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小津の秋の画像

名匠・小津安二郎監督が生前、脚本執筆に使っていたという山荘を舞台にした恋愛劇。深まりゆく秋の美しい自然を背景に、大人同士の秘められた恋や人生模様がつづられる。

3/5
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新聞記者の佐々木明子(沢口靖子)は、父の遺品を持って蓼科に来た。取材もあったが、実は探している人に会えるかもしれない、という予感があった。高原のホテルは秋の気配が立ち籠め、湖は色づいた木立を映していた。明子が吉岡園子(藤村志保)という老婦人を最初に見かけたのは、観光スポットにもなっている小さな庵、無藝荘だった。無藝荘の守女である園子に、ホテルの支配人(栗塚旭)が恭しく紅茶を注ぎ差し出していた。薄汚れた老婆に仕える紳士、それは奇妙な取り合わせだった。明子はそんな二人に興味を持つ。最初は固く心を閉ざしていた園子だったが、徐々に心を開いていった。「わたし、人殺しなの」嘘か本当か分からない園子の話に明子は引き込まれていく。園子の穏やかな顔のなかにも戦争の深い傷痕があった。また、明子には恋人の達也と少し距離を置いて、もう一度自分を見つめ直したいという気持ちもあった。付き合って5年、達也とも最近なにかしっくり来ない苛立ちを感じていた。結婚に踏み切れない自分の中のわだかまり…。園子のもうひとつの記憶、それは今の明子と同じような年頃のことだった。戦後の混乱の中、園子は家族のために働き続けた。結婚なんてする資格がないと考えていた。そんなとき蓼科に女神湖の開発設計の青年と園子は恋に落ちた。二人は愛を深めていったが、青年には妻子がいた。二人で外国に行こうと約束した日、青年は来なかった。園子は身篭っていた子供を堕ろし、一人旅に出た。明子は父の遺品である一冊の文庫本を園子に渡した。「あなたが父に贈ったものですね。あなたのおかげで母は狂い私の家庭は地獄のようになりました。父の心にはあなたしか映っていなかった」文庫本には愛の証である花が挟まれていた。「たとえこの身が灰になっても、わたしはあの人を愛しつづけます」園子は明子に言った。蓼科に初雪が降った。園子は一人雪を見ていた。淡い雪は積もることなく、蓼科の高原を滑るように転がり、溶けた。「園子さん、今日は温かいスープとサンドイッチを用意しました」振り向くとホテルの支配人が少し足を引きずりながら近付いてきた。「茂ちゃん、いつもありがとう」園子は女神のようにほほえむのだった。

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作品データ

製作年 2007年
製作国 日本
配給 野村企画
上映時間 92
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スタッフ

監督 野村恵一
プロデューサー 上田正直山田哲夫
脚本 井上大輔小笠原恭子野村恵一
脚本協力 中村努
撮影 林健作
音楽 若草恵
主題歌 関口由紀
美術 石原昭
編集 谷口登史夫
録音 山口勉
記録 竹田宏子
照明 山北一祝
監修 中島貞夫

キャスト

佐々木明子 沢口靖子
吉岡園子 藤村志保
四村茂 栗塚旭
セールスマン 浜田晃
河元達也 草野康太
ホテル従業員 矢崎大貴
ホテル客 中島佳継
ホテル客 山内明日
考古学館館長 藤沢薫
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