君のためなら千回でも|MOVIE WALKER PRESS
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君のためなら千回でも

2008年2月9日公開,129分
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「ネバーランド」のマーク・フォースター監督が、新人作家のベストセラーを映画化。亡命して作家となったアフガン人青年が、少年時代のある罪と対峙する姿を感動的につづる。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

1970年代のアフガニスタン。裕福な家の少年アミールは、召使の子供ハッサンと兄弟のように育てられてきた。ある日、凧揚げトーナメントに参加した2人は、そこで思いがけない出来事に見舞われ、仲たがいしてしまう。

作品データ

原題
The Kite Runner
製作年
2007年
製作国
アメリカ
配給
角川映画=角川エンタテインメント
上映時間
129分

[c]2007 DreamWorks LLC and Kite Runner Holdings, LLC. All Rights Reserved. [c]キネマ旬報社

映画レビュー

4.4
  • tom

    4
    2009/7/18

    子供時代に犯した罪(裏切り)が、
    二人の友情を切り裂くほど
    取り返しがつかなくなり、
    そのまま大人になってしまった。
    後悔してもしきれない過ちは、
    アミールの心にいつまでも焼き付いていたはずです。
    ハッサンはアミールの気持ちをよく理解し、
    いろいろと尽くしてくれた本当の親友だったから
    そのハッサンのことを思うと、ものすごく辛く、
    可哀想でとても胸が痛みました。
    その償いをするには時間がかかりましたが、
    危険を犯しながらも行ったことで
    少しでも自分の心を贖罪することができ、
    ハッサンに対する謝罪の気持ち、
    そして感謝の気持ちを感じることが出来たでしょう。

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  • 上海十月

    4
    2009/2/23

    ドキュメント畑の監督らしくアフガニスタンの言葉で映画にしてます。かつてハリウッド映画でアメリカ以外の国々を描くとみんな英語をしゃべらさせられる。この不自然さにアメリカ人自身もようやく気が付き始めた。世界が狭くなった証拠でしょう。70年代のアフガニスタンを再現してます。主人公にとって、いい時代だったと思いながらも貧富の差と差別は、ひどそうだ。そしてソ連侵攻、タリバン政権下と翻弄されるアフガニスタン。甥を救い出すためにカブールへ。このあたりの音楽が安っぽい、話の叩き込みが足らない感じがして残念。多くのアフガニスタン人がタリバンに殺され、アメリカ人に殺されている中、子供一人助けた事で贖罪にならないとも思うが、この映画が世に出た意味は、深いと感じました。

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  • 砂たこ

    4
    2008/12/13

    アフガニスタンを舞台とした「友情」の物語。
    民族間格差、社会・国際情勢の変化、亡命…
    個人の力では抗らえない様々な激流が、単なる友情では括れない二人の少年の絆を翻弄する。
    ◆ ◆ ◆
    民族という属性によって、人間が厳然と区別される社会の中にあって、この垣根を取り払うことは容易なことではないに違いない。
    社会の潮流に反する態度は、往々にして個人に不利益をもたらすだろう。
    大人だけではない。子どもの世界にあっても共通する。いや、むしろ残酷な形で体現されるのだ。
    ◆ ◆ ◆
    この試練を打破するには、アミールの心は幼く弱かった。一方のハッサンが、社会的な立場を十分わきまえた上で、なおアミールに対して全幅の信頼を寄せているような、芯のしっかりした強い心の少年だったのとは、対照的に。
    社会的に耐えることを強いられた存在と、安穏と守られた存在の違いだろうか。
    しかし、アミールの弱さは、やがて二人の絆を断ち切る悲劇を招くことになる。
    ◆ ◆ ◆
    社会的強者なのに、自分に向けられた友情を守る勇気さえ奮えなかったアミール。
    観客は、彼の姿に憤ることだろう。彼が見せる卑怯な保身や態度に、嫌悪感すら覚えるかもしれない。
    亡命後アメリカの地で、ハッサンを忘れて暮らす姿にも、共感できない不快感が拭えないに違いない。
    ◆ ◆ ◆
    しかし、父の死後、一本の電話で届けられた真実が、彼を突き動かし…そこから贖罪の旅が始まる。
    少年時代に自ら手離した、かけがえのない絆を探し出すために。今度こそ、自分の弱さを克服するために。
    ◆ ◆ ◆
    アミールと同様、私たちはニュースでしか知ることの無かったアフガニスタンという国の、混乱と暴力に満ちた歴史の一端を垣間見る。
    破壊と闘いの傷跡が消えぬ町。かつて凧を揚げた青空には凧の影はなく、市場や路上にも子どもたちの笑い声はない。平和な時代は消え去った。
    同民族の住民ですら、指導者たちを恐れ、必要以上の関わり合いを避けている。命の危険が常に背中合わせの生活だ。
    暴力性ばかりが目に付く。特に、サッカー場でのシーンは、衝撃的で目を覆いたくなった(遠からず現実に連なるのであろう…)。
    その一方で、武器を手にする背景も伺える。外国からの侵攻を防ぎ、自国を守るために力が必要なのだ、と。アミールが、武力組織の幹部となったかつての知人に、亡命をなじられる場面がある。愛国心の暴走。
    しかし、かつての日本(人)もそうであった…。彼らの思想を非難することは、簡単だ。
    ◆ ◆ ◆
    文字通り命がけの旅の果てに、アミールが手にするのは、過去を補填する救いではなかった。取り戻せない現実…悲劇を知ることになる。
    しかし、この危険な潜入によって、ハッサンへ連なる新たな絆を掴み出すことに成功する。
    失われた文明の跡に、ひっそりと植えられた若芽のような存在。
    これがアミールに取っても、私たちに取っても希望の苗木となっていく。
    覆水は、決して盆には帰らない。
    元の状態には戻らなくても、溢れた水は地面に染み込み、小さな若芽を育むに違いないのだ。
    水を注ぎ…光を捧げ…アミールは、きっとこの芽を大樹に育てることだろう。
    ◆ ◆ ◆
    かつて、友情と信頼の証を結んだ"凧上げ"。
    時代も空も、凧を持つ相手も変わったが、アミールとハッサンの心を繋いでいくに違いない。
    「君のためなら千回でも」
    タイトルに込められた意味の重さを知った時、きっと胸を打たれることだろう。

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