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瀬戸内海の美しい小島で、ささやかな暮しをつづけてきた一家が、工業開発の波に追われ、父祖の地に哀惜の思いを残しながら、新天地を求めて移往するまでの揺れ動く心を追う。脚本は「泣いてたまるか」の宮崎晃、監督は脚本も執筆している「男はつらいよ 柴又慕情」の山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫

4/5
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瀬戸内海・倉橋島。精一、民子の夫婦は石船と呼ばれている小さな船で石を運び生活の糧を得てきた。民子もなれない勉強の末に船の機関士の資格をとった。決して裕福ではないが、千秋、まゆみの二人の子供、そして精一の父・仙造と平和な家庭を保っている精一に最近悩みができた。持船のエンジンの調子が良くないのである。精一はどうしても新しい船を手に入れたかった。そこで世話役に金策の相談を持ちかけたが、彼は困窮した様子を見せるだけだった。各集落を小型トラックで回り、陽気に魚を売り歩いている松下は精一の友人で、精一の悩みを知って慰めるのだが、それ以上、松下には何の手助けもできない。精一は船大工にエンジンを替えるにしても、老朽化して無駄だと言われるが、それでも、夫婦で海に出た。その日は、海が荒れ、ボロ船の航海は危険をきわめ、夫婦の帰りを待つ家族や、松下は心配で気が気ではなかった。数日後、万策尽きた精一夫婦は、弟健次の言葉に従い、尾道にある造船所を見学し、気が進まぬままに石船を捨てる決心をするのだった。最後の航海の日、夫婦は、娘のまゆみを連れて船に乗った。朝日を浴びた海が、かつて見たこともない程美しい。精一は思い出した。民子が機関士試験に合格した日のこと、新婚早々の弟健次夫婦と一家をあげて船で宮島の管弦祭に向った日のこと。楽しかった島での生活が精一のまぶたをよぎった。翌日。尾道へ出発の日である。別れの挨拶をする夫婦に近所の老婆は涙をこぼした。連絡船には大勢の見送りの人が集った。松下も駆けつけ、精一に餞別を渡し、山のようなテープを民子たちに配り陽気に振舞った。大人たちは涙をこらえたが、六つになる千秋だけは泣きだすのだった。やがて、船が波止場を離れた。港を出て見送りの人がだんだん小さくなっていく。精一と民子は、島が見えなくなっても、いつまでも同じ姿勢で立ちつくしていた。

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作品データ

原題 Home from the Sea
製作年 1972年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 96
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スタッフ

製作 島津清
原作 山田洋次
脚本 山田洋次宮崎晃
監督 山田洋次
撮影 高羽哲夫
音楽 佐藤勝
美術 佐藤公信
録音 中村寛
照明 飯島博
スチール 堺謙一
編集 石井巌
助監督 五十嵐敬司

キャスト

石崎精一 井川比佐志
石崎民子 倍賞千恵子
石崎千秋 伊藤千秋
石崎まゆみ 伊藤まゆみ
石崎仙造 笠智衆
松下松太郎 渥美清
石崎健次 前田吟
石崎保子 田島令子
石田耕司 矢野宣
石田和枝 阿部百合子

レビュー

民子3部作

投稿者:成龍

(投稿日:2015/11/13)

>決して豊かではないが、光子、剛の二人の子供、そして精一の父…

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