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投稿レビュー(18件)ボビーは星4つ

「グランド・ホテル」形式 (投稿日:2009年5月23日)

 ホテルを舞台に人間群像劇を描くやり方は映画の台詞にも登場する「グランド・ホテル」の形式です。この形式が生きる瞬間がR・F・Kの暗殺事件が発生したときです。アンバサダーホテルで交錯していた十人十色の人間模様が衝撃を受け止め無力感に落ち込んでいくラストシーンにR・F・Kの演説が流れるのです。マフィア撲滅運動を推進したり、公民権運動の反対派と激しく対立したリベラル理想主義者としての美しいスピーチと産業廃棄物や二酸化炭素排出問題に暴力終結をいち早く提唱した先見の明が感じられる内容が感動を盛り上げます。しかし、映画に政治の匂いはなく、1968年をやるせない思いで振り返っただけの演出が物足りなさを感じます。

 「グランド・ホテル」形式は、邦画「THE・有頂天ホテル」でもオールスターキャストで撮られていますが、本作品もハリウッド映画主役級の俳優が大挙して出演しているので、その顔ぶれだけを眺めるだけでも観賞価値があります。往年の美女だったシャロン・ストーンとデミ・ムーアが“女の賞味期間はアイスクリームのように僅かの時間に限られる”と交わす台詞に、彼女たちのハリウッド女優としての存在価値を語らせているようで、私自身にとってはこちらの方が感傷的気分にさせられたのです。

 社会主義国であるチェコスロバキアから派遣されている女性記者を主要登場人物に起用していることも本作品に厚みを与えています。当時のチェコスロバキアはアレクサンダー・ドプチェクが共産党第一書記に就任して、国内の自由化と民主化運動を推進していたので、国内外からは、プラハの春と敬称されて賞賛されていたのです。映画では女性記者に“ドプチェクはチェコのR・F・Kよ”と語らせて、チェコスロバキアの自由化運動に希望を託す人々の思いを代弁させるのです。また、フランスではソルボンヌ大学を中心にして五月革命が勃発した時代でもあります。

 映画はドキュメントフィルムを挿入してR・F・Kと周りの人々を画面に展開しますが、言葉や音の代わりにサイモン&ガードファンクルの“サウンド・オブ・サイレンス”が優しく流れます。“一人の人間がその信念の上にしっかりと立ち留まるならば、無限の世界がその人の周りに集まってくるだろう”。ラルフ・W・エマソンの言葉を好んで引用したR・F・Kのスピーチです。ローレンス・フィッシュバーン扮するコックにアーサー王を語らせる台詞“優しく、寛大で、謙虚で、冒険を怖れない人こそが王だ”の文字はR・F・Kの襲撃現場に書かれますが、この王の条件こそがR・K・Fを形容していると思います。襲撃犯人はパレスチナ人のサーハンとされていますが、アメリカ合衆国はR・F・Kを謀殺したときに、国家の希望も圧殺してしまったのです。

 R・F・Kは6月6日にグッドサマリタン病院で亡くなりました。享年42歳。その後、チェコスロバキアの自由化運動を圧殺するために、ソ連・東欧五カ国がチェコスロバキアに侵攻します。フランスは世界で五番目の核保有国となりました。R・F・Kが遺した言葉“暴力は国家の品位を貶める”は、理想は現実を前にすると圧殺されてしまうことを痛感させられました。
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投稿:晴耕雨読

評価:3
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世界を変えるのは… (投稿日:2007年12月14日)

作品の構成は、有頂天ホテルのようなグランド・ホテル形式である。その中に、ロバート・ケネディの実際の映像や人種差別のようなシリアスな問題が加わっている。
ホテルの中には、様々な人間がいて、それぞれ問題や想いを抱いている。それは、心の内なる葛藤であったり、外面に現れることで生じるすれ違いであったり、若さ故の過ちや年老いて感じる寂しさだったり…。私たちはまさに人生というものを垣間見ることが出来る。
ラストに向かって、そのバラバラな悩みを抱えてた人々の気持ちは皆、ロバート・ケネディに集まる。
人々は皆、彼に希望を見ていた。

ラストは言うまでもないだろう。

この作品は、ラストにかけて非常に上手くまとめられていて、作り手の作品に対する熱い想いが伝わってくる作品だ。
政治的な考え方は、人によって異なるのは当たり前。だから、ロバート・ケネディが目指したものには触れない。
私が、この作品を観て感じてほしいことは、
「今、国を変えようとして動く人はいるか?」
「今、自分の信念を叫ぶものはいるか?」
ということだ。
世界に広がっている様々な社会問題を解決するのは、政策でも規制でもない。1人1人が問題を解決しようという意思を持つことが鍵なのだ。私は、それを多くの人がこの映画から感じ取って欲しいと願う。 »ガイドライン違反報告

投稿:きっちゃん

評価:4
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歴史にもしもは許されないが (投稿日:2007年4月6日)

前から気になっていてやっと観に行当時(1968年)にベトナム戦争、人種問題、麻薬、貧富の差などなど数々の大きな問題を抱えていたアメリカで現在の私より若い年齢のBOBBYがアメリカを背負って立とうと大統領選挙に打って出た。映画の舞台はロスアンジェルスのアンバサダーホテル。中間選挙の投票結果が出る日を追っている。

当時の映像(本人、及びスピーチ)と映画用に撮影された映像が上手く合わさって出来ている。キャストもHPをごらんいただくとして、大物俳優がぞくぞくと出てくる。登場人物が多いので最初はちょっとややこしいですが最後の場面には全員登場するので再確認できます。皆好演なのですが、ホテルの厨房で働く移民のホセ役のFreddy Rodoriguezが良い役だったかなぁ。

BOBBY本人のスピーチが流れるが最後の方は私も涙を流した。心打たれました。歴史に「もしも」というのは許されないがこの人が大統領になっていたら今とは違った世の中になっていたと思う。

もっとも歴史に疎い私、帰りに本屋さんでこの映画の本を買い勉強しなおそうと思った次第です。
歴史といっても私が生まれてからなのでまだ追いつける。 »ガイドライン違反報告

投稿:こぶこぶ

評価:4
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生きてたら・・・。 (投稿日:2007年3月25日)

豪華なキャストにひかれて観たけど・・。
彼らがそれぞれ普通に淡々と素晴らしくて
大統領選で盛り上がる中、突然起こる悲劇を際立たせる。
日常の中のちょっと特別な日に、突然起きる非日常。

これまでRFKのことはJFKの弟くらいの認識でしかなかったけど、
こんな素晴らしいことを言う人がいたんだと亡くなってしまったことがとても残念。

もちろん映画ではいいところばかりだろうから、実際詳しくはわからないけど
この人が生きて大統領になってたら、
今のアメリカは、世界は、ちょっと変わってたんじゃないだろうか。 »ガイドライン違反報告

投稿:fooh

評価:5
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希望が悲劇に変わる瞬間 (投稿日:2007年3月24日)

人々の期待や夢、希望を一身に受けていたボビー。
あんなにも彼を信じた人々がいたのに、夢の実現まであともう一歩だったのに…。
結末が悔しくてたまりませんでした。

最初はたまたまホテルに居合せた人それぞれの群像劇で、有名どころのキャスト陣がたくさん登場し、たわいもない日常の会話だったり、これから起こるであろう悲劇を、まったく予想させない。

そんな人々が未来への希望をボビーに託そうと皆が一つになり盛り上がろうとした矢先の事件。
巻き込まれてしまった人々。

実際の映像を交えての一連の描写、
とくにラストは息を飲んで見入ってしまいました。

予想以上に心にグッとくる作品でした。

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投稿:ピノコ

評価:5
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人々の生き方 (投稿日:2007年3月15日)

大統領選挙を背景に様々な人間が不平不満を持ちながらも生きていく人間ドラマ。
出てくる人々に共感し、生き方を学べれば、1800円は安い買い物です!
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投稿:かぜ

評価:4
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凶弾に倒れるアメリカの希望 (投稿日:2007年3月15日)

ロバート・ケネデイの暗殺の場に居合わせた普通の人々の姿から、アメリカの未来、いや現代社会の行く末を見つめなおそうとした作品。ロバート・ケネデイはもちろんJFKの弟。兄の暗殺のあと、民主党のホープとして1968年の大統領選挙を先頭でつっぱしっていたが、選挙戦の最中に兄と同じように凶弾に倒れた。しかしこの映画は、ロバート・ケネデイの伝記やその暗殺事件の謎解きものではない。ロバート・ケネデイの姿は、記録映画と演説でなまなましく映し出されるが、映画の主人公は、ロバートが訪れるホテルのキッチンで働く人々、ホテルの支配人とその妻、株のブローカー、キャンペーンを手伝いながらLSDに酔う若者、ベトナムにおくられないように偽装結婚するカップル、歌手そして引退したドアマンーつまり私たちごく普通の庶民である。彼らは人種差別や麻薬や不倫、ベトナムといった問題を抱えてそれぞれもがきつつ、暴力と分裂に苦しむアメリカ社会を変える一縷の希望を、ロバートに託していた。しかし暴力でなく同胞愛を、と説くロバートの演説が、熱気のこもった拍手で迎えられた直後、暗殺者の無慈悲な銃弾でロバートは殺され、キッチンは血の海と化す。オムニバス映画の手法をとりながら、ロバートの暗殺が、アメリカ社会の希望をへしおった衝撃を、映画は見事に表現している。暗殺者の銃弾が、ロバートだけではなく、集まった人たちの身体を引き裂き、そして未来への夢を血に染めてしまう。あてどもなくイラク戦争を拡大しようとしているかにみえる現在のブッシュ政権のありようを、ベトナム戦争時の暗いアメリカに重ねているかもしれない。ホプキンスが製作にかかわり、デミ・ムーア、シャロン・ストーンから、スレーター、リンゼイ・ローハン、チャーリーシーンまでが総結集しているのも、そういう強烈なメッセージ性のゆえであろう。なかなか見ごたえのある第一級の硬派の作品。 »ガイドライン違反報告

投稿:シネマフリーク

評価:4
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ロバート・ケネディとは・・・? (投稿日:2007年3月10日)

お兄さんのJFKより、チョッとばかり知名度が落ちますけど、アメリカじゃ「ケネディが暗殺された時、何処に居た?」「どっちのケネディ?」と聞き返されるくらい有名なお方です。
その有名なロバート・ケネディの記録フィルムと暗殺されたアンバサダー・ホテルに集う人々の10数時間を描いたドラマです。とても興味深かったですね。ロバート自身を描かずに周辺の人々のドラマから社会の流れや世相を描き出してゆく手法です。しかも、出演者が筋金入りのリベラル派民主党の旗手とでも言うような兵がチラホラです。特に、監督でもあるエミリオ・エステベスと父親で名優のマーチン・シーンが出演してますし、エミリオの元婚約者だったデミ・ムーアが今の夫を連れてご出演です。ブラッド・パックと言われた世代で監督業にまい進していたエミリオ渾身の作品でしょう。かなり硬派です。
特に気に入った台詞があります。シェフのローレンス・フィッシュバーンが人種問題について語りかける時の台詞「彼らは人種差別をしたくてしているのじゃない、考え方を変えられないだけだ。白人が人種差別批判をして、それが無くなってくれるのならそれでいい。彼らに自分たちのお陰で人種差別が無くなったといい気分にさせておけばいい。」ってな事を言うんですね。さすが知性派って感じ!ホテルの厨房は人種の坩堝。そして人権運動の先頭を走っていたアフリカ系アメリカ人が他の有色人種よりも白人に次いで優遇されていた事を匂わせます。そして、理想主義者の白人支配人は誠実な性格とは裏腹に不倫をしていたり、ベトナム戦争への徴兵逃れの為に偽装結婚しようとするカップルがいたり、あれやこれやの問題を抱えた人々が時の人ロバート・ケネディに希望を見出して集まるのがアンバサダー・ホテルなんです。とんでもないカリスマ!
彼を心底愛していたんだろうなぁ・・・。
エンド・ロールでのケネディ一家の写真がチョッと悲しかったです。 »ガイドライン違反報告

投稿:たまちゃん

評価:3
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美しい演説 (投稿日:2007年3月5日)

あの事件から数年後の個人的な体験。グレイハウンドバスでアメリカ西海岸をカナダから南下した。天使の町ロスはハワイのような南国の蒸し暑い町だった。そしてくだんのアンバサダーホテルに偶然泊まった。勿論、何も起こらなかった。
さて映画。あの時代の空気をしっかり切り取り、ある一点に集約していく脚本はお見事。いつでもどこにでも、時代に翻弄されては悩み苦しむ人がいる。その中では、調理場で働くドジャースファンの青年のエピソードが秀逸。その日その日の生活は苦しくて精一杯、でも夢中になれる何かがあった。宝物のチケットを手放す替わりに希望を持つという生き方を知る。
また、戦争や人種差別他の鬱屈した社会は、かすかな希望をボビーに託した。
事件はそんな人々の期待と夢を一気にうち砕く。
高いこころざしと優しさに満ちあふれるボビーの演説は、本当に美しい。理想の政治だ。実現できたらなお、素晴らしかっただろう。
しかし現実は、まるで対照的な大統領が連綿と続く。あの不正選挙で、大統領になりそこねた「不都合な真実」の彼ならばどうなっていただろうか。ずっとまともな世界になっていたのだろうか。米国通に言わせれば、彼もまた暗殺されていたのではないか、と。
歴史に学ばないからこそ、繰り返す歴史。
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投稿:高洋

評価:4
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ボビーって題名ですが.. (投稿日:2007年3月3日)

1960年代のアメリカを描いた映画でした。
切り取った場面が1968年6月のアンバサダーホテル
そこに集う人々。
それぞれの日常。
大統領『ボビー』誕生に寄せる期待...。

今も昔もアメリカの抱える問題はあまり変わっていないようで...

ビックネームが揃ってますが、名前にたがわぬ名演技で
それぞれのキャラクターに真実味を出しています。
特にキッチンのスタッフ達&シャロン・ストーンがいい!!
あのシャロンが年増女の役をああも見事に演じているのに吃驚デシタ(^^;)


題名から..
「弟については殺された事しか知らないなぁ。
 どんな人だったんだろう?
 やっぱりJFK暗殺と同じ犯行グループに殺されたのかなぁ???」
と、楽しみにしていましたが・・・

そういったことは何一つ描かれていませんでした..残念>_<。

犯人がどういう人だったのかもあったらもっと良かったのに。。。


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投稿:★ハイジ★

評価:3
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