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「カタルシス」の坂口香津美監督による人間ドラマ。思春期や家族を題材にした多くのテレビドキュメンタリーを手掛けてきた彼が、引きこもり青年の深い心の闇を映しだす。

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運河と化学工場のある街で、19歳の青年・透(中村佑介)は、マッサージの仕事をする母親(さわ雅子)と一軒家でふたり暮らししている。少年の頃、森の渓谷で起きた崖からの転落事故によって最愛の妹・小夜子(大塩晴香)を失った透は、青年となった現在でも、妹を助けられなかった呵責に苦しむ。そんな心の傷を抱えた透のナイーヴで繊細な心を、母は理解できない。母もまた愛する娘を喪失し、夫と離婚し、残された唯一の家族である息子との断絶に苦しんでいた。夕方、二人分の食事を作り、透の分をラップして居間のテーブルに置いて、母は仕事に行く。夜のマッサージの仕事は重労働で、過酷なものだった。母の無言の圧力に押しつぶされるように透は自分の部屋に「鍵」をかけ、昼夜逆転の孤独な「ひきこもり」生活を続けていた。母を含め、他者との接触を一切絶ち切り、母の作った食事を自分の部屋でとる。社会から認知されていない自分自身へのいらだち、将来への不安や葛藤…、孤独な日々からの逃げ場は唯一、亡き妹との幸福な記憶だけだった。他者からの侵入を拒み、いつ果てるとも知れない終わりのない日常。希望のない生活への閉塞感を、透は「翼の記録」と題したノートに書きつづる。「答」の出ない問いかけを延々と記録し、自分だけの世界に透は突入していく。ある冬の夜、透は無人の運河の船の中で倒れていた少女(前沢美沙)を見つけ、家に運ぶ。少女もまた、家庭や学校に自分の居場所を見つけられず、「性」を売ることでかろうじて生きる実感を得ていた。少女の持つ深い傷を、透は知ってしまう。透と少女、ふたつの孤独な魂が、真冬の運河で交錯する。

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作品データ

製作年 2000年
製作国 日本
配給 アルゴ・ピクチャーズ
上映時間 146
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スタッフ

監督 坂口香津美
プロデューサー 落合篤子
脚本 坂口香津美
撮影 長谷川貴士
音楽 中村佑介山下博文
美術 清水大輝
編集 坂口香津美舞草剛
録音 野口昌利
音響効果 山下博文

キャスト

中村佑介
母・昌子 さわ雅子
少女・緑 前沢美沙
昌子の弟・健 弦間和男
小夜子 大塩晴香
昌子のマッサージの仕事仲間 梅原愛
昌子のマッサージの仕事仲間 新井美沙子
昌子のマッサージの仕事仲間 杉山春江
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