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投稿レビュー(1件)集団左遷は星3つ

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ジャパニーズドリームを信じて頑張る (投稿日:2009年5月22日)

 バブル期に不良債権化した不動産の後始末として、大量のリストラが実行されましたが、これは2008年の現代にもあてはまる状況でもあります。2008年バブルの現代でもマンションブームにより財閥系の大手不動産会社は千代田区・港区・中央区・新宿区・渋谷区の億ションを次々と完売していますが、中堅不動産会社以下の各社は東京多摩地区や埼玉県・千葉県・神奈川県の立地条件の悪い場所で苦戦しながらマンションを販売しています。

 映画は東映には珍しい経済を舞台にした傑作に仕上がっています。そもそも不動産は価格が安い時期に仕入れてその上に建設費が乗るのですが、購入者たちの年収の5倍までが限界といわれています。ウサギ小屋の一戸建ての安普請も購入出来る価格から逆算していますので、不動産価格+会社の利益を計算すれば自ずから建築費にかけられる金額は決まってしまうのです。そんな構造的な欠陥をもったマンションを人生の大半をかけた住宅ローンを組んで必死に働く人々。しかし、ローンが完済される30年をメドにマンションは老朽化によって住めなくなってしまうのです。
 
 江東区埋立地をみれば分かるように、不動産は掘削工事によって発生した残土を湾岸地区に埋め立てることによって新規に生み出すことが出来ますし、用途地区の変更や市街化調整区域をはずすこと等によって、新たなビジネスチャンスとなるのです。不動産も株価や商品先物取引相場、FXと同じように価格は上下しているのですから、2010年には地価は再び暴落するでしょうね。誰が高値で掴むかのババ抜きゲームのような世界です。

 考えてみれば、人口減少化の小さな島国で、不動産という内需に頼っている企業は、銀行・不動産開発会社・不動産販売会社・建設会社・広告宣伝会社・雑誌社・不動産鑑定士・土地家屋調査士・測量士・司法書士といった法人や個人です。そして彼らをささえているのは30年ローンを組んでひたすら返済する個人消費者となります。

 不動産会社の生殺与奪の権限を持っているのは銀行であり、不動産会社の経営者たちは津川雅彦演じる副社長のように非情にもなりえるのでしょう。資本主義社会での企業戦士たちのストレスは池井戸潤の小説「銀行仕置人」を読めば銀行マンたちの生活も凄絶なものであることが分かります。しかし銀行も高杉良の小説「金融腐食列島」にあるように闇の世界から侵食されているのです。企業内のサバイバル戦争で勝ち残った津川演じる副社長も自分の取り巻き連中などは歯牙にもかけていないでしょう。日々のストレスを解消するために女性秘書を愛人にするのも企業では当たり前のことになっています。

 そんな津川副社長にとって仕事の上で怖い存在は中村敦夫演じる特販部・本部長であり、柴田恭平演じる第三特販部長であった筈です。そして、かつての愛人が正々堂々としたビジネスを展開する両者に心を惹かれてしまうことが絶対に許せないことだった筈です。ラストシーンは柴田恭平の新しい出発点となる小さな不動産会社を上空から撮影して、遥か遠くにある新宿超高層ビル群を俯瞰します。遠い道のりではありますが、ジャパニーズドリームを信じて頑張りたくなる力強いラストシーンでした。
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投稿:晴耕雨読

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