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日本経済新聞に三年間連載された子母沢寛の「勝海舟」より「腕くらべ千両役者」の八住利雄が脚色し、「闘魂」の大曾根辰夫が監督に当る時代劇で、先頃急逝した阪東妻三郎(丹下左膳)最後の出演映画である。撮影は「獅子の座」の石本秀雄、音楽は「天馬往来」の鈴木静一。キャストは阪妻のほか、「唄祭り八百八町」の北上弥太朗、堺駿二、山路義人、「雲ながるる果てに」の山田五十鈴、「次郎吉娘」の紙京子、「残侠の港」の徳大寺伸など。

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十二代将軍家慶の頃。四十石の旗本勝小吉は剣に秀れ覇気もある男だったが、太平の世の中では彼の評価も薄く、放蕩無頼の生活で鬱憤を晴らして居たのがたたって三十五歳の若さで隠居を命ぜられた。が、苦しい中にも一子麟太郎だけは江戸随一の剣客島田虎之助の門で修業させて居た。或夜麟太郎から新しい学問、蘭学を勉強したい旨を聞いた小吉は「お前のお袋に楽しい日を送らせてやってくれ」としみじみ云い、女房のお信を泣かせた。一夜明けると昨夜の事はけろりと忘れ、相変らず暴れ廻る小吉はごろつき侍であっても、悪侍小林隼太を懲し、妙見の禰宜や隣家の岡野家を救うという侠気に、江戸庶民の人気は素晴らしかった。その間、麟太郎は虎之助から免許皆伝を得、蘭学を永井青崖から教えられたが、やはり当時の時勢に入れられなかった。その麟太郎がひょんな事から恋をした。相手は炭屋の娘、辰巳芸者の君江で、彼女が深川の鳶の者にからまれているのを救った事がキッカケだったが、めったにしたことのない麟太郎の喧嘩も小吉とは又違った立派なものだった。以来、君江と麟太郎は時たまの逢瀬を楽しんでいた。小吉は烈火の如く怒ったが、美しくやさしく而もシャンとした彼女の人物に惚れてしまった。こうして結ばれた二人の間に愛の結晶が生れる日、かつての恨みを晴らすべく乗りこんで来た鳶人足達を迎え討った小吉は血まみれで這って帰り、「おいらをとうとうお祖父ちゃんにしやがって」と喜んだ。日本人として始めて軍艦を操縦、米国に渡った勝海舟は麟太郎の後年の姿である。

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作品データ

製作年 1953年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 98
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スタッフ

キャスト

勝小吉 阪東妻三郎
妻お信 山田五十鈴
子息麟太郎 北上弥太朗
島田虎之助 月形龍之介
永井青崖 徳大寺伸
都甲市郎左衛門 有島一郎
小林隼人 山路義人
岡野江雪 富本民平
岡野孫一郎 永田光男
岡野の奥様 高山裕子
中村多仲 田中謙三
君江 紙京子
常盤津文字二三 市川春代
妙見の禰宜長谷川 堺駿二
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