石井苗子
益田悦子
「空の穴」の熊切和嘉監督が、熟女のエロスを捉えた官能作。ベテラン、石井苗子を主演に迎え、若い強盗犯によろめく未亡人の“性”と、危うい恋のてん末を追う。
※結末の記載を含むものもあります。
ひっそりと暮らす未亡人・悦子のもとに、不審な男が現れた。男は悦子から現金を奪い逃走するが、銀行強盗に失敗し再び悦子のもとへ。なりゆきで彼と暮らすうちに、悦子に奇妙な感情が芽生えていく。
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何と言っても、この映画は、石井苗子の存在自体のみでもっている
作品である。
その不感症で、砂をかむような、「おばさん」ぶりから、
枯れ果てた筈の性が再び燃え上がっていくさまを、赤裸々に堂々と
演じきっている点が、この映画の凄さである。
二回目の観賞できがついた点は、
・冒頭の無表情でぎすぎすしたおばさんぶりから、下着姿で放置される
事によりおばさんの姿に女性の性を隠し持っていた事への衝撃
(ギャップ)が印象的である。
酒を探す所で、キャミソールから見えるお尻がとてもセクシー
・そんな下着姿なのに、無表情での人質ぶりが、無感動なおばさんと
肉体での女性の存在ぶりの対比の見事さがある。
本人の意識と見た目のギャップ差が印象的
・じょじょに、若い男へ傾斜を無表情のままで変化させていく、
石井の凄さ。
・愛欲への傾斜への崩壊を示すシーンである病人での粗相を知られての
幼児の様に仮面を脱ぎ棄てる様が強烈である。
(可愛らしい女に変化する)
この映画の石井苗子は、他の映画に比べて別格の存在感を示しています。