人が見る機会がなかなか無い・・。
    でもガラスケースに入った日用品は日用品の体をなさず、もう美術品になってしまう・・。
    日用品は使われてこそ・・でも美術品・・どっちがいいのかな~とふと考えてしまいました。

    三人の子供が立派に育って、残せる財産もあるのが素敵だなと思いました。

    自分が亡くなった後の事を冷静に考え準備できる姿勢は大事ですね。

     ・美術好きの方
     ・遺産相続に関心のある方
     ・自分の生まれ育った場所に愛着のある方
      にお勧めです。

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