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投稿レビュー(1件)仁義なき戦い 広島死闘篇は星4つ

国家のために犠牲になった特攻隊員たちの無常さ (投稿日:2009年5月23日)

 第二部「広島死闘篇」はシリーズの本流から外れて、主人公の菅原文太が狂言回しの役に徹しているところが面白い。第二部の主役は北大路欣也扮する山中と千葉真一が演じている大友という野獣のような男2人です。千葉真一が演じた大友勝利役は、シリーズ第五部「完結篇」では何故か宍戸錠に変わってしまいますが、アナーキーなキャラクターは破天荒な突破者として物語に強烈なイメージを焼きつけました。大友連合会は神農会系のテキヤ一家なので、博徒とは一線を画する筈なのですが、向こう見ずの暴れん坊だった勝利は、本来はテキヤ系やくざの金城湯地だった戦後の闇市を仕切り始めた博徒系やくざに一戦を挑むのです。大友勝利役を演じた千葉真一は二枚目イケメン俳優でしたが、完全にイメージチェンジを果たし、性格俳優たちのモデルケースにもなり、以後は東映の大物俳優としてのし上がって行ったのです。また第二部「広島死闘篇」から大部屋俳優だったピラニア軍団の若い俳優たちが重要な役を演じるようになり、本物のヤクザを見るようなリアリティを全編に漂わせ、ギラギラとした殺気が画面から迸るように流出してくるようで、私の中枢神経を刺激してくれました。

 北大路欣也の山中正治役も実在した人物ですが、やくざになるDNAを彼も持っていて、どんなに痛めつけられようが、不撓不屈の精神力で立ち上がり自分が勝利するまで闘争本能を剥き出しにして向っていくシーンが描かれています。やくざは自分が満身創痍になっても戦いをやめることはありません。腕を切断されようが、頭を潰されようが、「上等じゃねえか!」と攻撃を続けてくるのです。そんなDNAを持った山中正治の壮絶な人生は組葬で褒め契られますが、映画のラストシーンのナレーションで、今では彼の墓を訪れる者もいないと流れます。組のために山中正治は愛用するリボールバー式拳銃(※実際はオートマチックのブローニング)で殺人を繰り返してしまい、最後は自殺してしまうのですが、その拳銃を「俺のゼロ戦や」と語るシーンに神風特攻隊をダブらせて、国家のために犠牲になった特攻隊員たちの無常さを描いています。「ダーティハリー」が拳銃を構えるガニ股スタイルが山中の最初の殺人を犯す場面で使われていますが、本家に劣らぬ緊張感がありました。

 大友勝利役と山中正治役は当初、千葉が山中役を北大路が大友役を演じることになっていたそうですが、深作監督から急に役を交換する命令があって完成作品の配役になったとのことです。深作監督は鬼籍に入ってしまいましたが、再度、当初の配役で演じられる二人のキャラクターを見てみたいものです。

 第二部の「広島死闘篇」は「仁義なき戦い」の外伝的作品となっているのはこの強烈なキャラクターを深作監督がどうしても描きたかったからでしょう。しかし、他の3作品(※「完結篇」を除く)に比べると、集団群像劇の錯綜感やアナキズムやブラックユーモアが稀釈されてしまっていることは否めない。本シリーズの主人公である広能昌三役の菅原文太は傍観者からの視線として登場しますが存在感は流石でした。

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投稿:晴耕雨読

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2020/7/13更新
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