赤線地帯|MOVIE WALKER PRESS
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赤線地帯

1956年3月18日公開,85分
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「新・平家物語 義仲をめぐる三人の女」の共同脚色者の一人、成澤昌茂の脚本を、「新・平家物語」の溝口健二が監督、「俺は藤吉郎」の宮川一夫が撮影を担当した。主なる出演者は「虹いくたび」の若尾文子、京マチ子、川上康子、「母ふたり」の三益愛子、「幸福はあの星の下に」の木暮実千代、「大当り男一代」の進藤英太郎、「東京犯罪地図」の菅原謙二、「剣豪二刀流」の加東大介など。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

特飲店「夢の里」には一人息子修一のために働くゆめ子、汚職で入獄した父の保釈金のために身を落したやすみ、失業の夫をもつ通い娼婦のハナエ、元黒人兵のオンリーだったミッキーなどがいた。国会には売春禁止法案が上提されていた。「夢の里」の主人田谷は、法案が通れば娼婦は監獄へ入れられるといって彼女等を失望させた。新聞を読んで前借が無効になったと考えたより江は世帯道具を持ってなじみ客の下駄屋の許へ飛び出したが、結局自堕落な生活にまた舞い戻ってくるのであった。ゆめ子は息子修一に会うために田舎へ行ったが、修一は親子の縁をきって東京に来ていた。ある雨の降る日、しず子という下働きの少女が「夢の里」に入って来た。ミッキーのおごりで無心に天丼をたべるしず子の瞳をみつめていたゆめ子が突然、修一の名を呼びながら発狂した。その夜、やすみにだまされたと知った炭屋の青木がやすみの首をしめた。やすみは死に損なったが、青木は宮崎巡査に連行された。ゆめ子が病院に送られる頃、ラジオは法案の四度目の流産を報じていた。そして今日も「夢の里」には、何ごともなかったように、ネオンの下で客呼びの声が聞える。やすみの姿が見えないのは、彼女のなじみ客だった貸ぶとん屋ニコニコ堂主人の塩見が夜逃げしたあと、そこを買いとって女主人になってしまったからである。そしてやすみに代って、下働きだったしず子が、威勢よく客呼びするミッキーの蔭で初店の盛装をこらして、しょんぼり立っていた。

作品データ

製作年
1956年
製作国
日本
配給
大映
上映時間
85分

[c]キネマ旬報社

映画レビュー

3.2
  • Movie Walkerユーザー

    3
    2018/8/30

    売春防止法が制定される前の吉原「夢の里」で働く娼婦達の群像劇。稼がなければいけないのはわかるが必ずしも全員が常に逃げられない状況ではなかったように思う。付いた垢はなかなか取れないという台詞があったがまさにそうで、生き方の癖のようになってしまってからでは遅いんだろうと。自分を強く持っていれば終わりは選べたんじゃないかなあ。ただそもそも売春=悪いとも言い切れないとも思う。働いている本人達にその意識があれば悪いのかもしれないが言うなれば必要悪で、意思で選んでいるならばそれも一つの生き方としか思わない。

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  • 映画さらんはだ

    3
    2014/2/4

    永井荷風の「断腸亭日乗」を読んで妙に懐かしく思うのは昔の東京の風景が彷彿としてくることだが、この作品も吉原が舞台で、そのころの街の雰囲気が描写されていて、おのずからその時代の匂いを刻印させてくれる。「赤線地帯」という題目だが、貧困にしても男女のなかにしても、溝口監督の手にかかると、全体、上品に仕上がってしまうな。いや、そうそうそうたる女優陣の顔ぶれが華やかなためか。今となってはその時代を回顧するのに格好の作品だ。そして、このようなにおいに満ちた作品がもう作られなくなったなというのも、この映画をみて感じることだ。やはり団塊の世代どまりのわれらが時代を顧みるための映画かな。

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  • たっかん

    3
    2013/1/26

    本作は、溝口監督作品、出演:京マチ子、若尾文子、小暮実千代、三益愛子などとくれば、「大映のオールスターキャスト映画だな」と思って、本作を観た。

    売春禁止法が国会で可決される以前の物語であるが、吉原のおかみ(=あの沢村貞子)が「吉原は300年も続いているんだ。世の中に必要だから続いているんだ」との発言、そして、それに続いて「客からお金の貰う方が上手い若尾文子」が描かれる。本当に上手い!

    途中、小暮実千代が「子供のミルクも買えないのに、何が文化国家なのよ!」という売春宿の者たちの目線で描いた映画である。
    若尾文子も、売春宿に来たのは、小菅(刑務所)に入った父親の保釈金が必要だったから、と、登場人物それぞれの俗生活を描いているのが良かった。
    三益愛子は、息子に縁切りされて気が狂って(精神病院へ)救急車で運ばれるという場面があり、このあたりは昭和40年代に永井豪の漫画(「ヤダモン」など)で良く描かれた風景であるが、今はない。
    京マチ子も、赤線に父親が神戸から迎えに来るなど、家庭事情が見られた。

    赤線で働く女たちを丹念に描いた作品である。

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