ローサのぬくもり|MOVIE WALKER PRESS
MENU

ローサのぬくもり

2001年3月17日公開,98分
  • 上映館を探す

世界各国の映画祭でも高い評価を得た、スペイン発の珠玉の愛の物語。田舎から上京した平凡な老女が、都会で暮らす孤独な娘と隣人に、やさしさとぬくもりを運ぶ感動作。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

暴君の父に反発し都会へ出たマリアのアパートに、入院した父の介護のため母ローサがやってくる。娘の留守に部屋を掃除し料理を作り病院へ通うローサ。ある日、犬と暮らす階下の老人と出会い友情を育んでいく。

作品データ

原題
Solas
製作年
1999年
製作国
スペイン
配給
ザジフィルムズ
上映時間
98分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

4.0
  • すすむA

    4
    2016/5/4

    2016年5月にDVDで鑑賞した。

    名作『蝶の舌』と本作。両方とも1999年作と知ってまたびっくり。滅多にお目にかかれないスペイン映画でこんな良質の作品に出会えたのは、知るのが「遅すぎた」としても嬉しい。

    狷介固陋で暴力的な父親に育てられたマリア、逃げ出して都会にやってきたが、ホームレスがうろついているこの市では、掃除夫になるしか職はない。39歳になって、恋人からは「お前とは身体だけの関係」とうそぶかれ、希望もなく、酒に溺れる毎日。荒れる彼女を見ていて、哀れさも募るが苛々も募る。

    その父親が病に倒れ同じ市の病院に入院し、田舎からやってきた母親ローサと看護する羽目となる。

    長年夫からの暴力に耐えてきた母ローサ。寡黙で夫からは馬鹿呼ばわりされているが、彼女の存在感が素晴らしい。おっとりした動作で会う人を皆優しくさせてしまう性格の持ち主である。やたら突っかかる娘を穏やかに見つつ、少しずつ昔の母娘関係を回復してゆく。

    遅れたカソリック国スペインを思わせる、つまらない男たちばかりのなかに、もうひとりの男が登場し、筋の運びが変わってくる。このアパートの階下に住む、妻子を亡くし今は愛犬と暮らす老人が母と親しくなる。老いたローサの「初恋」を感じさせるシーン。しかし母は退院する夫と共に田舎に帰って行く。

    泥酔して担ぎ込まれたマリアの面倒を看る老人。マリアが妊娠していることを聞かされる。初めは中絶に反対するが、産んでも育てられないと拒否すると、老人は病院に付き添って行くと言う。マリアは突然「中絶に反対して」と泣き出す。この逆転が見事だった。マリアは産みたいのである。

    老人は、「孫が欲しい。暮らしてゆける程の資産はある。養子縁組をして娘と孫にする。」という。場面が変わり、子供が生まれ、三人がマリアの父母の墓に詣でるところで映画は終わる。

    最後は少し甘い。「老人は金持ち」という、ステレオタイプでファンタスティックな解釈も気になるところだが、理不尽に女がさげすまれる前半部を観てきた者に、この大詰めの開放感は爽やかだ。

    続きを読む + 閉じる -
    ネタバレあり
    違反報告